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パタつかせてペン生~異世界ペンギンの軌跡~  作者: あげいんすと
第一章 ペン里の道も一歩から
32/139

行くもペンギン帰るもひよこ4

更新できないといったな? あれは嘘だ。

 

[条件をアンロックしました。アビリティ【水泳】を取得しました]


[所有アビリティからのアンロック。称号【泳ぐ者】を取得しました]



 俺がカナヅチペンギンというオチにはならなかった。良かった。本当に良かった。



「ソラ!! はやい!! すげぇ!!」


「ふははー!! すげぇだろ!!」


「やっぱりペンギンって願っておけばよかったかな……」



 というか泳ぐの超楽しい!! 身体がその為に作られてると言っても過言じゃないレベルだ。流石ペンギン。


 まさに飛ぶように泳ぐ。まだまだ速く泳げそうな気がする。柔らかい羽毛とか筋肉の付き方が幼い為、限界はあるけど、成長したらヤバいと思う。メアリーもジョニーも既に俺の姿を視界に捉えるのがやっとらしい。


 調子に乗って、潜水しながらぐりんぐりんと錐揉み回転、水面からの大ジャンプ。水族館のイルカ顔負けの機動を見せつける。


 その結果。



[条件のアンロックにより、アクションスキルツリー【水中機動】を取得しました]


[アクションによるアンロック、【水中機動スキルツリー】派生、【アクセルロール】を取得しました]


[アクションによるアンロック、【水中機動スキルツリー】派生、【スプラッシュジャンプ】を取得しました]


[アクションによるアンロック、【水中機動スキルツリー】派生、【フルスロットル】を取得しました]

 

[アクションによるアンロック、【水中機動スキルツリー】派生、【俺の独壇場(ペンギン ステージ)】を取得しました]



 バンバン鳴り響くアナウンス。更に調子に乗る。そんな連鎖が起きていた。でもやはり逆水平チョップよりはスキルツリーが広がっていかない。基本的に前進、旋回だからね。仕方ない。でも、楽しい!!


 湖のなかには小さな魚もいた。しかし今の俺は食欲よりもスイミング欲、運が良かったな!!



「アナタ、ダレ?」



 そんな時だ、声が聞こえたのは。


 まさか水中で話しかけられると思わなかった為、驚いて空気が漏れたが、声の主を見て更に驚いた。苦しいから一旦離脱せざるを得ない。



「ぶはっ!!」


「アナタ、ダレ?」


「うぉいっ!? びっくりした」



 水面に出ても追いかけてきた"声"に驚き、振り返る。


 そこにいたのは、淡く青い小さな光の粒だった。そんな光の粒が喋ってる。幼い少女のように高い声は不思議そうでもある。流石ファンタジーだな。おっと、返事せねば。



「えっと、俺はソラと……いいます」



 正体不明だからどの口調が良いか解らず、ひとまず敬語にしてみた。光の粒は俺の身体の周りをゆっくりと回る。な、なんだよう。



「ソラ、ソラ……」


「えっと、あなたは誰ですか?」


「アナタ、ダレ……?」


「あー……」



 ジョニーみたいな奴だなと思ったのは秘密だ。さて、どうしようか。ママ鳥なら知ってるかな?



「一緒に来れますか? カモン、リピート、アフター、ミー?」


「ソラ、イミ、ワカラナイ」



 俺もわかんねぇよ!! 何で英語なら通じると思ったのか、そもそもこの英語で良かったのかもな!!


 仕方ないので、ここからママ鳥を呼ぶことにした。結構離れちゃったけど、どうかな?



「マザー!! マザー!!」


「マザー!! マザー!!」



 真 似 す ん な 。


 もしかして、この光は何かの赤ん坊なのか? 何だか反応といい、少なくとも成熟した精神はしてない気がする。


 とにかく、俺の声が聞こえたらしいママ鳥は、メアリー達を回収して来てくれた。着水はせずに、ゆっくりと翼を羽ばたかせてホバリングしている。なんか、すげぇ。でも波が口に入るんですけどね。



