パタつかせて筋肉
目が覚めると、
「うむ、ようやく起きたか」
俺の目の前でブーメランパンツが声を上げていた。解せぬ。
「うわぁぁっ!?!?」
「はぅあっ!!」
すぷぇん!! と、いつもより鈍い唸りを上げる俺の翼と悶絶の声が辺りに響き渡る。なぜ鈍い音がなったのか、ナニを、もとい何を翼で叩いたのかはお察しください。って、誰にいってんだか。大分精神が来てるらしい。
それもその筈だろう。
「俺は、死んだんですか? えっと、神様」
目の前で、時折ビクンビクンと跳ね上がるブーメランパンツを履いたケツの持ち主が、あのハゲマッチョだったのだから。ケツ向けてるこのアングルは地獄でしかない。
「不意打ちとはいえ、我が身を地に堕とすとは、強くなったようだ。しかし、神に不意打ちとは……」
質問に答えろよ。ケツを振るな。
「すいません。でも自分もある意味では神様の子供みたいなモノじゃないですか、つまり兄弟喧嘩みたいな物ですよ。お気になさらずに」
「成る程、一理あるっ!!」
ねぇよ。大丈夫かよ、このハゲマッチョ。髪のない神様と不毛なやりとりする気はないんだけどな。うはっ、うまい。メアリーはハゲマッチョと会ってるのかな? 帰ったら聞いてみようかな。
「どうやら転生先での生活を満喫しておるようで何より、ハゲマッチョも嬉しく思うぞ。呼んだのは、話があるからだ」
「…………」
コイツ モ シコウ ヨメルンダッタ。
「案ずるな。こちらも楽しませてもらっておる。戯れ言くらい許容する。それにブロスタ……お前のあちらでの担当も喜んでおったぞ。見込み通り、それ以上だと」
鷹揚な仕草で頷かれているのは、歩く筋骨隆々!! 筋肉のアルティメット!! ご存知、えっと……名前知らないや。
「そこまであからさまに仰々しく扱われるとな、我が輩の名はマスルだ」
「マスル、様ですか」
俺の言葉に、廃れた名だと笑うマスル様……マッスルとか分かり易いな。おっと、不味い。まさに逞しい肉体を体現する名前……そう、まるで看板筋肉!! そしてあの丸太のような上腕二頭筋を織り成す筋繊維、もしやチタンワイヤーで出来ているのではないでしょうか!? プロテインの宝石箱や!! あ、これじゃない。
「よい、普通で構わん。その思考がフルータチ……いや、仲間の神に似ておって疲れる」
「……解りました。では、お話というのは?」
フルータチという神様が気になるが保留かな。しかし生憎、話とはなんなのか全く思い当たる節がない。適当に時間を稼いだが……稼いだんですが、いったい何の用でしょうか?
「話というのは、神の悪戯……やめろ、その髪ではない、頭皮の話じゃない視線を下げよ。神の悪戯というスキルがあったであろう? だから、可哀想な物を見る目をするな、これは剃っておるのだ。……だぁぁっ!! 解った、思考は読まぬ!! それで良かろう!?」
「いやー、すいません。どうしても思考を止めるって難しくて」
らっきー。でも多分あの反応……あれ(ハゲ)、気にしてるんだぜ?
「貴殿の望み通り、反則級に準ずる能力に対する制限をかけたのだが……どうだ? 枷が外れた感覚は」
「…………」
こいつ(ハゲマッスル)が何を言ってるか。理解はした、納得が出来るか判らないけどな。
師匠との対決の時、最後に身体が軽くなったのは……そういう事だったのか。
称号【神の悪戯】
全ステータス上昇無効化、全補正の優遇無効化、スキル壌度封印。優先度神。
俺に科せられた(ようなもの)逆の意味でチートな能力を持った称号。
これが外れたのだろう。そこでこれまで集めたアビリティ、スキル、ママ鳥の恩恵を始めとした称号の上昇効果や補正効果によってブーストがかけられたのだ。そりゃ、レベル2の赤ちゃんペンギンでも勝ったわけだ。
多分、ジョルト師匠も手加減しただろうしな。奥義とか使ってなかったみたいだし。多分……奥義、ありますよね、ジョルト師匠?
「生命活動の限界が来たら外せるようにしていたが、これが本来、貴殿が使えるべき力なのだ」
「今は外れてるんですか?」
「あぁ、もしもソラ殿、貴殿が望まれるならそのまま――」
「……かけ直してください」
言葉を遮る無礼と共に頭を下げながら、俺は強く、そう願った。
[称号の効果が復活します]
「よければ、理由を聞いても?」
脳内に響き渡る声と共に、頭上からかかる神様の問いかけ。
理由、か。
「あの時の力は凄いものだと思います。何というか、師匠も越えられるような万能感さえ覚えるくらいに……多分、あの力があったなら、沢山の人……いや、守りたい誰かを守れるんだと思うんですよね」
「そこまで考えて、何故? そう考えているなら悪しき事に使わぬだろう?」
「買いかぶり過ぎです。神様は、ダイナマイトって知ってます? 本来は工事作業で使われる為に生まれた発明なんです。今では本来の用途で聞くよりもテロや戦争、人殺し必須アイテムみたいな扱いを受けてるんです」
「それは悪しき心を持つ者が使う場合だろう?」
「善人であろうと人の心は悪を持ってます。自分だってダイナマイトが手元にあったなら間違いを起こすかも知れない時だってありました」
テロリストにはならなかったけどね。もちろん、なろうとも思わなかった。ただ、危うい時なんて、十や二十はあった前世だったと思う。これでも平和主義者なのにね。
「守りたい者が守れなくても、同じ拘りを持っていられるかな?」
「その時は、いつもみたいに神様を恨みますよ。と、いうのは冗談で……出来るだけ自分の力だけで生き抜きたいんです。前世みたいに」
「物好きか、変人の思考だな」
「お嫌いですか? こういうの」
「……大好きだ」
これがブーメランパンツのハゲマッチョからではなく、美少女女神ならばと思わなくはない。
「ならば、"更なる過酷"を。貴殿の人生……ペン生に困難あれっ!!」
え? そこまで求めてなんか――
不吉な言葉に見送られるように、俺の意識は再び沈んでいった。
[称号が進化します]
あ、あかんやつや、これぇ。
名前:ソラ
種族:ミニペンギー
レベル:2
アビリティ
【ふわふわボディ】
【格闘の心得】→【格闘術】
【種】
【タフネス】
【滑空】
【水泳】
【水中機動】
スキル
【逆水平チョップ<T 2nd>】
【集中】
【ビーク<T>】
【受け身】
【水中機動<T>】
new【超集中】
称号
【神*呪%>◎℃】
new【神の悪戯】→【神の祝福】
【凶極鳥の寵愛】
【ペテンペンギン】
【チョッパーロード】
【無謀なペンギン】
【泳ぐ者】
new【拳聖グリアルド拳闘流 一番弟子】
◇ ◇
たまにステータスを載せますが、取れたのにない物があればお手数ですが御連絡ください。
レベル2は仕様です




