表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
悪魔の左腕  作者: 770
2/76

荒野の果てに光る瞳

(^^)/

ー大都市アーヴェント到着ー


門をくぐった瞬間、カイとエリシアの目に飛び込んできたのは、色とりどりの屋台と石畳を行き交う人々の活気だった。


カイ「うおっ……すげぇな。家が何層も重なってる」

エリシア「ねぇ見て、あそこ! 絹のドレスよ。こんなに華やかなの、生まれて初めて……!」


農村育ちの二人にとって、城塞都市の光景はまるで別世界。

焼きたてのパンの匂い、商人の呼び声、子どもたちの笑い声。ほんの束の間だけ、血と炎の夜を忘れさせてくれるほどに。


ふと、人だかりの奥に檻が見えた。鉄格子の中で膝を抱える少年――獣人の耳を持つが、右目には赤黒い魔紋が刻まれていた。


リーディ(か細い声)「……お腹、すいた……」


思わずカイは腰の袋から干し肉を取り出す。


カイ「ほら、食え。腹減ってんだろ?」


檻の隙間から差し出すと、少年の目がぱっと輝いた。だがその瞬間――


奴隷商人「こらァッ! 勝手に商品に餌を与えるんじゃねえ!!」


鞭が振り下ろされる。


カイ「……商品、だと?」

奴隷商人「そうだ。こいつは〈悪魔の目〉持ちだ。珍しい見世物として売り飛ばす予定よ」


怒りで拳を震わせるカイ。だが、背後からエリシアが小さく肩に触れた。


エリシア「カイ……ここで暴れたら、街の警備兵が来ちゃう」

カイ「……チッ」


睨みつけながらも、カイは無理やり背を向けた。


ー夜・宿屋ー


温かいシチューが運ばれる。だが、カイの表情は険しいままだった。


カイ「……見世物なんて、冗談じゃねぇ」

エリシア「私だって悔しい。でも今は……」


その時だった。外から悲鳴と爆音が響く。


宿屋の客「わあああ! 悪魔だ!!」


二人は外に飛び出した。

通りには三体の悪魔が暴れ、人々を蹂躙していた。


視線の先、奴隷商人も悪魔に追い詰められている。檻の横で腰を抜かし、必死に助けを求めていた。


奴隷商人「た、助けてくれぇ! このガキのせいだ、目が狙われてるんだ!」


悪魔の赤い瞳は確かにリーディを捉えていた。


カイ「……取引だ」

奴隷商人「な、なんだと!?」

カイ「助けてやってもいいが、こいつはもらっていくぜ」

奴隷商人「な、なんでもいいから助けろォ!!」


カイは腰の短剣を抜き、背から黒き羽が広がる。


羽の声『ヒヒヒ……血の匂いだな、相棒!』


暴風が吹き荒れ、閃光のような一撃。二匹の悪魔が倒れ、残る一体はエリシアの光に焼かれた。


檻の鍵を斬り落とすカイ。


カイ「よし、お前は自由だ」


リーディは一瞬、呆然とした顔をし、そして小さな声で――


リーディ「……オレも、ついて行っていいかな? お前ら、冒険者だろ?」


エリシア「もちろん。君の居場所は、ここにあるわ」


カイ「決まりだな。ようこそ――俺たちの旅へ」


夜空にまだ煙が残っていた。

だが、その下で三人は確かに繋がったのだった。

(^^)/

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