②息苦しい15分間
【乗車から0分】
案の定、観覧車に乗り込んだら友人二人の荷物で観覧車内がいっぱいになってしまって、動けることは動けるけど少し息苦しくて完全に行動範囲は狭まってしまっている。
【乗車から2分】
知り合いやら友達やらが山程いる方の友人の持っている大量の袋に入ったお土産の行く先も気にはなったが、朝からずっと気になっていた心配性の方の友人が家から持ってきた四つのパンパンのバックの中身が朝よりさらに気になってきた。
【乗車から4分】
重さでいったら二人の荷物なんて、私の体重にも及ばないほどなのだが、荷物の体積に加えて心配性の友人のぽっちゃりしたカラダから放たれる熱気が私を苦しめていた。
【乗車から7分】
心配性であり高所恐怖症でもある友人は頂点辺りで、高所への恐怖と乗ってしまったことへの後悔が膨れ上がり、もしものためにと浮き輪を膨らまし始め、クッション材として身に付けようとしていた。
【乗車から10分】
ただでさえ窮屈なのに、浮き輪を身に纏っている友人の横では友達が山程いる方の友人が、どのお土産をどの友達にあげるかをお土産を広げならがら確認していて呆れていると私のスマホと財布が無いことに気づいた。
【乗車から13分】
スマホがこの大量の荷物に埋もれている可能性はあるが、浮き輪をつけて怯える友人とお土産の仕分けに夢中の友人にスマホを鳴らしてと頼めるはずもなく、ただ二人の織り成す空気に埋もれていた。
【乗車から15分】
友人二人が負担になっていたかというとそうではなくて、無くしたものが見つからないまま観覧車を降りた今、私は二人に落とし物探しに協力してもらったり、お金を貸してもらったりしようとしていて、私が荷物の多い二人にとっての一番のお荷物かもしれない。