「どうしたの、ソラ。あまり遠くに行っちゃダメ、って言ったでしょう?」


「えっと、ごめんなさい。それでこの子なんだけど……」


「オオキイ、ダレ?」


「あら、水妖精ね。恐らくは生まれて間もないのかしら。私はニュクスよ。ごきげんよう」


「ニュクス。オオキイ、スゴク、オオキイ……」



 おい、その言い回し止めろや。なんか嫌だわ。



「妖精? これが……?」


「ぴかぴか?」



 ジョニー、黄色いお前もそれはちょっとダメだ。前世の各方面からクレームくるぞ。いや、俺が過敏なだけだな。


 しかし、妖精ねぇ。そういえば、いるような事言ってたな。この光の粒がねぇ……はぁ、美少女の小人かと思ったのに。



「どうするの? ソラ、育てる?」


「わけがわからないよ」



 俺も大概である。いやいや、でも本当だ。犬猫じゃないんだからさ。



「そもそも妖精ってなんなのか知らないんだけどさ」


「そうね。それじゃ説明しようかしら」



 ばっさばっさと翼を羽ばたかせてながら、ママ鳥はそう言った。落ち着かないな。移動しません?飛び話もなんですし。


こうして改めて場所を変え、一同はママ鳥へと注目する。本人もどこか得意げに全く仕方ないわねといらない前置きをひとつ。



 妖精、とは。


 マナの集合体である。


 以上。



「……後は?」


「忘れたわ。今度、知り合いに聞いてみる」




 どうしてこの(ひと)はこうなのか。説明という意味を考えても見てほしい。ざっくりしすぎだろ。


ほら、メアリーとか期待に目を輝かせて聞き始めたのに、死んだような目になってる。俺も空いた口が塞がらないよ。



 ◇ ◇



 妖精とは?


 妖精とは、魔素と呼ばれるマナの溜まる場所から産まれる魔素(マナ)の集合体である。


 火、炎、水、氷、森、大樹、土、大地、風、天、光、闇等々……この世界にあるほぼ全ての物には魔素があり、同じように様々な属性を持つ妖精がいる。


しかし、その生息数は少なく、過去に比べて減少傾向にあるらしい。それは自然環境の変化や彼等の力を利用した愚かな生物が原因との事。もしかして、人類。


 気性は属性に起因するようだが、一部の妖精を除いて基本的に争いは好まない。しかし、一度怒ると自然の力を操り、災害を起こす。


 マナの豊富な場所に産まれる為、妖精がいる場所は清らかな土地とされる。


 また、マナ喰らいと揶揄される龍とは相性が悪く、共存は不可能とされた時代があった。



「以上が妖精について、伝聞されている事となります」


 くるっくー、と鳴いて言葉を締める鳩に俺とメアリーは翼で身体を打ち、惜しみない拍手を送る。ジョニーは寝た、いつもの事だ。



「そうだったのね。つまり、うちの領域は良い領域だと……」


「……その通りに御座います」



 領域のトップ戦力であろうママ鳥からの感心した声に、鳩はくるっくーと少し疲れた声で返す。ご苦労様、非番なのに呼んでごめんね?



「……ハナシ、オワッタ?」



 水辺から上がっても大丈夫らしい光の粒、水妖精が声を上げる。これが希少な存在ねぇ、ホタルみたいなもんかな?



「それで、この子はどうしたらいいのかしら?」


「放っておくのが一番でしょう。妖精の育て方なんて流石に解らないですし、産まれた環境から移動させる程の利点も今はありませぬではいでしょう」


「え、私達で育てないの?」


「メアリー、気持ちはわからんでもないが……」



 幼少期に出会う妖精とか仲間になるフラグしかしないしな。メタァ。悪いけど、俺はまだ自分を育てるのに手一杯だ。



「害悪であろう危険な生き物は、先程ニュクス様が駆除しましたし……もしかするとそのおかげで産まれたのやもしれませんな。とにかく、水妖精が産まれたのは目出度い事ですな」


「……ソラ、ソラ」


「うん、なんだ?」



 鳩の話にうんうん頷きながら聞いてると、水妖精が話しかけてくる。



「遊ボウ? 泳ゴウ?ソラ、スゴクハヤイ」


「……わかったよ」



 産まれたばかりだしな。大人の話は退屈だろう。俺も泳ぎたいし。その為の日でもある。



「私も行こう。なんだ、その露骨に嫌な顔は」


「気のせいだって、子守りかよとか思ってないよ」


「キミは私をなんだと思ってるのかな?」


「ふたりとも、ジョニーは私が見てるから、いってらっしゃい。でも今度は近くにいるのよ?」



 ちぇー、全力出せないじゃないか。仕方ない。



 こうして、少しだけ我が家の事が解り、スキルを覚えて、妖精と出会い。家族で楽しむには色々とあったけど、概ね楽しめたピクニックだった。



 ◇ ◇


 そんなピクニックの次の日。



「筋肉が、悲鳴を上げる……!!」



 泳ぎ過ぎて、筋肉痛になってた。



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