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パタつかせてペン生~異世界ペンギンの軌跡~  作者: あげいんすと
第一章 ペン里の道も一歩から
22/139

パタつかせてしょわわー

朝起きて気がついたら夜だった。

 


 飛ぶ。



 両翼を広げて空を飛ぶ。しかも自分の力だけで、考えるだけでワクワクする。


 飛行というアビリティがあるかは判らないけど、可能性としては有りそうな気がするというレベルだ。だが、それで構わないと思う。


 前世にいた大昔の人間とて、空を飛ぶ時代が来るなんて思いもしなかっただろう。人力ではなく、飛行機という手段を用いてはいるわけだが。


 大切なのは、信じる事だ。あいびりーぶ。



「成る程、勢いだけは伝わったが……良いのか、お母さんからも言われただろう?」


「スキルの争奪云々か。では、逆に聞こうかメアリー」



 ふふっ、その点に抜かりなんて存在しないのだよ。俺は胸をドンと叩く。



「"飛ぶ"為のスキルを必要な鳥がどれだけいる? そして、"飛ぶ"鳥はどれだけいる?」



 希少性はなかろうと、有用性はある。歩くのが遅い俺だ。それこそ水辺でしか活きる術がないのなら、手段を増やすのみである。



「……ふむ、成る程。一理あるな。だがそうなれば試しに飛んでる鳥を倒してみて実際にスキルを取れるかという話にもなるが」


「それは、ちょっと同族だし」



真面目な顔して飛んでもない答えに思わずたじろいでしまった。そんなまったく考えもつかない蛮族な答えがこいつから来るとは思わなんだ。


「そうではないとなると、代案がそもそもあるわけかい?」


 それで? と続きを促すメアリーは、何だか面白みに欠けていた。もっと驚いてくれてもいいのに。腹でも痛いのか?



「俺をぶん投げてみてくれ」


「君の思考回路を見てみたくなるよ。どうしてそうなるんだい?」



 ぴよぴよと肩を竦めるひよこの察しの悪さには、こっちがやれやれと言いたくなる。仕方がない、教えてやるか。



「お前がスキルを覚える時っていうのは、どういう状況だ?」


「覚える時? そうだね、上手く動けた時とか、お母さんから貰った時を除くとして……あっ……」



 思い当たる何かを頭のなかで見つけたのだろう。ちょっとだけ素の声が出るメアリーに俺も力強く頷く。



 そう、スキルを覚えて、スキルを使えるようになる……では、ないのだ。


 スキルとなるような条件をクリア……アンロックして、スキルになるのだ。



 前世で言う所の資格にも似たある意味で自然な流れなのに、どこか不自然に思うのは俺もゲーマーと言われる人間だったからなのだろう。レベルが上がれば覚えるってのはないというのもさり気なく今の返しで察するわけだが。



「つまり、キミが言いたいのは近しい経験からスキルを呼び覚ます。そう言いたいんだな?」


(しか)り……」


 ようやく理解したメアリーに笑むと、俺は両手を広げる。さぁ、やれ……と。



「仕方がないな。確かにその辺は私も気にはなる事だ。だが、痛いのは我慢するんだぞ?」


「……可能なら、優しく頼む」



 はぐっ、と首根っこを咥えられ、俺はその身体を空へ――

 


 ◇ ◇



「さぁ、反省会といこうか」


「その前に助けてくれませんかね?」



 体の半分を巣に埋めたままで反省とかとっても効果的なのは解るけどさ。こちとら上半身が埋まってるんだよ。声、聞こえてます?



「メア、なにしてるの?」


「あぁ、ジョニー。丁度良かった。これを抜いてやってくれないか」



 のっしのっしと足音と共に少しくぐもって聞こえるのはジョニーの声。メアリー、これとはなんだ。それにしても足音で分かるけどジョニーはまた大きくなったのかな? まぁ、ママ鳥があれだからな――



「これ、なに?」


「ふはっ!? やめっ!!」



 足の裏をつんつん、とクチバシでつつかれて変な声が出てしまった。



「あれ、ソラのこえがしたよ?」


「くくっ、どうだろ? 気のせいじゃないか?」


「え? いや、今、目の前――」



 まさか、気がつかないもんなのか。ジョニーなら判らないかもな。ジョニーってそんな感じだし。


「メア? なにかしってる?」


「いや、なんでもない。不思議だね。ふふっ


「てめぇ、わざとやって……ふははははっ!!」



 誰だ、身体を(くすぐ)ってんの!! 動けない事をいいことに好き勝手しやがって……くっ、殺せ……!!



「メア、これうごくの!! たのしい!!」


「そうだろうそうだろう、私もちょっと止められなくなりそうだ」


「やめろぉぉぉぉっ!!ふひっ!!ふひゃひゃ!!ダメだってマズイそれ以上は――」



 結局、擽り倒されてしまった挙げ句に……まぁ、その、なんだ? 赤ん坊だからな。まぁ、仕方ないよな。色々と我慢が効かなくてな。仕方ない。


 どうやらアレを、しょわわーっと引っ掛けられそうになったらしい。悲鳴を上げながら逃げ出したメアリーは余程反省したのか、素の状態で謝ってくれた。



 うん、まぁ……お互いに大変だったね。


いつか、覚えてろよ。


活動報告に修正予定を上げました。

物語自体に変更点はありません。


 名前:ソラ

 種族:ミニペンギー

 レベル:1


 スキル

  【ふわふわボディ】

  【格闘の心得】

  【逆水平チョップ<T>】

  【種】

  【集中】

  【ビーク<T>】


 称号

  【神*呪%>◎℃】

  【神の悪戯】

  【凶極鳥の寵愛】

  【ペテンペンギン】

  【チョッパーロード】

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