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俺と味覚異常探偵達とある事実

こんにちはです!

今回は田中さんについての回となっており短いです!

あとちょっとどころでなく起承転結が危ないです!

それでもいいという方は生温かい目で見ていってください!

天狗の神隠しの一件以降、ちーちゃん(辛牙の愛称)がよく訪ねてくるようになった。

表向きは探偵同士の情報交換、本当の目的は別だけれど。

「で、神隠しについてですが?」

「はい。ちーちゃん」

「ちーちゃんって呼ぶなっつたろが」

(よし上手く話をそらせ)

「まあその話はまた今度みっちり説教するとして、話戻すぞ」

(てなかった)

やたらと冷静なちーちゃんは、仲間であれば相性が良いが、敵だと悪い。

(余分にお説教増やしただけじゃん…)

静かに脱力しながら、ゆっくりとちーちゃんに向き直れば、案の定視線がぶつかって軽く火花を散らす。

「そろそろ決心ついたか?」

「嫌」

「即答かよ」

やれやれとため息を吐かれる。しかし意志を曲げる気はない。

「お前な…確かに手紙でのやり取りの時にOKは出した。でも今は状況が違うんだよ。

自分の目で見てすぐ理解したさ。あの人の成長スピードと質は俺らの予想をはるかに上回ってるんだ。分かるだろ?」

「…だから私たちが守ればいい」

「二人揃ってたのにまんまと神隠しで持ってかれたからこうやって来てんだろうが」

「雑用係のままでいい。これ以上こっちに踏み込ませなくても」

「俺らと関わった時点でもう一線越えてんだよ!」

「…」

「お前も分かるだろ。無知より怖いもんはない」

優しく諭される。こっちも本気、あっちも本気。そして筋が通っているのはあっちの方だ。

「…分かった」

(多分、潮時だ)

ちらと視線を移して雑用係を視界内に収め、ゆっくり息を吸う。

「Hey雑用係さん」

そう呼びかければ、掃除の手を止めてこちらにやってきた。

「はいはいなんですかガトーショコラですか?」

スイーツの要求だと思ったらしい。

よし私じゃ無理だ、と悟ってちーちゃんに任せたとアイコンタクトする。

「なあ、ちょいとあんたの体質について話があるんだが」

「体質…ああ、レバーが食べられません」

「ああ残念だなアレ上手いのにって違う!!」

ちーちゃんが見事に乗せられかけて、慌てて方向を戻す。

アレルギー談義会にならなかったのはきっと良かったのだろう。

ヴンンッ、と唸ってから改めてちーちゃんが話題を切り出す。

「妖怪関連の方だよ。あんた無自覚だろうから忠告しとこうと思ってな。

あんたは【贄】だ。気をつけな」

「ニエ?」

見事なオウム返しをくらって、真剣な表情をしていたちーちゃんは蹴躓いたようにズッコけた。

本人的には超重大発表のつもりで言ったのに、軽いノリどころか通じないという結果だ。致し方なし。

「お前、贄の事くらい教えとけよ…!」

「断る」

「殺意湧いてきたんだが?」

「サンドバックでも殴っといて、どうぞ」

「あー腹立つ」

静かにサンドバックを殴りに行ったちーちゃんを見届けて、その間は説明を引き継ぐ。

「贄ってのは生贄の贄。こっちの界隈の用語だね。力については教えたよね?」

「はい、体内で作られているもの、生まれつき持ってるもの、二つあるんですよね?」

「そう。それを使って術式使ったり見たり聞いたりしてます。体内生産の方は術式多用したりすると生産量増えたりするんだけど…まあこの説明はまたの機会ね」

ちーちゃんが消えた方から、バゴオオン、と破壊音が轟きすっきりとした顔のちーちゃんが帰ってきた。

「弁償ね?」

「甘んじて受けよう。

んで、極稀に生まれつき持ってる力も生産量もめちゃくちゃ多い奴が居るんだよ。

そいつらの総称が贄。あんたもそうだな」

雑用係の方に眼をやってみると、必死についてきているらしく余裕のなさそうな顔をしている。

そこに容赦なくさらに爆弾を投下していくちーちゃんと私。

「物騒な呼び名だろ?だが実際物騒なんだよ。」

「私達みたいな術式を使ったり見たり聞いたりをしている人間にとっては、贄は近くに居るだけで、体内から零れ出た余分な力を使えるし、こっちの技もブーストしてくれる【便利道具】で済むんだけど」

「妖怪からしたら、いい匂いするわ、美味しいわ、食べたらパワーアップできる超が付く御馳走なんだよな」

「喉から手を出すほどって言うか実際出してでも欲しい一品、しかも自己防衛の術がない悪く言っちゃカモだね。天狗に神隠しされたでしょ?贄だからだよ」

「ってことで以後気をつけるようにな」

「いやどうしろと!!」

「買い物行ってら~」

「ええええ…」

◇◇◇

衝撃の告白を受けてから、いつもと変わらずお買い物中。

(体質がニエだのどーのって言われても実感わかないというかなあ)

「ん…?何か聞こえる…」

茂みをかき分けて進むと、小さな小人らしき二人組が岩をどかそうと踏ん張っていた。

よく見ると岩と地面の間に三人目がいて、必死に腕を伸ばしているが、下半身が動かないらしい。

比較的鼻の大きな、浅黒い肌で黒髪ボーボーの藁ノミ姿の三人組。

視たことはないが、大きさ的に絶対妖怪だ。膝より少し下くらいまでしか身長がない。

助けようとして、思いとどまる。もし彼らが表面上困ったふりをしているだけで、俺を食おうとしているなら?

