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EDEN  魔王と大天使に溺愛される私は次の神様らしいです  作者: 秦江湖


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混沌の山 2・マリア

みんなと話しながら歩いていると徐々に道もゆるやかな斜面になってきた。

そこから30分程して休憩場に着いた。


けっこう開けた場所で水飲み場があったり座るところ、お手洗いもある。

小さい売店もあって私たちよりも先に来た人達が何組かくつろいでいた。



「美味しくて綺麗な水ね」

柄杓に汲んだ水を手に注いで口にしたリリが私に言った。

「ほんとだ!冷たくて気持ちいい!」

私達は子供たちにも両手を差し出させると一人づつその手に水を注いだ。

水を飲んだ後はみんな広場で遊び出した。


「カワイイ子達ね」

その様子を見てリリが言った。

「でしょう?リリも子供好きで良かった!」

「そうね。ペットみたいでカワイイわね」

そう言ってニッコリするとリリはベンチの方へ歩いて行った。

ペットって……


園長先生の話だとこの先、30分程歩くと大きな原っぱに出る。

そこで早目のお昼ご飯にしようと決まった。

私とリリはお弁当の役割分担を決めていた。

私はおにぎり中心のご飯系。

リリはおかずをメインにしたもの。

子供達はみんなご飯を楽しみにして歩いていた。

15分程歩くとリリがふと後ろを振り返る。


「どうしたの?」

「うん…」

リリは私の問いかけに後ろを見ながら返事をすると郷に話しかけた。

「後ろから誰も来てないわ…… 変じゃない?」

郷も後ろを振り返る。

「そういやそうだな…」

私も後ろを見た。

たしかに私達の後に続いて歩いてくる人の気配がない。

出発する時はけっこういたのにな……

しかし周囲はのどかで変わらず鳥のさえずりと暖かい木漏れ日が降り注いでいた。


「まあ…歩くか」

郷に言われて私もリリも歩を進めた。


園長先生の話だと、もう半分歩けばお昼の場所まで着く。

気にせず歩くことに専念した。

すると薄らと霧が出てきた。

いつの間にか辺は静まり返って鳥の鳴き声も聞こえない。

不自然な静寂の中、私達は歩いた。


「さあ!着いたぞみんな!」

園長先生が振り向いて言った。

霧が立ち込めてはいるけども広い原っぱで何組かの人達がシートを敷いてくつろいでいる。

原っぱの隅にはロッジがあって管理人のような人がこちらを見ていた。

だけど人がたくさんいる割には不思議と静まり返っている。

笑い声もなにも聞こえない。


「じゃあ早目のお昼にしましょうか」

園長夫人が言うとみんな歓声を上げた。

私達は原っぱの真ん中近くに陣取ることにした。

でも郷と白神先輩、リリはなぜか張り詰めている。

「どうしたの?」

私が郷に聞くと、

「チッ…!やられたぜ」

舌打ちしながら顔をしかめた。

郷のただならない雰囲気に子供達も視線をよこす。

そのとき園長夫妻が地面にシートを広げようとしていた。

「オイ!待ちな!!」

郷が叫ぶ。


「えっ」っと園長先生が言葉を発したのと、その身体がふわっと宙に浮いたのはほとんど同時だった。

園長先生だけじゃない、園長夫人も他のハイキングに来ていた人達もその身体が宙に浮く。

「いけない!」

子供達の身体も宙に浮きかけたときにリリが叫んだ。

咄嗟に郷が右手を開いて天にかざすと子供たちの身体がすとんと地面に降りる。

「うわああああっ!!」

「キャアアア――!!」

もの凄い突風が吹き荒れて私達を除いた園長先生夫妻と他の人達は悲鳴とともに上空に巻き上げられてしまった。


「しまった!間に合わなかった!!」

白神先輩が左手をかざしながら叫んだ。

私は何が起きたのかさっぱり理解できずに園長先生たちが巻き上げられた上空を見つめていた。

「先生!!」

「園長先生――!!」

子供達が悲痛な声を上げる。

「いったいなにがどうしたの!?」

「魔神だ」

「えっ」

私の問いに郷が答えた。

「それも今迄とは比較にならねえ強力な奴だ。ガキどもとおまえは咄嗟に結界を張って防げたが園長は間に合わなかった」

郷が言うと白神先輩が唇をかみ締めた。


そのとき空の一角がキラキラと輝き始めた。

無数の小さな光が一ヶ所に集まって青白く燃え上がる。

同時に景色は歪み、黄褐色のフィルターをかけたような色になった。

これは前に私が襲われた時の「亜空間」だ。

巨大な青白い炎が地上に迫ってくると女の笑い声が響いた。


「フフフフフフ…久しぶりねルシファー」

「ジャヒーか!!」

郷が叫ぶ。

青白い炎は徐々にある形になっていった。

「ああっ…」

その恐ろしい姿を見たときに戦慄が走った。

恐竜のような長い首と顔が七本、胴体は毒々しく赤いサソリで尻尾が10本に別れている。

その巨大なサソリの胴体から女の人の身体が、天女の羽衣をまとったような上半身が生えていた。

禍々しい下半身と対照的な美しい上半身に四本の腕を生やして槍と剣、盾を持っている。

真っ赤に燃えあがるような長い髪をなびかせてジャヒーが言葉を発した。


「我らが新しい“主”になられるマリア様。私が支配する“混沌の山”へようこそ」

空中で毒々しい真っ赤な身体をうねらせながら言う。

「ジャヒー!さっき上空に巻き上げた人間たちをどうした!?」

白神先輩が鋭い口調で言った。

こんな先輩を初めて見る。

「これは大天使ミカエル。随分と取り乱してるねぇ」

嘲笑うジャヒー。

「質問に答えろッ!」

「いただいたよ」

「なにっ」

ジャヒーは舌なめずりしながら言った。

「より強力な肉の体のために糧となったんだよ。私の体の半分はあの人間共で構成されてるのさ」



ええっ……

なんてことだろう…!!

あの怪物の体の一部に園長先生達が……!?

「お姉ちゃん!先生達はあの怪獣に食べられちゃったの!?」

「そんなッ!!いやだッ!!」

子供達が泣き叫ぶように言う。

なんと言っていいかわからない私は郷と白神先輩の顔を交互に見た。

郷がうなずく


「大丈夫!先生達は捕まってるだけ。郷と白神先輩が必ず助けてくれる!」

私はみんなの顔を見ながら言った。

「あっ!!」

瑠璃が背後の空を指差して叫ぶ。

見ると空一面を覆い尽くす無数の怪物の姿がそこにあった。

「すごい数だ」

白神先輩が驚愕する。

「クソッ!総掛かりできやがったか!!」

吐き捨てるように言うと郷はすぐに私に向かって言った。

「マリア!ガキどもを連れてあのロッジに隠れてろ!リリス、頼んだぞ!!」

「任せておいて」

リリがうなずく。

えっ?どういうことよ!?

「マリア、みんな、いくわよ!」

リリは傍らにいた子供を抱きかかえると20メートルほど先にあるロッジを指して言った。




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