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EDEN  魔王と大天使に溺愛される私は次の神様らしいです  作者: 秦江湖


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終末へのカウントダウン・ルシファー

屋上のソファーで寝っ転がっていると青い空に忌々しい黒い塊が一つ二つと浮かんでいる。

黒い雨の原因、黒い雲の残りだ。



「とうとう始まったね」

ミカエルの声がした。


身体を起こすとミカエルとマルコシアスが屋上の出入り口の側に建っていた。



「なにがだよ?」

わざとすっとぼけて聞く。

「世界の終焉。この地球(エデン)に生きる者全てのカウントダウンが」

涼しい声で語りながらミカエルが歩いてくる。

「しょうがねーんじゃねーの?自業自得だろ」

俺はタバコに火を点けながら答えた。



「あの雨はこれからも降り続けるよ。これからは何度も… 仮に地上の生物全てが死に絶えてもね」

「あの子たちも死んじまうんスかね?」

マルコシアスが言う。

「誰のことだよ?」

「マリアと一緒に暮らしてる二人ですよ」

「俺らにはカンケーねえよ。下等な人間どもなんてな」

詩乃、瑞希の顔も頭をよぎる。

マルコシアスはしょげたようにうつむいた。


「これは滑稽だね。悪魔が人間の心配をするとか」

ミカエルが小馬鹿にしたように言う。


「オマエこそ施設のガキ共のこととかいいのか?」

「どうでもいいよ。どうせ滅ぶ命さ」

ミカエルの奴はこともなげに即答した。

「オマエに聞いた俺が馬鹿だったぜ」

タバコの煙を吐きながら言った。



「とにかく急がないとね。肝心のマリアが世界の終焉に巻き込まれて死んでしまう前に目覚めてもらわないと」


話題を切り替えるようにミカエルが空を見ながら言った。

「でも手がね―ぜ。自発的に覚醒しなきゃ意味ね―ンだろ?」

まったく今まで何をやってたんだって聞かれたら返す言葉もねえ。


マリアがどうすれば自分の中の“主の力”に気がついて覚醒するのか?



「殺しちゃえば?」

「なにっ」

いつの間にか俺達から離れたところにリリスが立っていた。

ゆっくりと歩きながらリリスが話す。

「ねえ?ミカエルさん。あの小娘を殺したらどうなるのかしら」

「どうにもならないよ。マリアを殺しても現在の“主”が終われば宇宙も衰退して死の宇宙になる。天使も悪魔も例外なく滅んでいく」

「なら決まりね」

リリスは笑みを浮かべて言った。

「どうにも覚醒しない、私達になびかないとなれば殺してしまう他ないわ」

「殺したら俺達の目的が達成できねーだろ」

俺が言うとリリスは挑むような目つきで俺を見ながら口を開いた。


「衰退していく宇宙で私達の、悪魔の宇宙を造ればいいじゃない?なにも創造することにこだわる必要なんてないわ。今の宇宙を殺戮と無秩序が支配するようにしてしまえばいいのよ」


リリスの言うことはもっともだった。

俺だって最初はそのつもりだったんだ。

悪魔になびかねえとなったらマリアを殺す。

俺達の意に沿わない“新しい宇宙”なんてものはあり得ない。

そう考えていた。

だが今は――



「そんなことをしても滅ぶだけだよ。まったく無駄なことだと気がつかないか?」

ミカエルがリリスに言った。


「だからこそ最後の覇権を握るのよ。この宇宙の最後に私達悪魔が栄えた証を創るの。最後に笑うのはあなた達天使じゃなくて私達だってね」

残虐な笑みを浮かべてリリスが言う。

絶世の美しさを持つこいつがこんな顔をすると身の毛もよだつような恐ろしさがある。

横からその様相を見ていたマルコシアスが震えあがった。


「愚かな。まったく無駄だ」

ミカエルは頭を振って呆れるように言った。


「さすがに覚醒してしまったら手も足も出ない。でもその前なら所詮は下等な人間よ。チリでも吹き飛ばすように殺せるわ」


「殺すぞ」

「えっ」


得意そうに語っていたリリスが俺を見る。


「俺の邪魔をするなら例えオマエでも殺すぞ」

「な、何を言ってるの!?私はあなたの邪魔なんてしてないわ!最悪の事態を回避するために言ったんじゃない?」

「最悪な事態なんてねえ!俺はマリアを覚醒させる。悪魔の神にしてみせる!そして、その力を使って永遠に栄える悪魔の宇宙を創造する」


リリスは黙って俺の顔を見つめた。

「そう… ならよかったわ」

一言いってから間をおいて続けた。

「誤解しないでほしいの。私はあなたが全てなの。だからあなたの宇宙を創るためなら、あなたが勝つためならどんな犠牲もいとわないわ」

すがりつきながら俺を見つめて言う。

さっきまで冷酷だった瞳には涙が溜まっている。



「わかってるよ」

俺は視線をそらして答えた。

「それと同じ。あなたの野望の支障になる者はどんなものでも排除する」

「わかった。わかったよリリス。だから最後まで俺に任せな」

リリスは涙を拭いながらうなずいた。


「じゃあね。兄さん。僕は僕のやり方で急がせてもらうよ」

ミカエルはそう言うと出口の方へ歩いていった。


「ふん。俺様にもとっておきの秘策があるぜ」

「えっ!?そうなの!?」

リリスが意外そうに聞く。


「俺様を誰だと思ってる。ルシファー様だぜ」

「ああ…やっぱさすがね!」

嬉しそうに両手を合わせてリリスが言う。

対照的にマルコシアスが疑わしそうな視線を俺に向けていた。



もう時間がねえな。

どうしたらいいもんか……





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