嫌な予感、最悪のケースをつらつらと考えて並べてしまう。

しかし、悲痛な励ましの声が、その思考をかき消した。

(何を言われても、自分を曲げるのは難しい。)

(俺は俺だ。もし食われても後悔はない!)

「ちょっとどいて!多分俺ならいけるから!!」

その声に反応して、二人がおずおずとそこをどく。

蹴り砕く…無理だろう。なら転がしてずらすか…間を作る!

「ふんぬあああッ!!」

全身全霊で持ち上げてできた隙間から、小人が逃れる。

ペコペコとお辞儀をする三人を、俺はいいよいいよとなだめた。

三人を見送って買い物に戻る。まだ手が痛いが、そのうち治るだろう。

しばらく見てまわり、商店街から出て信号待ちする。

青信号になったので渡ろうとすると、誰かに押されたような感覚と共に急にバランスが崩れた。

「どわちゃ!?」

顔面からずっこける。顔を起こすと、目の前を車が過ぎていった。

気を取り直してもう一度渡ると、今度はすんなり渡ることができた。

(だいぶ遅くなったなー)

のんびりと港のそばを歩く。

さっきの小人が敵意を持っていたとしても、それはそれでいいかとのんびり思いながら歩いていく。

その時、耳慣れない音が耳に入った。

「ずるずる引っ張る音と…囃子?」

その時、バサアと網が体にかぶさった。

「うわ!?」

《引けー!引けー!エイサぁ!エイサぁ!!》

「あわわわわ!?」

ズルズルと体が引っ張られる。生臭い魚特有の匂いが、引かれるたびに強くなっていき、そこでやっと一つの答えに辿り着いた。

「まさか…魚の人狩り港!?」

それを肯定するように、網を引く大きな化魚がはっきりと見えてくる。

《今日は大当たりだ!引けー!エイサぁ!エイサぁ!!》

(逃げる方法はなんだっけ…網を切るか、もしくは…)

「と…トンビが出たぞー!」

(こう叫べば逃げるはずだ)

《何!?急いで引き下ろせ!エイサぁ!エイサぁ!!》

「悪化したぁ!?」

ズルズルズルズルと引っ張られる速度が増していく。これは確実に死ねるだろう速度で引っ張られる。

網を噛み切ろうと無謀な挑戦をしようとしたとき、あることに気がついた。

「網が切れてる…?」

一部分、俺が通れそうな大きさで切れていた。

どうにかこうにか這い出て逃げる。それと同時にどぼんという網が沈む音がした。

「危なッ!?」

全身怪我だらけだ。なぜか血が出てないけど。

甘原少女のもとに逃げるように帰ると、おやと辛牙少年と二人揃って意外そうな顔をして出迎えられた。

「なあにくっつけてきたんだ?」

「え?」

にやにやとそう言われても、全く何もくっつけてなど無い。

「あー、さすがにこれは見えんか。千里」

「了解。透過、無効化」

ふわりと足元が光り、視たことのある三人組が足にしがみついている様が見えるようになった。

「ついてきたの!?」

そう驚いた俺よりも、二人の方が驚いていて、辛牙少年がぽつりと呟く。

「すっげ。人型のカマイタチとか初めて見たわ。マジで三人組なのな」

「カマイタチ?」

「カマイタチ、漢字だと 鎌鼬。動物型の方は手足が鎌の鼬だけど、超希少な人型は三人組。

一人目が押してバランスを崩し、二人目が何でも切れる鎌で切って、三人目が血止め薬を塗る。あんまりにも速いから視認できなくて、気づけば血も出ずにスパッと切れてる」

「てゆーか、俺忠告してやったのにさっそく妖怪くっつけてくるとか流石だな。

ま、そこがあんたの美点か。」

「君の式になりたいってさ」

がっちりと足をホールドされているのでめっちゃ重い。つか動けない。

うるうるとした瞳で見上げてくる三人を視て、ゆっくりと言葉をかけた。

「式はよく分からないけど…友達っていう扱いでいいなら」

ぴょんこぴょんこと跳ねまわる三人をなだめ、落ち着かせたはいいものの、今度は半紙と墨、筆を持ってキラキラとした眼をこちらに向けてくる。

半紙、墨、筆…このことからある一つのワードが出てきた。

「名前?」

ぶんぶんぶんと激しく頷かれる。なるほど名前をつけろと。

「三人で一斉に連携して高速で…か」

ブツブツと呟くと辛牙少年がこう言った。

「ジェットストリームアタッぽ?」

「おいやめろちーちゃん。あの黒い三人の事は言うな。監督に怒られる」

「お前のそれもグレーゾーンな発言だからな?」

うーんうーんとしばらく悩み、それからこう言った。

「右から順に、ガア、オル、マー、でどう?」

「おまwwwそれwwアカン奴wwww」

なぜか辛牙少年がツボッて笑い転げている。

「ちーちゃんステイ」

「お前こそその手に持ってる黒いスカートなんだ」

「…ぴゅーぴゅー♪」

「口で口笛の擬音を言うな」

嬉しげに自分の名前を書いている三人を見て少し驚いた。

すんげえ達筆だった。

妖怪の友達と居候(ご飯も食べる)が増えた甘原少女の探偵所。

忙しく、かつ楽しくなりそうだ。

「「さてと作者様?随分更新が遅れましたが?」」

『わお美少年と美少女の麗しきメンチ切り」

「「言い訳は?」」

『めっちゃハモるね君ら…リアル忙しかったです』

「嘘つけ。俺知ってるぞ。お前某イカゲーでエンジョイしまくってただろ」

『うっ』

「追加コンテンツクリアしてタコまで出してたもんね?」

『ううッ』

「マンガも追加で買って読みふけってたよな?」

『ううううッ』

「「覚悟はいいか」」

『ばいちゃッ♪』

「「待てコラーー!!」」

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