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悪魔の左腕  作者: 770
148/149

さよなら

(^^)/

――魔王との戦いを終え、カイたちは北の街へと戻ってきた。

久しぶりの安堵、穏やかな風。

通りに笑い声が戻り、人々が英雄たちを称える。


イグニス「やっぱこの街はいいなぁ!」

リーディ「なんか……やっと終わったんだって実感するね」

DC「ふん、まだ後処理が山ほどあるけどね」

シュリーデ「ま、まずはゆっくり休みましょ♡」


そんな中、エリシアが少し足を止める。


エリシア「……みんな、ごめん。ちょっと……気分が……」

カイ「え?おい、どうした――」


言葉が終わる前に、エリシアが膝をつく。

口元から赤い雫がこぼれ、石畳を染めた。


カイ「エリシア!!」

イグニス「おいっ、しっかりしろ!!」

ジン「……脈が弱い、魔力の流れが乱れてる」

DC「早く診せるわよ、魔術師の館へ!」


――その後、老賢エルダルによる診断が下された。


エルダル「……残念ながら、この娘は“瘴気”に侵されておる」

カイ「瘴気だと!?でも、戦いのあとすぐに回復魔法を……」

エルダル「普通の傷ではない。瘴気が普通の人間に適応することはない……瘴気が彼女の魔力を汚染している」

DC「……つまり?」

エルダル「このまま魔界にいれば、数日のうちに命を落とす」


沈黙が落ちる。

誰も何も言えなかった。



カイ「エリシア.....帰るんだ....」

DC「そうね....その方がいいわ」

エリシア「……」

リーディ「でも……帰ったら、僕たちとは……」

エリシア「……うん、私……人間界に帰るね」

エリシア「ここにいたら、みんなに迷惑かけちゃうし」



静かに笑うエリシアの頬を、涙が伝った。


――夜。

港の外れ。薄明かりの月が湖面を照らす。

転送陣の光が静かに揺らいでいた。


カイ「……元気でな......」

エリシア「うん」

ジン「……早くいけ....」

エリシア「ジンこそ、もっと優しくしてよ」

ジン「……悪かったな」


イグニス「なぁ、帰ったらちゃんと飯食えよ!野菜もだぞ!」

エリシア「ふふっ……うん、約束する」

リーディ「エリシア……また、会えるよね?」

エリシア「会えるよ。信じてれば、きっと」


DC「……あんたがいなくなると、静かになるわね」

エリシア「DC……ありがとう。あなたの魔法、いつもすごく心強かった」

DC「……泣かせないでよ」


シュリーデ「お別れの言葉なんていらないわ。また遊びにきなさいな♡」

エリシア「うん……必ず」


そして最後に、カイの前に立つ。


エリシア「カイ……本当にありがとう」

カイ「……俺、ずっと一緒にいたかった」

エリシア「私も。……でもね、もう戦わなくていいんだ」

カイ「バカやろう……」

エリシア「ねぇ、カイ。人間界に戻ったら伝えるね。『みんな、ちゃんと生きてた』って」

カイ「……あぁ、約束だ」


二人は見つめ合う。

言葉にならない想いが、夜の風に溶けていく。


エリシア「……じゃあ、さよなら」

転送陣の光が強くなり、彼女の姿が淡く滲む。


カイ「――エリシアぁぁぁぁ!!」

手を伸ばすが、その手は光をすり抜けた。


そして、光が消える。

静まり返る夜。


リーディがしゃくり上げながら泣き、

DCが涙を袖で拭う。

シュリーデはただ黙って空を見上げ、

ジンは拳を握りしめていた。


カイだけが、誰よりも長く、その光が消えた空を見つめていた。

頬を伝う涙が止まらない。


――その夜、誰も笑わなかった。

そして、誰もが気づいていた。

エリシアが残していった“温もり”が、もう二度とここに戻らないことを。

(^^)/

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