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悪魔の左腕  作者: 770
21/149

爪と魔石

(^^)/

昼下がりの市場。

賑やかな声と香辛料の匂いが入り混じる中、DCは魔道具の屋台を巡っていた。


小瓶に入った魔石を手に取り、目を輝かせる。

DC「ふむふむ……この大きさなら結界実験に使えそうね」


そこへ後ろから声がした。


リーディ「……あ、あの、DC」

少しおどおどしながら、彼は声をかける。


DC「ん? リーディじゃない。どしたの?」

リーディ「えっと……この“爪”の力……どう扱えばいいのか、よく分からなくて」

リーディの両手には、あの紫に輝く悪魔の爪がしっかりと宿っている。


DC「なるほど、相談ね。ちょうどいいわ。練習がてらクエストに行きましょう。畑を荒らす魔獣退治、報酬は魔石だって。私の研究にも役立つし、一石二鳥よ」

リーディ「えぇ……いきなり実戦?」

DC「座学より体感。魔力は実際に流さないと分からないから」


二人は郊外の農村へ向かった。

依頼内容は「畑を荒らす獣を退治してほしい」というもの。


そこに現れたのは、猪に似た魔獣――体表を硬質化させ、地面を掘り返す厄介なやつだ。

数匹が畑を荒らし、農夫たちが困り果てている。


リーディ「わっ……こ、こいつら強そう……!」

DC「落ち着いて。まずは爪に魔力を流してみなさい」


リーディが深呼吸し、紫の爪に意識を集中させる。

紫の輝きが走り、鋭い斬撃が一体を切り裂いた。


リーディ「すごい……!」

DC「もっとよ。倍々に力を重ねていけるはず」


指先にさらに魔力を流す。

刃は一回り大きくなり、猪魔獣を容易く切り裂いていく。


リーディ「どんどん……強くなる……!」

DC「ふふ、やっぱり本物の部位は違うわね」


調子に乗ったリーディは、さらに大量の魔力を流し込んだ。

爪の輝きは爆発的に増幅し、最後に現れた大きなボス個体――巨猪を一撃で切り伏せる。


リーディ「はぁ……はぁ……や、やった……」

そう言うと同時に、膝から崩れ落ちた。


DC「……あらら、無理しすぎたわね」

地面に倒れ込むリーディを見下ろし、彼女は口元に笑みを浮かべる。


DC「でも……やっぱり本物の部位はすごい魔力増幅率だね。いいもの見れたよ」


そう呟くと、淡い光がDCの体を包む。

浮遊の魔法で、リーディの体をふわりと持ち上げる。


リーディ「……ごめん。足手まといに……」

DC「気にしない。私だって人付き合いは得意じゃないし、こうして一緒に試せたのは悪くなかった」


紫の夕陽が畑を照らす中、DCは少し不器用に笑った。

それに釣られるように、リーディもかすかに口元を緩める。


不器用ながらも、確かに深まる二人の距離。

紫の爪は沈黙していたが――その存在感は、確かに彼らの未来を左右し始めていた。

(^^)/

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