雷と水禍
(^^)/
山頂の湖畔。
吹きすさぶ風が草木を揺らし、鏡のような湖面を乱していく。
黒雲が垂れ込め、空には幾筋もの稲光が走った。
ヴォルト「……やはり、こちらに近づいてくるか」
雷を纏ったその眼差しは、遠くから迫る異様な瘴気を捕らえていた。
やがて、湖畔の奥から一歩、また一歩と、ぬめるような水気をまとった影が現れる。
ネレウス「……回復に魔力を使いすぎた。だが……なんだ、この体、“四大悪魔”とやらは。弱すぎる……脆すぎる」
吐き出す声は水泡のように湿り気を帯び、瘴気が辺りに濃く溢れ出す。
大地を裂くように雷鳴が轟き、ヴォルトのすぐ横に稲妻が落ちた。
水の霧と雷光が交差する。
ヴォルト「何者だ……? 最初はドミナスに似た魔力だった。だが今は……異質そのもの。貴様は――」
影が湖面を踏みしめ、ついに姿を現した。
青黒い鱗に覆われ、背には無数の水蛇のような魔力を揺らめかせる巨躯。
ネレウス「私を知らぬか。ならば教えてやろう。
――私は“三大魔神”の一人、水禍のネレウス!」
地を揺らす咆哮。湖面が爆ぜ、幾つもの水柱が噴き上がる。
ヴォルト「……三大魔神? 知らんな」
雷光を纏い、短く言い放つ。
ヴォルト「去れ。ならば見逃してやる」
その言葉に、ネレウスの双眸が血のように赤く染まる。
ネレウス「なめるな……なめるなよォォォォ!!!」
轟音と共に、全ての水柱が暴風のように渦を巻く。
ヴォルト「……仕方ない」
稲妻が天を裂き、雷鳴が全山を揺るがす。
ヴォルト「討つ!」
雷と水がぶつかり合い、天地を割るかのような衝突音が山頂に轟き渡った。
――雷の支配者と水禍の原初。
二柱の戦いが幕を開けた。
(^^)/




