強奪の終焉
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灰色の結界空間。空気は張りつめ、魔力の火花が走る。
両者は静かに対峙していた。
ヴェルドガン「……ふむ。やはり只者ではないな」
分厚い岩の皮膚に覆われた老体が、不気味に笑む。
ジン「無駄口はいい。お前の力が“強奪”だろう?ならば奪ってみせろ、俺の全てを」
淡々とした声音。片眼の奥に燃えるのは、冷たい決意。
ヴェルドガンは杖を天に掲げた。
ヴェルドガン「《魔奪顕現》!」
瞬間、ジンの放った雷の矢が黒い霧に吸い込まれる。
ジン「……やはり吸収か」
動じず次の手を打つ。
ジン「《紅蓮雷衝》」
炎と雷を同時に叩きつける複合魔法。
だが――。
ヴェルドガン「《大地顕現・強奪化身》!」
岩の巨躯が出現し、直撃を吸収。
ジンの眉がわずかに動いた。
ジン「……なるほど。魔法を喰らうほど、強くなる仕組みか」
ヴェルドガン「そうだ!私は奪う者!喰らえば喰らうほど強くなる!」
魔力の圧が跳ね上がる。筋肉が盛り上がり、瞳孔が紅く染まった。
ジン「……ふん」
雷鳴が走った瞬間、ジンの姿が掻き消えた。
ヴェルドガン「ぐっ!?」
背後から放たれた黒雷の蹴りが背中を抉る。
ジン「強化に頼るな。お前は自分の力で戦っていない」
ヴェルドガン「黙れ!《強奪・双刻解放》!」
さらに魔力が膨張し、巨体が二回りも増す。
ジン「……」
冷ややかな目で見下ろす。
数合の交錯。ヴェルドガンの拳は重く、鋭く、確かに四大悪魔級の力を帯びていた。
だがジンはすべてを紙一重で受け流す。表情一つ変えずに。
ヴェルドガン「ぐぅぅ……なぜだ!なぜ当たらぬ!」
ジン「遅すぎる」
鋭い拳が腹を穿ち、雷の魔力が内部を爆ぜさせる。
血を吐きながらもヴェルドガンは笑った。
ヴェルドガン「ならば……最後の賭けだ……!」
己の魔力核を掴み出し、喰らう。
ヴェルドガン「《強奪終焉・魔神顕現》!」
肉体が弾け、魔神のごとき異形へと変貌。
その圧力は、もはや魔王に匹敵するほどだった。
ジン「……くだらん」
淡々と右手をかざす。
ジン「《終焉雷炎葬》」
黒雷と紅蓮の炎が螺旋を描き、異形を包み込む。
ヴェルドガンの肉体は抵抗する間もなく焼き尽くされた。
灰が舞う中、片眼の青年は歩みを止めない。
ジン「……強さは奪うものじゃない。積み重ねるものだ」
呟きは虚空に消え、結界が音を立てて崩壊する。
ジンの背は、もはや誰も追いつけぬほどに大きかった。
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