砂漠の門、ガルディナへ
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灼ける空気が地表を揺らす。風よけの土壁――リーディが即席で作った“砂かまくら”の中から、四人は砂漠の地平を伺った。
カイ「……蜃気楼ばっかで距離が全然わからん」
DC「愚痴る暇あったら水の循環結界でも張りなさいよ。はい、これで体表の温度を下げる」
リーディ「ボクは土で屋根を増築っと……ふんぬ!」
エリシア「ありがとう、リーディ。……でも無理はしないでね」
そこへ、鈴の音。ラクダを引いた商人の隊列が現れたが、先頭のラクダが膝を折って倒れ込む。
商人「こりゃダメだな……よいしょっと」
リーディ「え、持ち上げた!?」
商人は笑ってラクダを肩に担ぎ直し、ひょいひょいと歩きだす。その背後に、砂煙の向こう――巨大な白石の城壁と無数の塔が姿を現した。
DC「見えた、武闘都市ガルディナ。国民の半分が闘技場で働いてるし、残りの半分は観客って噂」
カイ「どんな国だよ……」
――門をくぐった瞬間、空気が変わる。太鼓の連打、客引きの叫び、鍛冶屋のハンマー音。街路の両脇には剣、槍、拳法、魔術――あらゆる流派の旗が並び、中央広場には「国王生誕50周年・三対三武闘大会」の巨大な掲示板が立っていた。
受付兵「参加者か? チーム名は?」
カイ「……カイチームで」
DC「“ダークチャーム隊”の方が耳ざわりいいでしょ」
リーディ「じゃあ“エリシア守る隊”!」
エリシア「えっ、私?」
受付兵(苦笑)「……“カイチーム”で登録した。予選は明朝。遅れるなよ」
四人が宿を探して歩き出したそのとき、正面から黄金の外套を翻した四人組が現れた。背に聖徽、腰に煌めく聖剣。
アルディス「ほう、悪魔の匂いがするな」
ゴラン「鼻にツンと来る。……おい、そこの獣耳」
セリナ「やめなさい、ゴラン。ここは街中です」
ヴァロフ「でも面白いものが見られそうだ。観測魔眼、起動――」
リーディが縮こまりかけた瞬間、カイが一歩前に出る。背の黒い羽が、音もなく角度を変えた。
カイ「用があるなら俺に言え」
アルディス「“悪魔付き”は領都では拘束対象だ。自ら名乗り出るというなら話は早い」
エリシア「彼は悪魔なんかじゃありません!」
ゴラン「へっ、善人の顔が一番信用ならねぇ」
DCが小さくため息をつき、ふっと笑った。
DC「勇者に戦士、僧侶に魔法使いですって!? なんてベタなパーティ……ウチみたいね?」
アルディス・カイ「やかましいわ!」
――氷の壁が、バシュンと音を立てて二組の間に立ち上がる。
DC「ここ、武闘都市。やるならルールの上でね。ほら、行くよ」
カイ「……借りができたな」
リーディ「勇者って……うるさい人たちだね」
エリシア「早く宿を見つけましょう」
四人は氷壁が融ける前に、人混みの中へと消えた。
――勇者一行の背後で、群衆の囁きが波紋のように広がる。
観客A「悪魔付きと勇者が鉢合わせ?」
観客B「大会で当たったら荒れるぞ、こりゃ」
ヴァロフ「ふむ、舞台は整いつつあるな」
セリナ「アルディス、いざとなれば止めますからね」
アルディス「俺を止められる者は――いない」
彼の目に宿る光は、氷壁より冷たかった。
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