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10話 初仕事に向けて

すみません、投稿が遅れました。

「おはよう。昨日はとても良い夜だったわね。」


早朝。

目が覚めると、横には豊満で綺麗な身体を露わにしたアタランテが俺の身体を抱きしめていた。

なんか、アレだな…最初に出会った印象とだいぶ変わったな…これも魔眼の効果なのだろうか?

うっ、不味い…俺の下半身が段々と起き上がって来やがった…それに気付いたアタランテが、耳と顔を赤らめる。


「あら、朝からお盛んね?でも奇遇ね、魔眼の効果なのか分からないけれど、貴方のソレを見てから疼きが止まらないの。」

「だ、だが今日は魔眼の効果を試す為に、野良魔物狩りをしようと思ってて…ひゃう!」


俺の言葉を遮るようにして、彼女の手が俺の局部に添えられる。

そして、そのまま俺の口を貪るようにしてキスをしてくる。

どうやら、彼女の誘惑から逃れるには手遅れらしい。


「一回だけ、だぞ?」

「だーめ、三回。」


その朝から昼方に掛けて、男女の激しい嬌声が宿や街中に響き渡っていた事を俺達は知る由もなかった。


ーー


とまぁ、そんな事もありながらようやく俺達は帝都を後にして、帝都のすぐ近くにある森林地帯に訪れていた。

奇妙な形をした草木が覆い茂ったこの森林は、ただの森林ではない。

ここは、帝国が管理する大規模な森林地帯であり、この森林に生息するのは大穴ダンジョンで捕えた魔物だ。

危険度は低いが、沢山の野良魔物が潜んでいるので冒険者達はこの森林で冒険者の育成や魔物との戦闘訓練を行う為に頻繁に使用されている。


「そう言えば、貴方って前衛?それとも後衛?」


アタランテが、不意にそう聞いてくる。


「基本的には後衛だな。そもそも、魔眼使いの殆どは支援系の能力を有する事が多い。仮に戦闘系の魔眼を持っていたとしても、大して使い物にならない。下手に前に出れば、他の前衛の邪魔になる事もあるしな。」


「それに加えて、知ってるだろうが…魔眼使いは支援系の中でも最弱だ。その支援能力は純粋なバッファーと比べても格段と劣る。だから、魔眼使いは基本的にパーティーの司令塔として指示を出したりするのが役目だな。」


「大変なのね。魔眼使い、噂には聞いていたけれど…皆んなが皆んな、貴方みたいな力を持っている訳ではないのね。」


「そうだ。

まぁ、さっきも言った通り俺は基本的にお前達を後ろから支援しながらパーティー内の要でもある司令塔を務める。

俺がお前達を指揮しコントロールし、的確なタイミングを見極めて魔眼よるバフとデバフを上手く使い分けてサポートも熟す。その為には、俺の指示に従順に従って貰う必要がある。だからなるべく、パーティーメンバーは女で固める。

理由は分かるか?」


「ええ。貴方が私に使った【色欲の魔眼】の力よね?」


「ああ。その魔眼を受けたら最期、俺が自分の意思で解除しない限りその効果は永遠に続く。

重度の依存状態となり、俺の命令には絶対服従せざるを得なくなり、それがまた快楽となる。

自分でも胸糞なやり方だと思うが、これでもかなり譲歩しているからな。」


「まぁ、それは否定しない。

現に私は、貴方を好ましく思っている。言葉を耳にする度にその感情が高まっているし、貴方の言葉を耳にする度に身体がどうしようもない程に性的興奮を覚えている。

腹立たしい程にね?ここまでなら、貴方にだけメリットがあるように見えるだろうけど違うわよね?」


「まぁな。【色欲の魔眼】の権能『傀儡』の効果を使えば、俺の所有物となった者の力を常時引き上げる能力を持っている。今の所、メリットと言えるモノはこれだけだが、ランクが上がれば権能も増えて来るかも知れないしな。」


