表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
EDEN  魔王と大天使に溺愛される私は次の神様らしいです  作者: 秦江湖


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

40/43

秘密の話・マリア

私の検査は一般の研究室よりもさらに奥の部屋でおこわなれた。

検査自体は滞りなく済んだ。


今までの病院と違って見たこともない機械を使った検査だったけどパパはいろんなデーターと数値を見せてくれてわかり易く話してくれた。


私は不思議とパパの説明する内容を抵抗なく理解できた。

パパはこういった知識が必ず私に必要になると言った。




最後の日は神尾先生が迎えに来た。

二人でパパの執務室に挨拶に行った。

「どうぞ」

ノックをするとパパの声が返ってきた。

部屋に入るとパパが笑顔で迎えてくれた。

「あっ…」

パパの背後に飾られた絵を見たときに思わず声が漏れた。

赤ちゃんを抱く女性の絵……

キリストを抱く聖母マリアの絵。

これは私が夢で見た機械だらけの部屋に飾ってあった絵だ。

思い出してみても寸分違わない。

実際にあった絵なんだ!

でもどうしてこの絵がここに……?



「どうしたんだい?マリア」

「うん、その絵が…見たことあって」

「ああ、有名な絵だからね。ラファエロの聖母マリアだよ。もちろん本物ではないがね」

「そうなんだ…」

言われてみれば似たような絵なんてどこにでもある。

ましてや有名ならば尚更だ。

きっとテレビか何かで見たんだろうな……


「神尾君、お迎えありがとう」

「いいえ」

神尾先生はお辞儀すると笑顔でパパに訪ねた。


「どうでした?検査の結果は」

「うん。異常無しだ。健康そのものだよマリアは」

「でも…心臓は相変わらず?」

「そっちの方も徐々に良くなるよ」

「ホント!?じゃあ部活とかもできるの!?」

「ああ。ただ、もう少し時間がかかるがね」

パパは目を細めて言った。

私は嬉しかった。

もともとスポーツは好きだし、放課後に一人で帰るのは慣れてはいるけど楽しいもんじゃない。

できれば高校にいる間にそうなるといいな……


「今日はお帰りになられます?」

「ああ、そのことなんだが悪いが帰れそうにないな」

神尾先生の問いにパパが答えた。

「例の黒い雨。あれがどういうものなのか?今回の世界中での出来事と何か関係があるのか?いろいろ調べなくてはいけない」

「わかりました。ですけど、あまりご無理をなさらないでくださいね」

「ああ。そのへんは気をつけるよ」


黒い雨か……

「パパ、あまり無理しないでね」

私からも念押しした。

「ああ。マリア、ありがとう」

パパはニッコリとして私の頭を撫でた。




その日、家に帰るとテレビでは黒い雨に関することは目下調査中という政府発表の言葉を繰り返すだけだった。

世間では相変わらず、あの異変は黒い雨のせいだと言われている。

それに関してもテレビでは否定していた。

あまり気分のいいニュースじゃない。

詩乃も瑞希も食事の間、心なしか口数が少なかった。



私は食事が済むと自分の部屋に戻ってノートパソコンを開いた。

ネットで検索すると黒い雨について語っている記事や動画がたくさんあった。

どれを見ても「世界の終わりだ」とか「生物がこのままだと絶滅する」みたいなものばかりだった。

ただ、どの記事を読んでも雨と今回の事件をきちんと関連付けるような記事はなかった。

それからお風呂に入ってベッドに横になったのが11時くらいだった。



窓に黒い水滴がついた。

降り注ぐ黒い雨……

窓の外には雨に濡れてもがき苦しむ人々……

動物が死んで、植物が枯れて……

そして人間同士が殺し合う。

黒い雨が降る中、地獄のような光景が広がっていた。

あまりの凄惨さに悲鳴を上げた。


「キャアッ!!」


悲鳴と共に跳ね起きると身体には汗がびっしゃり……

夢だったんだ……

喉も乾いてるし、とりあえずなにか飲もう。


もう遅い時間なので静かにドアを開けて廊下に出た。

壁にある照明のスイッチを入れるとパッと明るくなった。

一階にいくとキッチンに行って冷蔵庫から飲み物を取り出した。

コップに注いでリビングのソファーに座ると一口飲んだ。

ふう……

変な夢見ちゃったな……

まだ胸騒ぎのような感覚が残っている。



「マリア、どうしたの?」

「神尾先生」

リビングのドアのところに神尾先生が立っていた。

