狐面の降霊
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ゴルガスの圧倒的な拳を何度も紙一重で躱しながら、リーディは荒い息をついていた。
リーディ「……駄目だ、このままじゃ押し潰される。狼男の力を解放すれば……倒せる。だが……」
脳裏に浮かぶのは、過去に一度だけ狼男化した時の反動で数日動けなかった記憶。
リーディ「今ここで力を使えば……戦いの後、僕は足手まといになる……それじゃ皆を守れない……!」
巨体が影を落とす。ゴルガスが再び踏み込んでくる。
ゴルガス「ヒヒヒ! 考え込んでる暇なんざねぇ!」
拳が瓦礫を砕き、破片がリーディの頬を裂く。
その瞬間――。
リーディの頭の中に、艶やかな女の声が響いた。
イズナの声「あんな脳筋、簡単に倒せるでしょう? 妾との修行を思い出しなさい」
リーディの目が見開かれる。
リーディ「……そうか! 忘れてた!」
剣を胸に構え、深く息を吸い込む。
リーディ「――獣人降霊! イズナ姫!」
リーディの体を覆うように闇が渦巻き、次の瞬間、狐面をつけた妖艶な女性の姿がそこに現れる。
長い黒髪が揺れ、赤い瞳が妖しく輝いた。
リーディ「……ふふ、もう君は私には近づけないよ」
足元から黒い影が伸び、ゴルガスの巨腕を絡め取る。
ゴルガス「ぐっ……こんなもの、引きちぎってやる!」
唸り声とともに筋肉が膨れ上がり、闇の拘束を強引に引き裂く。
リーディ「おぉ……さすがだね。すごい力だ」
一歩引いて微笑み、だがその瞳は冷たい。
リーディ「でも――これで終わりだよ」
ゴルガスの体表に黒い染みが広がり始める。皮膚がじわじわと黒く侵食され、彼の動きが鈍っていく。
ゴルガス「な……に……これは……!?」
膝をつき、巨体が地響きを立てて崩れ落ちた。
リーディは静かに振り返る。
リーディ「闇魔法から生成した毒さ。普通の奴なら、数秒で死んでるよ」
その言葉と同時に、背後でゴルガスの体が完全に沈黙する。
リーディは狐面に手を当て、ゆっくりと外す。
仮面が消え去ると同時に、広場を覆っていた闇も霧のように晴れていった。
リーディ「……ふぅ。魔法って便利だなぁ」
そう呟く彼の吐息だけが、静まり返った戦場に残った――。
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