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悪魔の左腕  作者: 770
107/149

狐面の降霊

(^^)/

ゴルガスの圧倒的な拳を何度も紙一重で躱しながら、リーディは荒い息をついていた。


リーディ「……駄目だ、このままじゃ押し潰される。狼男の力を解放すれば……倒せる。だが……」

脳裏に浮かぶのは、過去に一度だけ狼男化した時の反動で数日動けなかった記憶。

リーディ「今ここで力を使えば……戦いの後、僕は足手まといになる……それじゃ皆を守れない……!」


巨体が影を落とす。ゴルガスが再び踏み込んでくる。


ゴルガス「ヒヒヒ! 考え込んでる暇なんざねぇ!」

拳が瓦礫を砕き、破片がリーディの頬を裂く。


その瞬間――。

リーディの頭の中に、艶やかな女の声が響いた。


イズナの声「あんな脳筋、簡単に倒せるでしょう? 妾との修行を思い出しなさい」


リーディの目が見開かれる。

リーディ「……そうか! 忘れてた!」

剣を胸に構え、深く息を吸い込む。


リーディ「――獣人降霊ビースト・インカーネイト! イズナ姫!」


リーディの体を覆うように闇が渦巻き、次の瞬間、狐面をつけた妖艶な女性の姿がそこに現れる。

長い黒髪が揺れ、赤い瞳が妖しく輝いた。


リーディ「……ふふ、もう君は私には近づけないよ」


足元から黒い影が伸び、ゴルガスの巨腕を絡め取る。


ゴルガス「ぐっ……こんなもの、引きちぎってやる!」

唸り声とともに筋肉が膨れ上がり、闇の拘束を強引に引き裂く。


リーディ「おぉ……さすがだね。すごい力だ」

一歩引いて微笑み、だがその瞳は冷たい。

リーディ「でも――これで終わりだよ」


ゴルガスの体表に黒い染みが広がり始める。皮膚がじわじわと黒く侵食され、彼の動きが鈍っていく。


ゴルガス「な……に……これは……!?」

膝をつき、巨体が地響きを立てて崩れ落ちた。


リーディは静かに振り返る。

リーディ「闇魔法から生成した毒さ。普通の奴なら、数秒で死んでるよ」


その言葉と同時に、背後でゴルガスの体が完全に沈黙する。


リーディは狐面に手を当て、ゆっくりと外す。

仮面が消え去ると同時に、広場を覆っていた闇も霧のように晴れていった。


リーディ「……ふぅ。魔法って便利だなぁ」


そう呟く彼の吐息だけが、静まり返った戦場に残った――。

(^^)/

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