風と光
(^^)/
――八年後。
穏やかな陽光が差し込む小さな山間の村。
洗濯物が風に揺れ、柔らかく光を反射している。
エリシア「ねぇルミナ?ヴェントはどこ行ったの?」
ルミナ「さぁ?知らないわ。どうせまたトカゲでも倒しに行ったんじゃないの?」
エリシア「もう……あの子はほんと落ち着きがないんだから」
ルミナ「仕方ないでしょ、バカなんだから」
エリシア「……そういわないの」
そう言って、エリシアはふっと笑う。
風が優しく吹き抜け、乾いた洗濯物を揺らした。
それはまるで、遠い空から誰かが見守っているかのように。
森の奥。
大トカゲが倒れ、焦げた鱗の上に若者が仁王立ちしている。
ヴェント「よっしゃ!今日は150cm級に勝てたぜ!」
汚れた木刀を肩に担ぎ、額の汗を拭う。
ヴェント「今度の――ガルディナの武闘大会、絶対本戦出場まで行ってやる!」
少年の瞳には、燃えるような闘志と、どこか懐かしい“赤”の光が宿っていた。
日が暮れた村の酒場。
酔いどれた冒険者たちの声が響く。
冒険者A「おい、聞いたか? 数年前に魔界に現れた“3災害”の話……」
冒険者B「あぁ、風、炎、水の三柱だとか……以前の“4大悪魔”を遥かに凌ぐ魔力らしいな」
冒険者C「天使教の連中も追ってるらしいが、手配書すら出せてねぇそうだ」
冒険者D「人間界に出てきたらどうすんだ?……また魔王戦争か?」
冒険者A「ま、勇者アルディス様たちがなんとかしてくれるだろ」
冒険者B「“最強の勇者”が健在ならな……」
その会話の片隅で、少年はジョッキを置いた。
ヴェント(3災害……4大悪魔……魔王……?)
彼の胸に、ざわめく何かがあった。
血の奥で燃えるような鼓動――
ヴェント(……おもしれぇ)
少年は微笑む。
家の前で、エリシアは夕焼けを見上げる。
空を撫でるように吹いた一陣の風が、彼女の頬をかすめた。
エリシア「……ねぇ、あなた。
あの子、あなたにそっくりなのよ。
風に向かって笑ってるの。きっと、あなたも笑ってるんでしょ?」
ルミナがそっと母の手を握る。
遠く、どこまでも広がる空。
その向こうに、再び始まる新しい物語があった。
おわりです(^^)/




