行き場なき力
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岩肌が連なる北への街道。冷たい風が吹き抜ける中、一行は歩を進めていた。
火を灯したように明るいイグニスの声が、先頭で響いた。
カイ「ところでイグニス、もし魔王を討ったとしたら……その後はどうなるんだ?」
イグニス「パワーバランスの話か? まぁ俺は支配する気なんてさらさらねぇし、シュリーデも似たようなもんだろうな。雷の野郎は……まぁ“あんな感じ”だしな。いびつにはなるが、意外と収まっちまうかもな」
リーディ「へぇ……人間界よりよっぽど安定してるかもね」
イグニス「だがよ、それよりお前ら自身はどうすんだ?まさか“人間界に戻れる”なんて思ってねぇよな?」
その言葉に、カイが一瞬足を止める。
カイ「……え?」
イグニスは振り返り、ガハハと笑いながら大槍を肩に打ち鳴らす。
イグニス「そりゃそうだろ。エリシアは別だが……お前ら3人はもう“人間”の枠を超えてる。4大悪魔と同等以上の力を持ってんだぜ? そんな連中が人間界に戻ったら……支配するか、恐れられて追放されるかだ」
その冗談交じりの声に、カイとリーディは黙り込んだ。
互いに視線を交わすが、答えは出ない。
DC「……アタシは決めてるわよ。魔界に残って魔法を研究する。部位と魔力の仕組み、まだまだ分からないことが山ほどあるもの」
エリシア「DC……」
DC「それに比べてアンタたちときたら……何も考えてなかったの?」
鼻で笑いながらも、DCの声には苛立ちというより呆れが混じっていた。
リーディ「……僕はただ、カイやエリシアやDCと一緒にいたいって思ってただけで……」
カイ「俺もだ。未来のことなんて、正直考えたことなかった。でも……」
カイは拳を握り、真っすぐ前を見据える。
カイ「魔王を倒したら、その時にちゃんと考えるさ。俺たちの居場所が人間界になかろうが、魔界にあろうが、きっと答えは出せる」
イグニスは満足そうに頷き、声をあげて笑った。
イグニス「ガハハ! その気概なら上等だ! 未来は強いやつがこじ開けりゃいい!」
荒野を吹き抜ける風が、言葉の余韻を運んでいった。
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