爪と魔石
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昼下がりの市場。
賑やかな声と香辛料の匂いが入り混じる中、DCは魔道具の屋台を巡っていた。
小瓶に入った魔石を手に取り、目を輝かせる。
DC「ふむふむ……この大きさなら結界実験に使えそうね」
そこへ後ろから声がした。
リーディ「……あ、あの、DC」
少しおどおどしながら、彼は声をかける。
DC「ん? リーディじゃない。どしたの?」
リーディ「えっと……この“爪”の力……どう扱えばいいのか、よく分からなくて」
リーディの両手には、あの紫に輝く悪魔の爪がしっかりと宿っている。
DC「なるほど、相談ね。ちょうどいいわ。練習がてらクエストに行きましょう。畑を荒らす魔獣退治、報酬は魔石だって。私の研究にも役立つし、一石二鳥よ」
リーディ「えぇ……いきなり実戦?」
DC「座学より体感。魔力は実際に流さないと分からないから」
二人は郊外の農村へ向かった。
依頼内容は「畑を荒らす獣を退治してほしい」というもの。
そこに現れたのは、猪に似た魔獣――体表を硬質化させ、地面を掘り返す厄介なやつだ。
数匹が畑を荒らし、農夫たちが困り果てている。
リーディ「わっ……こ、こいつら強そう……!」
DC「落ち着いて。まずは爪に魔力を流してみなさい」
リーディが深呼吸し、紫の爪に意識を集中させる。
紫の輝きが走り、鋭い斬撃が一体を切り裂いた。
リーディ「すごい……!」
DC「もっとよ。倍々に力を重ねていけるはず」
指先にさらに魔力を流す。
刃は一回り大きくなり、猪魔獣を容易く切り裂いていく。
リーディ「どんどん……強くなる……!」
DC「ふふ、やっぱり本物の部位は違うわね」
調子に乗ったリーディは、さらに大量の魔力を流し込んだ。
爪の輝きは爆発的に増幅し、最後に現れた大きなボス個体――巨猪を一撃で切り伏せる。
リーディ「はぁ……はぁ……や、やった……」
そう言うと同時に、膝から崩れ落ちた。
DC「……あらら、無理しすぎたわね」
地面に倒れ込むリーディを見下ろし、彼女は口元に笑みを浮かべる。
DC「でも……やっぱり本物の部位はすごい魔力増幅率だね。いいもの見れたよ」
そう呟くと、淡い光がDCの体を包む。
浮遊の魔法で、リーディの体をふわりと持ち上げる。
リーディ「……ごめん。足手まといに……」
DC「気にしない。私だって人付き合いは得意じゃないし、こうして一緒に試せたのは悪くなかった」
紫の夕陽が畑を照らす中、DCは少し不器用に笑った。
それに釣られるように、リーディもかすかに口元を緩める。
不器用ながらも、確かに深まる二人の距離。
紫の爪は沈黙していたが――その存在感は、確かに彼らの未来を左右し始めていた。
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