「ちょっと眠れなくって」

「またあの夢?」

「ううん…違うやつ」

神尾先生は私を見るとキッチンへ行って同じように飲み物を持ってきた。

「少し話す?」

「うん」

私が返事をすると神尾先生は横に座った。



「あの雨のせいかなぁ……なんか気持ち悪くて変な夢見ちゃった」

「そう……」

コップを持ちながら聞いていた神尾先生は目を伏せるとコップに口をつけずにテーブルに置いた。

「パパの仕事はこれからどんどん大変になっていくの?」

「そうね… お父様も今回の雨のことでいろいろとお仕事が増えるとおっしゃってたわ」

「テレビでは大丈夫みたいに言ってたけど、あの黒い雨はほんとうに大丈夫なの?だって草も枯れてたし魚だって…… 世界中でも同じようなことが起こってるのに」

「でも大丈夫な木もあったじゃない?むしろほとんどの木も草も大丈夫だし、魚や動物だって大丈夫だった。一部分が衝撃的だったから印象に残ってるのよ」


言われてみれば私達が見たのはほんの一部だろう。

世界中で降った中でほんの一部が異常な光景になった。


「でも次に降ったときはどうなるの?それ考えると不安で怖くて」

「大丈夫よ。お父様が必ず打開策を考えてくださるわ」

優しく言う神尾先生に私はうなずいた。

でも不安は拭い切れるわけもなく。

私のうかない表情を見てか神尾先生はそっと肩に手をかけた。


「大丈夫よ。お父様を信じましょう」

「うん」

「それより誰か好きな人はあれからできた?」

神尾先生はいきなり話題を変えて聞いてきた。

「ええっ!?な、なに急に!?」

「その様子だとできたみたいね」

「そ、そんなのいないって」

郷の顔が浮かんだ。

どうしてよ!?

たしかにドキドキしたり、なんだか変な気分にはなったけど……

そう考えたら顔が熱くなった。


「無理に否定しようとして怪しいぞ」

神尾先生は笑顔で私の腕をつついた。

「べ、別に無理になんて」

う~困った!冷やかされてどもってる!

「もしも――」

きょどってる私を優しく見ながら神尾先生が言った。

「もしも気になる人がいて… その人が自分の中で大きくなるようならまずは触れてみなさい」

「触れる?」

「そう。自分の気持ちを信じてその人と言葉を交わしたりして心を触れてみるの。そして正直に自分の気持ちを伝えなさい」

「心を?」

「もしかしたら残念な結果になるかもしれない。でも互いに惹かれあえば相手もあなたに触れてくる。そうやって触れ合って理解し合えれば素敵な恋ができると思うわ」


う~ん…たしかに郷は気になるんだけど…

そう言われるとな…


「そうだ!神尾先生は?誰かいい人いないの?いつも家にいるけど私達が学校とか行ってるときにデートする人とか!」

聞くと神尾先生はクスッとして、

「今はいないかな…片想いだから」

「ええっ!?ってことは好きな人はいるんだ!?」

半ば冗談で聞いたのに!


「片想いってことは告白とかは?」

「人は誰かを好きになるとその人のことを想うだけで満たされるときがあるの。だから私は今のままでもいいと思ってるわ」

「そうなの…?相手ってどんな人?」

気になる。

どこで知り合ったんだろう?やっぱり私達がいないときに出かけて知り合ったんだろうか?

「それは秘密」

神尾先生はまるで少女のような笑顔を見せた。

そのとき胸元にある金のロケットが目に入った。

神尾先生がいつもしているやつ。


「もしかしてそこに写真とか?」

「さあ……」

ニコッとして首を傾げる。

「ずるいよ!見せて!」

ふざけて手を伸ばすのを払われる。

二人でじゃれあう様に戯れた。


「いつか、マリアが大人になったときにちゃんと見せるわ」

笑顔で言う。

大人っていうと18歳?20歳かな?

「それまではこのことは内緒ね」

「うん」

こんな神尾先生は初めて見た。

まるで私達と変わらない、16歳の女の子みたいな一面。


「スマホとかには?写真とか保存してないの?」

「データーなんていつどうやって消えてしまうかわからないじゃない?」

そう言うと神尾先生は私の顔を覗き込むようにして、

「で、マリアの好きな人は?」

「ええ?また私ぃ~」

「白状しなさい」



結局、私はある人の名前を口にした。

もちろん二人だけの秘密で。

だって自分自身、これが恋愛とかわからないし自身もない。

その夜は遅くまで神尾先生と二人でいろんなことを話した。

まるで友達か姉妹のように。





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