「夏休み予算削減」から見る庶民の深刻な「スタグフレーションマインド」
筆者:
今回は「夏休み予算」から見る「スタグフレーションマインド」と言うのを見ていこうと思います。
まぁ、この「スタグフレーションマインド」と言うのは僕が勝手に言っているだけですけどね(笑)。
質問者:
(勝手に作るなよ……)
ところで今どう見てもインフレなんですけど、インフレマインドでは無いんですか?
あと政府が未だに「デフレ脱却宣言」をしないのか教えていただけますか?
筆者:
デフレやインフレと言うと、どうしても「物価が下がった」や「物価が上がった」
というところにどうしても焦点が当たった話になってしまうのですが、
政府見解や経済学的には「デフレ脱却」と言うのはまだ全然できていないのです。
質問者:
え!? そうなんですか……。
筆者:
内閣府は2006年、「デフレ脱却」を判断するための条件として、
1 消費者物価指数(CPI) ⇒28カ月連続で2%を上回る
2 国内総生産(GDP) ⇒6四半期連続でプラスの後マイナス
3 単位当たりの労働コスト ⇒ プラスとマイナスを行き来
4 需給ギャップ ⇒ 一時プラスになるもその後マイナス
の4基準を示しておりこれは今も適用されているようです。
そしてどれも希薄な状況なんですね。
2,3,4に関してはプラスとマイナスを繰り返しており状況で気にはデフレ脱却とは到底言えないのです。
質問者:
1に関しては流石に達成していると言えるのではないですか?
筆者:
現在において1すらも「日銀が本来求めていたインフレ」では無いのです。
現在におけるインフレは原油や食料品など輸入で頼っている部門にが円安によって値上がりしているコストプッシュインフレです。
円安で輸出企業が儲かっているにもかかわらず6半期(3年)連続で貿易赤字になっている状況なので、日本の国富は円安が進み過ぎて海外の資源購入で自然に消えている状況と言えるのです。
何せいま日本で輸出産業と言えば車しかないですからね。後はインバウンドが過去最高とか言っていますけどそれでもこの有様だという事です。
そもそもの話“デフレ”の一番悪い本質と言うのは「縮小再生産」というところにあります。現在物価高なのは景気が過熱しているからと言うのと全く違うというところを抑えていただければと思います。
質問者:
円安のメリットを活かすことが出来ていないという事ですね……。
筆者:
こうなると普通考えれば国内需要を喚起する政策をするのが筋というものですが、
むしろ“景気が過熱しすぎてしまうぅ!”と過度にマスコミや専門家などは煽り続けているのです。
現在の「2%物価上昇の目標達成」と言うのは景気の好循環から起きているディマンドプルインフレでは全くもってないという事をこれを読んでくださっている皆さんだけでもご理解いただければと思います。
マスコミはこの区別をしていないのについては本当辟易しています。
◇“夏休み予算“のデータが二極化
質問者:
冒頭の夏休み予算のお話に戻るんですけど、
なんかデータが2極化している気がするんですよね。
調査会社のインテージ(東京・千代田)は2024年の夏休みに関する7月17日発表の調査結果では夏休みの予算総額は前年比2.6%減の平均5万8561円とあるんです。
でも、明治安田生命保険が7月18日公表した2024年の夏休みに関するアンケート調査によると、レジャーなどに使う1世帯当たりの平均予算は前年比1万296円増の8万2964円と3年連続で増加
と随分と金額と状況に差があるんですけどどうしてこんなに違うんですか?
