荒野に響く告白
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少し離れた丘の上、周りには荒野が広がる。
カイ「さて、どうしたもんかなぁ」
天を仰ぎながら言う言葉は乾いた空気に消えていく。
その背後から、小さな足音が近づいてきた。
振り返らずに、カイは声をかける。
カイ「……エリシアか。どうしたんだ?」
エリシア「ん……ちょっと、話したくて」
隣に立つエリシアの顔は、焚火のような夕焼けに赤く照らされていた。
カイ「びっくりしたな。まさか“心臓をささげる”なんて条件が出てくるとはな」
あえて笑みを浮かべて軽口を叩くカイ。
だが、エリシアは首を振る。
エリシア「ううん。……心臓をささげるだけなら、カイは迷わずやっちゃうでしょ? だから……私が止めるの」
カイ「ははっ、確かにな」
その場を和ませようとする笑いも、エリシアの次の言葉で揺らぐ。
エリシア「だってカイは優しいもん。でも……でもね、私は……カイに死んでほしくない」
溢れる涙をぬぐいもせず、まっすぐに見つめるエリシア。
カイは息を吐き、かすかに自嘲めいた笑みをこぼした。
カイ「……俺だって、死んで魔王になるなんざごめんだ」
一瞬の静寂。風が二人の間をすり抜ける。
エリシア「なら、お願い。私のことなんて忘れて、みんなで人間界に戻って。……私だけ置いていけばいい」
その言葉に、カイの目が見開かれる。
カイ「……なんだと?」
エリシア「だってそうすれば、誰も犠牲にならないで済むから」
カイ「ふざけんなよ!」
怒声が荒野に響く。
カイ「お前を忘れて帰る? そんなの、俺が一番許せねぇ! エリシアを置いて帰るくらいなら、死んだ方がマシだ!」
エリシア「カイ……そんなこと言っても!」
カイ「俺は昔からずっと……お前が好きなんだ! だから絶対に諦めねぇ! 何があっても一緒に戻る!」
エリシアの瞳が大きく揺れる。
頬を濡らす涙が光の粒になって零れ落ちた。
エリシア「……私もだよ。カイのことが……好き」
次の瞬間、二人の距離は自然と縮まる。
言葉はいらない。ただ互いの想いを確かめ合う。
荒野の風がやさしく吹き抜け、二人を包み込んだ。
……その少し離れた場所。
魔法陣に片肘をつき、水晶を眺めている少女がひとり。
DC「ふふっ……やっと言ったわねぇ♡」
にやにやしながら指先で映像を拡大したり縮小したり。
DC「……って、あら? あの角度、ちょっと見えづらいわね。もうちょっと……よし、ズーム♡」
荒野に響くのは、風の音と。
そして遠くから聞こえる、妙に楽しげな魔女の笑い声だった。
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