一章までの簡易設定書
目覚めかけていた強大な魔物を封印しようとしたヴィーニアス一行。しかし、封印に必要な人間が一人欠けていた。
ヴィーニアスは別世界に転移した魔物を追い、自身らの死語の魂をその世界の人間に憑依させた。
そして、新たな世界で、五人の選ばれし戦士は揃うはずだった。
しかし、新たな世界にはヴィーニアス達以外の憑依者が多数存在しており……?
専門用語
○ダウンロード
憑依している霊の経験や身体能力を一時的に自分の体に取り込む。
デリート、と唱えると消える。
○フル・シンクロ
憑依している霊との完全な一体化。体の自由は憑依霊に委ねられ、自由自在に生前の技を駆使することができるようになる。
魂の侵食が早くなるというデメリットがある。
○魂の侵食
憑依霊を表に出し続けていたり、フル・シンクロで大技を使うと、憑依している霊の記憶が体の本来の持ち主に影響を与える。
時に、性格を歪めてしまうようなこともある。
登場人物
○井上貴一(16)
二年にして野球部の四番バッター。時に、自分の限界を越えた力が備わるような錯覚に陥ることがある。
○ヴィーニアス
貴一に憑依した光の精霊の加護を受けし者。
魔物に乗っ取られた城から逃げ出した王子。旅の中で仲間を得て成長し、国を奪還する。
クリスの言では良い奴だけど王様。
静の言では女癖が悪かったようだ。
貴一の中で、去るクリスに追いすがる悪夢を繰り返し見ている。
○山上哲也(16)
野球部のショート。軽口は多いが野球部を背負うという点で貴一と意気投合している。
○ピピン
哲也に憑依した風の精霊の加護を受けし者。
ピピンは闇魔術も使える弓使い。針の糸を通すような狙撃を得意としている。その他、気配を殺して人に近づいたり、聴力を強化して他人の噂話を拾ったりと、ダンジョン攻略に向いた特技を色々と持っている。
○佐藤静(16)
貴一達の幼馴染。何故か貴一に冷たい態度を取るが……。
○クリス
静に憑依した土の精霊の加護を受けし者。
フル・シンクロ状態になれば体魔術という自分の身体能力を強化するスキルで縦横無尽に活躍する。
ヴィーニアスとは恋人同士だったが、エルフであるために身を引いたのか、国の奪還後は王宮警護隊に所属していた。
その後、国を追われて流浪の人生を送る。
その事実に対して、ヴィーニアスやセレーヌは負い目を感じている。
○山上沙帆里(12)
貴一に、もっと上を目指せと檄を飛ばす小学生。貴一が大好き。
○セレーヌ
沙帆里に憑依した水の精霊の加護を受けし者。
沙帆里が幼いうちに覚醒してしまったため、その魂の多くを侵食してしまった。
ヴィーニアスの正妻だったらしく、クリスとは微妙な間柄。
○片貝恵美里(17)
親に尽くし、親に捨てられた子供。天を憎み、世界が滅べば良いと考える。
親しくしてくれる貴一を光に例えることが多い。
○ヴァイス
恵美里に憑依した火の精霊の加護を受けし者。
恵美里の暴走に頭を痛めている。
前世ではヴィーニアスの保護に協力。その中で敵を一手に引き受け、命を落とした。
一流派の創設者なだけあって腕に実力はある。
○中川秀太(16)
剣道部全国大会ベストエイトのエース。
貴一に太刀打ちできなかったことから貴一を憎むようになるが……?
○剣豪
秀太に憑依した剣豪の霊。前世ではヴィーニアス国王との対決を熱望し、城に侵入したところ、七人の衛兵を切り捨てたところで滅多切りにされて死亡した。
今世でもヴィーニアスへの挑戦を望んでいる。
○ドット
リビングデッドドールという死体を操る魔術を使うネクロマンサー。
しかし、その能力も火葬が主な現代日本では十全に使えなかった。
次回から本格的に二章が始動します。
次回『友達だから』