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EDEN  魔王と大天使に溺愛される私は次の神様らしいです  作者: 秦江湖


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涙と動悸と幸福と・1恋バナ

一ヶ月が過ぎた。


あれ以来、恐ろしい化物が私の前に現れることはなかった。

私の毎日はとても平和で、穏やかで……

ちょっと騒がしい。


騒がしいっていうのは郷と白神先輩が……

まあ、私を自分たちの神様にしたいがためによくしてくれるんだけど、それが人目をはばからないというか……


そんな二人や友達との触れ合いが楽しくって私は自分の運命なんて忘れてしまいそうだった。




その日の放課後、私はリリと美羽とファーストフードのお店に行った。

「迷うな~!その選択!!」

美羽が真剣に悩んでいる。


腕を組んで少し考えてから口を開いた。

「私は白神先輩」

「ふうん、美羽ってああいうのが好みなんだ」

リリがフフッとして言う。


「だってどっちか選べって言われたらさ~どっちもいいんだけど私はタイプ的に“知的な王子様”って感じが好きだから」

照れながら言うとリリにふる。

「リリは?どっちがタイプ?」

「私はもちろん真壁郷」

リリは即答だった。


「でもリリなら白神先輩も似合いそう」

美羽が言うとリリは首を振った。


「私、ああいう優等生タイプって好きじゃないの。やっぱ男はちょっと危険な感じがないとね」

「ああ~それもわかるな~」

美羽、納得。


「でも詩乃君もいいかも」

私の方を見てクスッとする。

えっ!?

リリって詩乃もタイプ!?


「ちょっ!ずるいよ二人も!」

美羽がつまんだポテトを持ちながら言った。



なんの話しをしているかというと郷と白神先輩のどっちが二人はタイプかということで盛り上がっているのだ。



「だって二人ともタイプなんだもん」

悪戯っぽく笑うと私の方を向いた。

「マリアは?どっちがいいの?」

「そうそう!それ聞きたい!」


美羽はちょっと乗り出して、リリは優雅にアイスティーを飲みながら私の言葉を待つようにじっと見た。

「私は……」


それを聞かれるとほんとに困る。


だってあの二人は恋愛じゃないんだから。


私の気持ちがどうこう以前に、あの二人にそんな感情がない。

私によくしてくれるのは自分たちのためなんだから。

その事実を認識するたびに私はちょっと胸の奥につかえのようなものを感じる。

それともう一つの悩みがあった。


「マリア悩みすぎだよ~早く教えて」

美羽の言葉で我に返った。


「選べないっていうか、そういう気持ちないし」

「そんなマジで取らないでよ、軽くどっちがいいかって話しなんだから」

「そっか…ごめん」

なんか軽く言えばいいのになにやってんだろ…

空気微妙にしちゃったかな……


「マリアには真壁郷の方が似合うかもね」

「えっ」

リリの言葉に驚いた。

「ほら、マリアの武勇伝とか聞いたけど、どっかお嬢様っぽいじゃない?そういう子ってワルっぽいのが刺激になっていいんだって」

リリの意外な分析。


「ちょっと、私の武勇伝って?」

「旧校舎の不良を男二人やっつけたって聞いたよ」

リリが美羽を指して言う。

「けっこう有名よ。それ」

美羽が言ってるのは私が最初に旧校舎に行ったときに絡んできた不良をやっつけた件だ……

知らないとこで広まってたわけね。


まあそれは置いといてと、


「でも私はああいうガサツな感じってちょっと。それに女癖悪そうだし」

郷には悪いけど冗談みたいに言った。

でも私と会うまではいっぱい他の人とそういう関係になってたみたいだし……

どういう感情で付き合ってたんだろう?


「じゃあ白神先輩は?」

美羽が聞いてくる。

「白神先輩は……素敵だけどちょっと変わってるから」

知的だし年上で優しいけど……



前までは二人がいることが単純に嬉しかった。

でも最近になって変に考えてしまう。


「いいな~マリアは。あの二人から選べるんだから」

「選べるとかって、そんなんじゃないから」

美羽に言う。


「でも選べないってことはそれだけ真剣に考えちゃってるんだよね」

「いやいや、それとは違うって!」

茶化すリリに慌てて訂正。


二人はそんな私の反応を見て笑った。

話題はかわって5時限目のテストの話しになった。

私は楽しそうに話すリリと美羽を見ていた。


「どうしたのマリア?」

「ううん、なんでもない」

笑って答えるとトレイにひろげられたポテトをつまんだ。



毎日他愛もないことで笑ったり時間を忘れて喋ったり。

なんでもないことだけど二人の笑顔を見ていると、それがとても愛しくて大事なものだと思えてくる。

いつまでもこの暖かい時間の中にいたいな……


楽しい時間を過ごしてみんなとバイバイした。





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