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第3話 嘘つきゴミジョブ野郎と言われたよ

ムハがみんなに必死になっていた喜びを見せるが、僕の反応を見てみんながムハ達を怪しんでいるのが分かる。なので僕はみんなに向かって話し出した。


「ムハ、無理に喜ばなくていいよ。僕がここに来たのが都合が悪いのだってわかるさ。」


「な、何言ってるんだ?お前が無事に帰ってきたんだ、素直に喜んでるんじゃないか!」


「そう、素直にね。でも、あのダンジョンに僕を置いていったのは君たちだよね?しかも25階層に。」


「な、何馬鹿なこと言ってる!仲間を置いていくわけないだろ!」


「仲間は君たち4人であって、僕をクビにしたのは君じゃないか。君の言う仲間に僕は入っていない。」


この会話を聞いていた周りの冒険者達からムハ達4人は「最低」「クズ」「冒険者の面汚し」など罵声を浴びせられている。


「おい!レイ!いい加減にしろ!なんでそんな嘘をみんなの前で言うんだ!」


「嘘?どっちが嘘をついてるんだか。」


僕はムハを真正面からじっと見つめる、ムハは怒り心頭って感じで今にも飛びかかってきそうな顔で僕を睨みつけていた。


「2人とも落ち着いてください、こうなったらこれを使います!」


慌てふためくニーナが猫耳をピコピコさせながらソフトボール位の大きさの魔石を取り出す。魔石は綺麗に丸く加工され台座の上に置かれていた。一目見て魔道具である事はわかった、まぁ、何を使われても別に支障はない。


ニーナは魔道具の説明はせずにムハにもう一度経緯を話してもらった。すると魔道具である魔石が光り輝いたのを見てムハはドヤ顔になっていた。そしてニーナは次に僕の話を逐一聞きたいと言ったので、レベルアップやスキルの事は伏せて話をした。怪しまれても嫌なので魔物を倒した際に覚えたテレポートの魔法陣で地上に帰ってきたことにした。

すると僕の時は魔石が光らずそのまま話が終わった。


「ほら見ろ!俺の言ってる事の方が正しいから魔石が光ったんだ!」


ムハは魔石を指さし僕に敵意剥き出しで迫ってきた。


「お前なんかがあのダンジョンから1人で帰って来れるわけねぇだろ!俺達を悪者扱いしやがって!受付の嬢ちゃん、この嘘つきをさっさと冒険者から証を剥奪して二度とダンジョンに入れないようにしてくれ!」


周りの冒険者達はいっせいに僕を見る、汚いものを見る目をして見下してくる。まぁ、知らない人達だしそんなもんだろうな。


「そうですね、ではムハさんが今言った通り冒険者証を剥奪という形でよろしいでしょうか?他に何かありますか?」


僕はニーナを見て絶望した、嘘なんかついてないのに…


「二度と冒険者に登録できないように全国のギルドに通達してくれ!こんな嘘つきゴミジョブ野郎はゴミでも漁っての垂れ時ねばいいんだ!」


「そうですね、ではそちらも直ぐに手配致します。あとはもう無いですか?」


「そうだなぁ…二度と面を見たくないから国外永久追放で最後だな、ざまぁみろ嘘つきめ!」


「分かりました、では冒険者証剥奪、再登録禁止、国外永久追放だそうです。よろしいですか?ギルド長?」


そう言ってニーナの後ろからこいつヤ〇ザじゃね?って顔した厳つい顔のムキムキマッチョなギルド長が現れた。


「まぁ、しょうがねぇだろ。って事で冒険者証出してもらおうか?」


僕はもうどうにでもなれ、こんな腐った世界こっちから願い下げだ!と思いながらギルド長とニーナに冒険者証を提示した。


「何してるんですか?レイさん?」


ニーナが僕の顔を見て不思議そうな顔をしている。同じくギルド長もだ。


「え?冒険者証剥奪なんじゃ?」


「そいゆう風に望んでたからなぁ?ムハ?」


ギルド長がムハに向かって疑問を投げかける。ムハは早くしろと言わんばかりにギルド長を怒鳴った。


「そうだ!早く剥奪しろ!こんな冒険者の風上にも置けない嘘つきゴミジョブ野郎なんか!」


ギルド長は腕を組み「うむぅ」と一言だけ言った。


「では冒険者証の提示をお願いします。ブリードさん、ムハさんマリナさんシリアさん。」


何故かニーナが4人に向かって冒険者証の提示を求める。


「何いてやがる!出さなきゃいけないのはそのゴミ野郎だろ!」


ギルド長が不意に口を開いた。


「さっきの魔石で嘘つきはどちらかはっきりしている。」


「そうだろ!?俺の時は輝いて、あいつの時はなんの変化もなかったんだ!」


「だからだ、あれは嘘や疑いに反応する魔石だ。お前が話している最中ずーっと光っぱなしだったな?最初から最後まで全部嘘って事なんだよ!!ギルドや冒険者舐めるのも大概にしやがれ!」


今まで無表情だったギルド長がムハの顔に当たるか当たらないかスレスレのところでムハに怒鳴る、ほかの3人はハッと顔を上げて絶望の表情に変わった。


「てめぇの望み通りにしてやるんだからさっさとしやがれ!」


「ちょ!ちょっとまってくれ!これは何かの間違いだ!」


「間違いじゃねぇんだよ!それになてめぇの仲間をダンジョン中層に1人で置いてくるなんて卑怯な奴今後依頼を受けたいと行ったところで受理なんか出来ねぇよ!」


ギルド長の啖呵に周りの冒険者達も賛同する。そんな中、僕に向かって謝ってくれる人が何人も居た。気がつくと僕は涙を流していた…


「ほらレイさん、ハンカチで涙をふいて、ね?」


ニーナが僕のところにきてそっとハンカチを差し出した。次の瞬間、ムハがギルド長に自分のスキルで攻撃しようと剣を抜いたのが見えた、ギルド長は瞬間的にバックステップして防御体制をとったが手を頭の上で交差しただけで、剣を振り下ろされたら終わりだ。


僕は反射的に右手をギルド長の方に向けた。


ガキーン


という金属音がしてその場に居た全員が音のした方へ振り向く。


「てめぇ!じぶんがなにしたかわかってるんだろうな!?」


ギルド長の大声でギルドの2階から制服を着たギルド騎士団が

駆けつける。ギルド騎士団は国から治安と犯罪対策として任命されている機関でダンジョン等には行かない代わりに街の見回り等を主に行なっている機関だ。要は警察の様な事を仕事として請け負っている。


2階から降りてきた騎士団に拘束され身動きが取れなくなったムハと立ち尽くすしか出来なかったほか三人はそのまま騎士団に連れていかれる事になった。


「レイてめぇ!このままで終わると思うなよ!」


ムハは僕に向かって叫ぶとそのまま退場して行った。


「レイ、悪かったなぁ。こんなめんどくさい事にしちまってよ。」


「いえ、大丈夫です。もともとは僕らの喧嘩でしたし…ありがとうございました。」


僕はギルド長に頭を下げお礼を言った。


「それはそうとお前この後暇か?暇じゃなくてもいいか、ちょっと俺に着いてこい、ニーナもな。」


何故か僕とニーナはギルド長に呼び出しをされた。あれ?なんで?何も悪いことしてないよ?と思ったがニーナが大丈夫って言っていたのでついて行くことにした。

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