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恋落ちのシルバーアッシュ  作者: ハルカ カズラ
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2.確固たるガーディアン:前編

「確固たるガーディアン(守護者):前編」



「では、そのように……」


「かしこまりましたわ」


 おごそかな老紳士は深く礼を遇し、お嬢様の元を離れて行った。一体何用だったのか。


「リュドミラ様、あの紳士からは何と?」


「ええ、お誘いを頂いたの。近くして、お茶会が催されるらしいの。そこには、各国の当主がお目見えするらしいわ。わたしはお父様の代わりに出席することになったの。だけど、わたしでいいのかしら」


「お嬢様以外にどなたがご出席出来るというのでしょう? リュドミラ様は、当主様の代わりなどでは無く、わたくしにとっては当主様そのものなのです。決して、ご自分を低く見られてはなりません」


「……て、照れてしまうわ。そう言ってくれるのは、ヴィリエだけ。あなたがいれば何も怖くないわね。わたしの傍を離れないでね」


「当然です。お嬢様の傍にいることこそが当たり前なのですから。そして、確実にお守り致します」


 お嬢様のお声、香り、そして吸い込まれるような瞳……この方を傷つけようとする輩がいることが信じられない。この命に代えても、必ずお守りする。


 ※ ※ ※


「手はずは整えてあるのか?」


「抜かりなく……」


「ははは……我が当主様こそがこの国を占めるに相応しい。あのような小娘がいるようでは、国が滅びるわ! 茶会に来たが最後、ただの小娘と成り果てることだろう」


「しかし、よろしいので?」


「何がだ?」


「あの小娘の傍にはあの女が傍におりますゆえ……」


「こ、今度はしくじらぬ。しくじってはならぬのだ! あの女さえいなくなれば問題ない」


「はっ」


 くっくっくっ……小娘と娘だけで何が出来るというのだ。この国は我が当主様さえいれば問題ない。

 

 スノディール邸内―― 


「リュドミラ様、御足元にお気を付けくださいませ」


「平気よ。それにしてもこの国のことをよく見て来なかったけれど、随分と大勢の方が見えられているのね。お茶会には今まで来たことが無かったのだけれど、こんなにも賑やかな催しだったなんて――」


「ふふっ、失礼しました。お嬢様はお屋敷から出られて来なかったのですから、当然のことですよ。ですが、これからは少しずつ、外の……我が国のことも承知していけばよろしいかと存じます」


「そうね。多忙なお父様の代わりとは言え、わたしも当主に恥じぬ動きを見せなければならないわね」


「その意気でございます。わたくしもお嬢様にならって、確固たる動きをお見せせねば……」


 ――本日、お集まりいただきました皆々様。主催の主人、スノディール様より、ご挨拶を頂きたく存じます。これより数秒程度ではございますが、照明の一部を消灯致します。


「まぁ、これも演出ということなのかしら?」


 全てが初めてのお嬢様、か。無理も無い。ご当主の意向で外出を御認めにならなかったのだ……。大事なのは理解出来るが、大事過ぎてもいざ代理でお外に出されるようでは――


 一瞬、室内の明かりが消え、すぐ元に戻り――


「……な、なに? ほ、他の方たちはどこへ行かれたの?」


「お嬢様、わたくしの傍を離れずに……」


 これは――最初からまやかしだったか。恐らく、茶会などは最初から無かったということか。スノディールが仕掛けた、あるいは……ここは、致し方ありません。お嬢様にはひとときを眠って頂くしかありませんね。


「――お嬢様、失礼致します」


「どうしたの? ヴィリエ……あ、あれ? 眠く……」


 申し訳ありません、お嬢様。簡単な睡魔術を施させていただきました。斯様かような場をお見せすると当主様にお叱りを受けてしまいかねません。ここは、ゆっくりとお眠りになってくださいませ。


「子供は寝かしつけたか? 女……」


「ええ。して、あなた方はいつもの方たちですか? 懲りませんね」


 どうしてこのようなむさ苦しい輩どもの姿をお嬢様にお見せ出来ようか。お見せできるわけがない。


「知っているぞ。お前は家の中では怪しげな術を使いにくいとな。それさえ使えなければただの小娘に過ぎん! はははっ!!」


「あぁ……そうですか。確かに邸内ではオド(小源)を使いづらいですね。体内からの魔力が少なくとも使えることに変わりはありませんが、なるべくなら邸宅は傷つけたくありませんし。そういうことでしたら、別のやり方にすればいいだけですね。だからこそ、お嬢様には眠って頂いたのですが」


「ふっ、何をブツブツとほざいている? 貴様1人には勿体無いが、今日はさらに人数を連れてきたぞ! これならいくら何でも敵うまい!」


 さて、どうやってこの方たちを帰しましょうか。その前にお嬢様をお連れしてもらうとしましょうか。

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