「そうね。期待してるわ坊ちゃん。」

「おい、子供扱いするな。あと、胸は押し付けても良いが…って、話が逸れたな。

とにかく、現段階は俺もなるべく前衛で戦う。お前の後衛能力は疑ってすらいないが、期待を裏切るなよ?」

「当たり前よ。因みに私の胸の大きさはFよ。」


いや、別に聞いてないんだが。

て言うか、デカいな。


「さてと、無駄話はここ迄にしようぜ。目的地にも着いたしな。」



 辿り着いたのは、大森林でもかなり木々が入り組んだ場所。

辺り一面何処を見渡しても木々が視界を塞ぐ。

地面は様々な魔物や動物達の足跡が数多くあり、無惨にも魔物の餌になった動物の死骸が転がっている。

目を閉じて、耳を覚ますと、魔物の荒い息遣いや足音が聞こえて来る。

そして、俺達を餌と思い込み狙いを定める無数の魔物の足音も聞こえて来る。


「立ち止まったけど、どうしたの?」

「なに、軽いテストをしようと思ってな。お前に施した、俺の魔眼の効果を試すのと、お前が何処までやれるかのな。」

「なるほどね。」

「丁度、この辺りは風翠狼(ウィンウルフ)の縄張りだ。既に俺達は囲まれている。」


 風翠狼(ウィンウルフ)、この大穴ダンジョンと繋がった大森林で猛威を振るう魔物の一種。

魔物と言っても本来の大穴ダンジョンに出没する個体とは異なる。

本来は一匹狼を好み、その強さもDランクの中でもかなり上の方で油断すれば新人冒険者なら敗れてしまう。

この森に出現する、ウィンウルフは雌が20を越える雄のハレムを従え群れで獲物を襲う習性を持っている。


こう言った群れで活動する魔物は危険視されているため、これを冒険者ギルドは定期的に討伐依頼を出している。


「そこでお前には、奴らを討伐して貰う。」


「私の実力を試すにしては簡単すぎる相手だと思うのだけれど。」


「そうか?なら、その証拠を見せてくれるよな?」


俺は、分かりやすく挑発する。


「…分かったわよ。」


 アルマは俺が言いたいことを理解したようだ。


野伏レンジャーのスキルは何処まで使えるんだ?」


「私の索敵レーダーは20メートル以内の範囲ならどんなに微少な物でも発見出来る。因みに、風翠狼(ウィンウルフ)は現在ーー15メートル程の距離から全方向、私達を完全に囲みながら近付いている。」


マジか。

普通のCランクの野伏レンジャーによる索敵レーダーの索敵範囲は5メートル〜10メートル。

はっきり言って、そこら辺の同職とはレベルが違う。


「優秀だな。そこに、『傲慢の魔眼』によるバフと『色欲の魔眼』の権能『傀儡』の効果を使えば索敵範囲は更に増える。

早速、使ってみてくれ。」


俺の指示通りに、アタランテは野伏レンジャーのスキル索敵レーダーを使用する。

そして、彼女はその効果を見て大きく目を見開く。


「す、凄い…これって、まさか…30いや、50メートルまで届いてる!?

貴方の魔眼…恐ろしいわね。」

「どうも。それで、索敵結果は?」

「ええ。私達を囲んでいるのは風翠狼(ウィンウルフ)の群れが40体程、居るわね。」

「そうか。手助けしようか?」

「冗談。」


ま、だろうな。


これは彼女へのテストだと言ったが、俺の為のテストでもある。

ランクアップによって一段階上がった『傲慢』の魔眼によるバフ量とその持続時間を試しつつ、彼女が俺の特殊な魔眼に適応出来るのかを実験する。

俺の魔眼は魔物で言う所の突然変異と同じで、扱いづらい事が多々あるのだ。

例えば、『傲慢』の魔眼による支援バフは掛けた者の脳を一時的に活性化させてありとあらゆる感覚を底上げする力を付与するが、酷く依存性が高く人体に悪影響を及ぼす事が殆どだ。

