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好きなことをがんばれない人へ

作者: せきらら

 8月上旬、私の前には3つの不合格通知があった。

 教員になるためにこれまでがんばってきたはずの試験結果は散々なものだった。親や周囲の人からは慰めの言葉と同時に他の道の模索を促された。


 しかし、私の中にあったのは「なぜ自分はがんばれなかったのか」という問いだけだった。


 少し昔を振り返ってみた。

 私は小学校高学年までは手のかかる生徒だった。宿題はやらず、授業は聞かず、生徒同士の揉め事もあった。ただ、高学年に上がってからは担任の先生によって矯正され、テストでも高得点を連発するようになった。

 中学では1年生の時に恩師と呼ぶべき人と出会い、助言に従い愚直に努力したことで県内の普通科で最難関の高校に入ることができた。

 だが、高校に入ってからのテストは鳴かず飛ばずだった。それでも、多くの友人を得たことで生活は充実し、大学も合格点ギリギリで入学することができた。


 思い返してみると私が教師を目指すと周囲に明かすようになったのは中学からのことだったので、恩師の影響が大きかったのだろう。

 しかし、大学4年の今になって私は何のために教師になりたかったのか分からなくなっていた。


 なぜ教師を目指すのかと聞かれたとき私は「教えるのが好きだから」、「人の成長を見るのが好きだから」と答えてきたが、これらは全て私が出会ってきた教師の受け売りだった。

 私は自分の言葉でなぜ教師を目指すのか説明することができなかった。


 なぜがんばれなかったのかの答えを得られないまま大学生最後の夏休みは終わり、私はある漫画と出会った。そこでは人生にやりたいことを見つけられず、効率的に生きることを是としていた主人公が一つの絵画との出会いをきっかけに東京芸術大学を目指す物語だった。

 その中で「好きなことをする努力家は最強なんですよ」と「好きなことをやるっていつでも楽しいって意味じゃないよ」という台詞が印象に残った。


 私はその主人公と自分を比べてようやく自分の空洞を目的の欠如を知った。

 すなわち、私にとって教師はなるべきだろうと思いこんでいるだけのものだったことに気づいた。


 長年自分は教師になると自己暗示をかけていたようなものだ。だが、教師以外の道を進んだ私を想像することはできなかった。教師になるだろうと決めつけ他の職業を知ろうとしなかったためだ。


 大学に入学してすぐ教授に何でも疑うことを教えられたが、自分自身を疑うことはついぞしなかった。

 ある人に今回の不合格は最初の試練だと言われた。しかし、私には試練に立ち向かうための目的がもう無かった。 

 どうすればいいのか?

 答えはまだでない。

私の誰にも伝えられていない正直な気持ちです。

もし、今人生の岐路に立っている人が読んでくれているなら、自分自身になぜと問い掛けることをおすすめします。

目的なく突き進んでどこかで立ち止まって絶望することはなくなるので。

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