筆者:
まずデータを取っている母集団からして全く違うと思います。
明治安田生命保険は保険に入ることが出来る又は興味がある余裕のある人の平均が8万3千円ぐらいというのに対して(分母1000人ほど)、
インテージの方は国民全体の平均が5万9千円ぐらい(分母5000人ほど)と言う感じに捉えた方が良いと思います。
質問者:
確かに生命保険に入る人ってどちらかと言うと年末調整や確定申告で税額控除に対して使う方が多い気がしますね……。
それはある程度余裕がある人という事ですか……。
筆者:
今月の最初の方のエッセイで紹介しましたが10人に1人のお子さんを持つ家庭が「家にいられると昼ご飯を作るお金が無いから夏休みを短縮または廃止して欲しい」と思っているほどですからね。
それらを考慮すると日本全体で見る場合においてはインテージの夏休みの予算総額は前年比2.6%減の平均5万8561円と言う方を重く見た方が良いと思います。
さて、どうして予算が減ってしまったのかインテージのアンケートでの複数回答によりますと、
「物価高・円安だから」が51.5%
「給料が増えないから」35.2%、
「電気代・ガス代が上がるから」33.1%
「将来が不安だから」26.1%
「猛暑で外出が減りそうだから」19.6%
と言う感じになっています。
一方で予算が増える理由も「物価高・円安だから」が最多の26.9%となっています。
ただ、値上がり分をそのまま受け入れると言うより日頃の日常的な活動に精一杯のために遊興費に予算を回せないために節約志向の状況になっているという事なのでしょう。
この物価高と同じだけ上がれば(物価上昇率2.6%)景気の好循環が期待できる流れだと思うのです。
しかし、実際は節約で逆に2.6%減少と言う結果になっているので現在の節約の「消費性向」を如実に表していると思います。
この消費性向の度合いは間違いなく「縮小再生産のデフレ状態」と同じと言えると思うんです。
質問者:
横ばいならまだしも減少と言うところが問題ですよね。
それだけ日頃からの生活に苦しいという方が多いという事なんでしょうね……。
筆者:
これが僕が思う「スタグフレーションマインド」だと思うわけです。
本来のデフレマインドは値段が下がると思う事による節約ですが、
今の日本の場合は値段が上がると思っているけど節約という事ですからね。
デフレマインドより良くない状況だと思います。
売上数そのものは減っていくわけですからね。
ただこれの改善方法・処方箋はかねてから僕が申し上げているように、
消費減税と社会保障支払いの減免で解消していくわけです。
しかしマスコミは、経団連給料伸び率過去最高! 株過去最高! どうして金利を上げないのか? などと政府の政策が成功しているかのように見せかけているのです。
経団連・労組に所属している方は何とかなっていると思いますが、
8割の人間にとっては給料の手取りが増えず(むしろ税金・社会保険料は増えるため減る)物価だけが上がるスタグフレーションの状態といっていい状態なのをもっと追及していく必要があるでしょう。
質問者:
政府とマスコミはどちらかと言うと「好景気だから稼げていない人は頑張りが足りない」と言う話に持ち込もうとしていますけど、
働いても働いても税金が取られるという状況は、
どう見てもシステムとして異常ですよね……。
筆者:
でも政府としてはこれが“効果的“なんですよ。
忙しく働いてくれることで疲れ果てて政府批判をしない人が増えてくれますからね。
北朝鮮のように自分の言う事を聞く上の人だけを裕福にして、一般国民を飢餓状態にした方が叛乱を起こす気力すら失わせるために独裁体制を築けますからね。
日本の場合は民主主義ではありますが“特権階級”しか立候補そしてマスコミが取り上げてくれないので、同じような構図が完成してしまっているわけです。
政府が適切なところに経済資源を振り分けない、払えない人から取り過ぎと言う“人災”の状況と言えるんですけど、批判する元気が国民に無ければ安泰ですからね。
質問者:
ちょっとあまりにも酷い話ですね……。
筆者:
あとは「財政破綻する」ということにしておいて毟り取り、
財務省やその背後にいるアメリカの影響力が大きいという点ですね。
またこれについて「海外が助けてくれる」という事は考えてはいけないと思います。
今、全世界的に「自国第一主義」の勢力が強まっており、海外の他の国まで構っていられる状態ではないからです。
日本国民が有効な解を見つけ出す(僕としては消費税減、低所得の社会保障減免、税収を気にするなら法人増税)ことが大事だと思いますね。
質問者:
そうしなければ「スタグフレーションマインド」からは脱却できないという事ですか……。
筆者:
まぁ、それでも政府は国内需要が下がってくれることは増税が実現できればOKなんだと思いますけどね。
経済の縮小再生産についてもインバウンド需要喚起と、
外国人受け入れによる、いわゆる河野氏が言うような「新しい日本人」を増やすことを目指しているようですからね。
国内の観光需要はむしろオーバーツーリズムですし、世界では移民と元からいる自国民とで対立があるという事実についても広めていこうと思いますね。
質問者:
なんかその点が全く懸念点として無いのが恐ろしいですよね。
筆者:
マスコミが“グル“になって政府のプロパガンダ機関に成り下がっているのが痛いですね。
という事でここまでご覧いただきありがとうございました。
今回は現在は「スタグフレーションマインド」とも言える消費性向になっているという事、それを脱却するためには消費減税と低所得者層に対する社会保障減免立ち追うことをお伝えさせていただきました。
いつも皆さんがご覧いただいていることで励みになっています。
今後もこのような政治・経済、マスコミの問題について個人的な解説をしていきますのでどうぞご覧ください。