準決勝①――狐面の目覚め
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準決勝当日。控室で手早く包帯を替えるエリシアの元へ、DCが駆け込んだ。
DC「エリシアが狙われてる。位置は把握した、私が行く」
カイ「頼む。……ここはリーディと二人でやる」
――アリーナ。対面に立つハンターチーム。黒革の装束に無表情の三人。
ヴラッド「魔女がいない。運がいい」
ミラ「子犬から目、もらうね」
試合開始の銅鑼。刹那、圧が襲う。三人は最初から殺し合いの距離だ。防御を許容しない軌道。カイは辛うじて弾き、リーディは守勢に回る。時間が経つほど、差が開く。
セドリック「終わりだ」
首筋に冷たい鉄の感触――その瞬間、リーディの赤い眼が“ひらいた”。
???「あらあら……妾のかわいいリーディ、誰がこんなに痛めつけた?」
闘技場に黒い煙が溢れ、砂の匂いを消した。そこに立っていたのは、黒髪の長い狐面の女。朱と黒の着物が風もないのに揺れ、白い喉元がぞっとするほど美しい。
観客「なんだ――あれ」
狐面の女「頭が高い」
言葉が落ちると同時に、ハンター二人の膝が砕け、砂に額が沈む。魔力の重力場。主犯のヴラッドだけが歯を食いしばり、立っていた。
ヴラッド「……ッら、化け物が」
狐面の女「妾は忙しい。二十拍だけ遊んでやる」
足運びは舞いのようで、指先は刃より冷たい。ヴラッドの頬に薄い線が走り、血が遅れて滴った。
狐面の女「――時間。ここまでじゃ」
黒煙が吸い込まれるように消え、狐面はふっとほどけた。そこに残ったのは、血と汗に濡れたリーディ。膝から崩れ落ちる。
ヴラッド「獣から――やる」
カイ「させるかぁぁ!」
体当たりで軌道を逸らし、二撃目を受ける前に――氷の柱が間に滑り込んだ。
DC「ギリギリ。間に合った」
ヴラッドは舌打ちし、倒れた二人を抱えて撤退する。銅鑼。
アナウンス「ハンターチーム、棄権! 勝者――カイチーム!」
歓声が爆ぜ、砂が舞い上がる中、カイはリーディを抱き上げた。小さな胸が規則正しく上下しているのを、何度も確かめながら。
カイ「……ありがとう、帰ってきたよな、リーディ」
リーディ「……ボク、がんばった?」
カイ「あぁ、かっこよかったぜ!」
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