幻覚・幻聴・妄想など、日常生活を送る事が難しくなってしまう場合もある。


実際、俺のバフによって何人もの冒険者が適応出来ずにそう言った症状に陥った。

あの時は大変だった…


つまり、これは今後の活動をするにあたって必ず確かめておかなければならない物なのだ。

俺の魔眼によるバフに適応出来るか…否か。


そう言った点では『希望の燈』のメンバーはかなり優秀だった。

初めこそ、皆がその症状に苦しんだがたった数日程で克服した。

そのあとは、何の問題もなく俺のバフを受けても平気だった。


アタランテはどうだろうか。


彼女個人の能力を見れば他の冒険者の何倍も優秀だ。

しかし、幾ら優秀だとしても俺の魔眼バフは例外だ。

個人が優秀であれば優秀な程に、魔眼の力によって与えられるバフ量が大きい。

つまりだ、その分後遺症と言うデメリットを倍以上に抱える可能性が高く適応が難しい。


「さぁ、やるぞ。」


『傲慢の魔眼』を開眼する。

蒼く煌めく魔眼で、アタランテを視る。

そしてスキルーー『薬物注入(ドーピング)』を付与する。


「凄いわね。私の身体じゃないみたい。」


「この魔眼の効果は見た者の、身体能力や魔力と魔力と疲労の回復速度が上昇している。15〜20%と言った所だな。」


「更にそこに、貴方の『色欲の魔眼』の『傀儡』の効果が幾らか上乗せされているのね。」


「そういう事さ。さてと、準備は良いか?」


「少しだけ待って。」


外套を脱ぎ捨てる。

チャイナドレス風の鎧が姿を現す。

発達した胸部と尻部が妙な色気を醸し出す。


「ーー来れ、我が声届くならば。」


と、呟く。

すると、小さな棒と筒が光を放ち形を変えてゆく。

棒は彼女の背丈ほどの大きさがある弓と矢が姿を現した。


原理は分からん。

ただ分かるのは、あの弓矢は推定でもレベルⅤ以上の魔物によって造られた武器だろう。

そしてあの服装も見た目はただのチャイナドレス風の鎧だが、その材質は高位の魔物の素材が使われている。

防御性は抜群で、伸縮性もある。


「準備が出来たなら初めてくれ。」


「スキルーー『集中』。

スキルーー『鷹の目』。

スキルーー『必中』」


野伏レンジャーのスキルを使う。

『集中』:体中の神経を研ぎ澄ませ限界まで意識を集中させる効果を持つ。

『百里眼』:遥か遠くの景色を見渡す事が可能で、目視できない様な存在もその視界に捉える事が出来る。弓使いにはもってこいのスキル。

『必中』:狙った獲物に必ず飛道具や攻撃が命中する。


それらのスキルを駆使して彼女は、矢を乗せた背丈程の大弓の弦を引き絞る。

弓を引き絞る腕は、鍛え抜かれた筋肉が顔を出す。


「ーー『剛弓』!」


ありったけの力が込められた矢が放たれる。


凄まじい轟音が鳴り響き、木々を木っ端微塵に破壊しながら飛来する。


「ーー『散矢』!」


瞬間ーー放たれた矢が、増えた。

20を超える矢が、俺達を狙っていた風翠狼(ウィンウルフ)を次々と貫いてゆく。

魔眼よる効果によって、威力・精度・速度が上がった矢は数十秒も経たずにすべての風翠狼(ウィンウルフ)を蹂躙してみせた。


戦闘終了(ゲームセット)


「完璧だ。」


もう少し苦戦するかと思ったが、問題なかった。

俺の魔眼による後遺症による影響も無し…全く、コレだから天才は困る。

素質はアルト以上だな。


神残の豪弓(アルテミス)』の弟子だし、この位は出来ても当然か。

まぁとにかく、もう本格的に活動を始めても問題なさそうかな。


「うん、合格だな。これなら、依頼されていた仕事を受けれるかもな。」


「依頼って?大穴ダンジョンじゃなくて?」


「いいや、それはまだ危険だな。後衛2人だけじゃどんなに優秀でも厳しいからな。

俺達がコレからやる依頼は、コレさ。」


 懐から一枚の依頼書を取り出す。

それをアタランテに見せた。

昨日、冒険者ギルドから直接俺宛に送られてきた依頼書。

書かれた内容はこうだ。


「冒険者ギルドより冒険者フェル・アルゴメリアへ。帝都より少し離れたオロカ村に小鬼ゴブリンと傭兵崩れの盗賊が徒党を組み出現。

オロカ村の村長の指名依頼により、フェル・アルゴメリアに傭兵達及び小鬼ゴブリン達の討伐を依頼する。

へぇ〜、なるほどね。」


「そういう事さ。」


冒険者というのは、ただ大穴ダンジョンを攻略し魔物を狩る事だけが仕事ではない。

大穴ダンジョンより放たれた膨大な魔素によって凶暴化した魔物の討伐。

帝都や帝都外の村々で略奪行為などの犯罪を行う盗賊団や悪逆な傭兵達の討伐。


凶暴化した魔物や犯罪者は、帝都に住まう帝都人やその近隣に住まう村人達の平穏を脅かす危険な存在だ。

そんな脅威を無くすことも俺達冒険者の立派な仕事でもあるのだ。


とは言っても、大穴ダンジョン攻略の仕事とは違って珍しい宝物も無いし、危険性も低いので報酬金も少ない。

夢もクソもないが、金という対価を払われている以上、俺たちにとっては蔑ろには出来ない仕事なのだ。


『希望の燈』の時もそうだった。

その頃、俺は冒険者になりたてだったので彼らと共に依頼をこなし、徐々にパーティの連携などの精度を上げていった。


本来。

こう言った依頼は、噴水広場の掲示板に貼られていて、冒険者は其処から依頼を受ける事が殆どだ。

しかし、例外もある。

それは依頼主が直接、冒険者に指名する指名依頼だ。

とくに、村などの小さい場所は貧困の場合が多く報酬金がどうしても少なくなってしまう。

その為、殆どの冒険者はその依頼を引き受けない事は珍しくないので依頼を受けて来てくれた冒険者は貴重な存在だ。


村を助ける気もない領主が重い腰を上げた時には、村や集落は魔物によって襲われ、最悪の場合滅びてしまう。

だから、彼等は冒険者に依頼を出す。


オロカ村の村長は正にそれだ。

その時の依頼内容は、凶暴化した魔物の討伐。

依頼達成後、また困ったら助けてやる。と村長の娘と誓約を交わしてしまったのだった。


その約束を覚えていたオロカ村の村長は、娘を通して俺…『希望の燈』に直接指名依頼を出したのだろう。

断るという選択肢もあったが、あのギルド長に半ば強引に今回の依頼を受けさせられた。

だが丁度よかった。

これから、パーティとして精度を上げる為の礎になる。


 報酬は分かっていたが少ない。

まぁ、村人が50人にも満たない小村だしな。

だが、今回は傭兵崩れのゴミ共の討伐…ああいった奴らから、奪えば多少の足しにはなるかもしれん。

それに、久しぶりに彼女にも会いたかったしな。


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