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子に語る怖い話

【子語り怪談】覗き込む顔

作者: 烏屋マイニ

子にせがまれて、毎日語る怖い話の一つです。

 不思議の国のアリス症候群をご存知でしょうか。自分の周囲にあるものや、自分自身の体が、実際の大きさと異なって知覚される症状です。

 私の場合、と言っても子供時分の話ですが、それはボーっとしている時に、よく起こりました。部屋の一方の壁が家具ごと、ぐわーっと遠ざかったり近付いたり、自分が小さくなって部屋の隅にいたりと、そんなような感じです。目に入る範囲のものが、急激に大きさを変える様子が面白く、わざと症状を起こして楽しんだりしておりました。とにかく発症の条件が、ボーっとすることなので、非常に簡単な娯楽なのです。

 寝る前なども、よく起こりました。一日の中で、一番ボーっとする時間ですからね。ただ、寝る前に発症すると、大抵は天井が近付いたり遠ざかったりするだけで、大して面白いものではありません。私は二段ベッドの上で寝ていたので、目に入るものと言えば天井ぐらいでしたから、まあ仕方のないことです。

 ところが、その日はちょっと様子が違いまして。

 天井どころか、ベッドと反対側の壁に置かれている、サイドボードの上の物まで、天井へ引っ張られるように伸びてきたのです。そこには母が好きな女の子の人形が、いくつか置かれていましたが、その人形の一体が伸びあがってベッドの柵からこちらを覗き込んできました。普段見れば可愛らしい顔なんですが、ナツメ球のオレンジ色の光を背負っていると、逆光でなかなかに不気味です。

 ああ、早く治まらないかなあと思いながら、いつしか眠りにつき、翌朝になって気付きました。

 ベッドに横たわった状態だと、サイドボードの上を見ることなどできないのです。それなのに、なぜ昨夜は人形の顔を見られたのでしょうか。それも、一体だけ?

 私はその日のうちに、母に頼んで人形を別の部屋へ置いてもらうことにしました。

 

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― 新着の感想 ―
[良い点] 不思議な話でした。 [気になる点] 結局、人形が呪われているということでしょうか? [一言] もう少し前半と後半の繋がりたいが欲しいところ。アリス症候群という特殊な設定が、もったいないかと…
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