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EDEN  魔王と大天使に溺愛される私は次の神様らしいです  作者: 秦江湖


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涙と動悸と幸福と・2 自暴自棄

夕暮れの道を一人で歩く。



私のもう一つの悩みは、自分が普通の人間ではないということだ。

今はみんなと変わらない人間でも、そのときがくれば違う存在になってしまう。

今まではピンとこなかった。


あの二人、郷と白神先輩が悪魔と天使だとわかっても自分が神様なんていうのは他人事のように捉えていた。



でも化物――

魔神に襲われてからは考えが変わった。

あれは私を狙ってくる。


最初は学校を襲って、関係のないクラスメートを巻き添えにした。

この前は一人だったからよかったけど、このままいたら私のせいで関係のない誰かが被害にあってしまう。


それがもしも美羽だったりリリだったら?

パパや神尾先生、詩乃や瑞希だったら?



私の自覚なんて関係なしに事情を知っているものは襲ってくる。

私がこのままのうのうと普通に生活してたら大勢の人に迷惑がかかる。

否応なしに突きつけられた現実。


だったら私はみんなから離れないといけない。

誰もいない無人島とかなら迷惑かからないよね……

一人で歩きながらそんなことを考えた。


家についてもそれは変わらない。


暖かい家。


愛しい家族。


楽しい友達。


優しい時間。


人としての“幸福”その全てを捨てないといけない。

私にはとてもできないよ……


最近の私は一人で考えて悩んでの繰り返しだった。

抱えきれない大きな現実のせいで自分の中がグチャグチャで、頭にきたり悲しくなったり……


夕食を終えて部屋にいるとドアがノックされる。

「誰?」

「俺だけど」

詩乃だ。


「どうしたの?」

詩乃を部屋に入れると私はベッドに座った。

「なあ?最近なんか悩んでないか?」

「えっ」

私の椅子に腰掛けるとまっすぐ私の顔を見ていった。


「ここんとこちょっと様子が変だからさ」

「何言ってんの?そんなことないよ」

なんでわかったのかな?

極力顔には出さないようにしてたのに。


「隠すなよ。わかるって。何年一緒にいると思ってるんだよ?」

そうだよね……

私がうつむくと詩乃は続けた。


「瑞希だってああ見えて気がついてるし、もちろん神尾先生だってな」

「ごめん、なんか心配してもらって」

申し訳なかった。

でも神様云々とかそんなこと言えない。

「いろいろと考えちゃってさ……」

「なにを?」

「いきなり失っちゃうっていうか…… こうして詩乃と話したり瑞希や神尾先生と過ごすあたりまえの時間があって、それがある日いきなり無くなっちゃうとか考えたら自分でも止まらないっていうか」


私は正直に言わなかった。

ただ、自分の中にある不安の一部だけを話した。

それはあれに似ていた。

「自分は死んだらどうなるんだろう?」

そんなことを小さい頃にふと思った。

考えだしたら止まらなくて、怖いのと悲しいので自分の中がかき乱された。

何歳だったかは覚えていない……


「俺らも来年は17歳だもんな……」

詩乃が天井を見上げながら言った。

詩乃の言葉から、詩乃は私が17歳病のことで悩んでいるものだと勘違いしていることがわかった。


「いきなり死んじゃうんだもんな…… たしかに俺も考えだしたら怖いけどさ…… それより怖いものがあるんだ」

「なに?」

「マリアがいなくなっちゃうことだよ」

「えっ」

詩乃は照れくさそうに私から視線をそらすと続けた。


「俺も瑞希もさあ、いきなり両親を事故で無くしちゃったじゃん?さっきマリアが言ってた“あたりまえ”が突然無くなったんだよ」

「そっか…… そうだったよね」

「だから俺も瑞希も、突然奪われるのはご免なんだよ」

「私だって詩乃や瑞希がいない生活とか考えられないよ」

「俺もなんて言えばいいのかわからないけどさ、溜め込んでないで、自分の中がパンクしそうになったら俺らに話してみろって」

「うん。次からはそうするよ」

詩乃の言葉に笑顔でうなずいた。



「ありがとう。ごめんね、気を遣わせちゃって」

「気にすんなよ」

それから少し学校でのこととか話してから詩乃は出て行った。



詩乃が出て行った後に心の中で謝った。

ごめんね。

私は正直に話していない。


自分を心配してくれる家族に対して正直に話さなかったことが嫌だった。

私がいなくなったら詩乃や瑞希、神尾先生もパパも悲しむだろう。

でも、いたら迷惑がかかる。


どうしたらいいんだろう……?

部屋を暗くしてベッドに横になる。

カチ、カチと時計の音ばかり耳に入る。

いくら考えてもどうしたらいいのか答えが出てこない。

そのうち考えるのもだんだん疲れてきた。



もう……


どうでもいい……






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