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EDEN  魔王と大天使に溺愛される私は次の神様らしいです  作者: 秦江湖


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隔たり・マリア

家に帰ってからも女の子のことが頭から離れなかった。

一つはあの子が学校でいじめにあっているということ。



もう一つは私と――

私の家の人間と関わるなと言われていること。



なんでだろう?




家に帰ると、最近にしては珍しくパパが帰ってきていた。

夕食のときに聞いてみようかとも思ったけど聞けなかった。

言いだし辛いっていうか・・・


和やかな雰囲気の中ではどうしても言いだせなかった。

その代りご飯の後に瑞希を自分の部屋に呼んだ。



「美味しかったね!あの限定スイーツ!」

「うん」

「で?どうしたの?」

「うん… ほら、帰りに見たあの子なんだけど… 瑞希は全然知らない?」


私が聞くと瑞希は目を伏せてから口を開いた。

「藤代アキって子だよ。クラスは違うから話したことないけど」

「そっか…なんでいじめられてるの?」

「理由がいろいろあるみたいで入学してからソッコーいじめられてたよ」

「理由って?」

「川向うから来てるから」

「そ、それだけで!?」

私が驚くと瑞希は首を振った。



「お姉ちゃんわかってないよ」

「なにがよ?」

「真壁さんと仲良いからわかんないだろうけど、あれだって本来考えられないことだから」

「えっ?だってあなたも郷のことはカッコイイとか言ってたじゃない?」

「遠くから見てカッコイイって言うのとは違うよ。まあ、真壁さんクラスなら恐くて誰も文句言えないからアリかもね。でも藤代さんは普通の子だから」

「普通だといけないの?」

「私らの学校ってもともとこっちの街の人しかいないんだよ。

合併はしたけど校舎が違うからなんとかなってるだけ。ウチらの校舎に向こうから通ってる子なんて藤代さんが初めてなんだから」

「だからって」

「それに藤代さんの場合は川向うからこっちに入学してきたからみんな差別しまくりみたいよ」

「まさかあなたも?」


瑞希は首を振った。

「私はそういうの嫌いだから。でも同じクラスだったらいじめないまでも関わらないよね。聞いた話だとこっちに通ってるせいで向こうの人達からも標的になってるみたいだし」


暗い気分になった。

変な話し、彼女は向こうの人達から見たら仲間のはずなのに。

その仲間からも差別されてるなんて……



「他には理由は?」

「あくまで噂なんだけど」

「うん」

「あの子のお母さんが風俗で働いてて、そのお金で入学金やら授業料払ってるんだって。あの子自身も援交して生活費稼いでるとか・・・」

「でも噂なんでしょう?」

瑞希はうなずいてから続けた。

「あとは化け物って言われてる。化け物の子って」

「なにそれ?」

「あの子の両親、こっちに来る前に事故で大怪我したのよ。それが一週間もしないで退院してさ、怪我の跡すら残ってないんだって」



その話しを聞いたときにドキッとした。

私にできた怪我……

気がついたら跡かたもなかった……

でもかすり傷と事故の怪我じゃ大違いか。

「まあ小さい怪我ならみんなあっという間だろうけどさすがに入院が必要な怪我だからね。みんな陰で騒いでたよ」


瑞希の話しだと藤代さんが小学生のときにそういう事故があったらしい。

らしいというのは、川向うから入学してきた彼女のことを誰かがいろいろ調べた。

ご丁寧に前の学校のサイトとか使って。

事故の件がほんとうかどうかは知らないけど、彼女はそれから程なくしてこっちに引越してきた。

そして入学してきたらしい。



「じゃあウチに、私たちの家の人間と関わるなって言われてるのはどういうこと?」

「し~らない」

瑞希はお手上げみたいなポーズをとった。

「僻みじゃない?」

「僻み?」

「そっ!向こうの人達はこっちを嫌ってるの。裕福だから。だからじゃん?ウチなんて特にパパは有名人だし世界的な学者なんだから妬みのいい的だって」

それを聞いて複雑な気分になった。



「お姉ちゃんが気にすることじゃないよ。どうにもならないって。向こうと仲悪いのは昔からなんだから」

どうしてだろう?

「そうだお姉ちゃん!今月買った雑誌貸してよ」

「うん!好きなの持っていって」

「サンキュ~♪」

ベッドのわきに積んである雑誌を選びながら瑞希が言った。


「私ももう少し背が伸びたらお姉ちゃんの服とか借りれるのにな~」

「まあ、もうちょい大人になってからだね!子供にはまだ早いって」

「精神的には大差ないと思うけどな~」

「なんだって?」

「ウソウソ!ごめんなさい!」

わざと怒った風に言うと瑞希は笑って雑誌を2冊かかえてドアの方へ逃げた。

「じゃあお姉ちゃんおやすみ!」

「うん!おやすみ!」

愛らしい笑顔を見せて瑞希はドアを閉めた。



一人になった私はさっきまでの瑞希との会話を思い出して考えた。

住んでいる場所がちょっと違うだけでどうしていがみ合うのだろう?

どうしてお互いが理解しようと歩み寄らないのだろう?


藤代さんのことが二つの街の歪な関係を象徴しているように思った。

こういう問題ってどうしたらいいんだろう?

向こうは私と関わりたくないって言ってるけど……

でも放っては置けないよなぁ……






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