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パタつかせてペン生~異世界ペンギンの軌跡~  作者: あげいんすと
第一章 ペン里の道も一歩から
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パタつかせて考察



「しかし、まぁ……」



 嘆息(たんそく)して眺めるのは、誇張無しで山のように積み重なったミルキーワームの亡骸。

 大量虐殺というか大量自害というか、ママ鳥に掘られなかったら生き長らえていた点でいえば、前者の意味合いしかないよなぁ。


 今更ながら良心が痛むといえば痛む。命を繋ぐ食ではなく、強くなる為に殺し、死んでいったのだ。無意味な死を振りまいた訳じゃないから、というのは建て前で……せめて成仏してくれ、南無。



「とはいえ、まだひとりじゃ食えないか」



 みょいんみょいん、と足で踏みつけクチバシで噛みつき引っ張れど、千切れないミルキーワーム。解せぬ。


 それに一匹倒してもレベルは上がらなかったか。流石、最弱生物ミルキーワーム。でも感覚的ではあるが、多少レベル上がっても千切れないんじゃないかと思う。そのくらいの弾力がある。


 しかし、初めて倒したミルキーワームはレベル外で沢山の経験を貰った。例えば――



 あぁ、ママ鳥。今いただきますね。ぺーん。うまー。


 おや? 今回は多少形が残っているのか、ゴリゴリと堅い歯ごたえがある。噛めば噛むほどに甘みと旨味が口の中に広がっていく……旨しっ!! 甘いホルモンみたい。



「まずは初勝利おめでとう、大健闘だったようだね」


「あぁ、ありがとう。でも辛勝過ぎて勝った気がしないよ。しかも相手はミミズで攻撃なんてしてこないから尚更、な……」



 トコトコぴよぴよと歩み寄ってきたメアリーに、俺は苦笑しながら答える。ペンギンの苦笑ってどんな顔かは判らないけど。


 それに対してメアリーは軽く肩をすくめるという、ひよこがするには些かシュールな反応を見せた。



「初めはそんなものさ。私だって最初はこれでいいのか? と思ってしまったからね」


「ちなみに、メアリーの初戦は苦戦に……ならなかったんだろうな」



 彼女の食事、というより戦闘風景を見る限り想像もつかないし、ママ鳥から貰ったスキルがあったのだろう。むしろ楽勝過ぎて戦った気がしなかった、そんなニュアンスが先の言葉から滲んでいるような気がした。



「それは、えっと……」



 皮肉に聞こえてしまったらしい。ぴよぴよと狼狽える逡巡(しゅんじゅん)の間は歳の浅さからか、どうやら俺の勘ぐりは当たったらしい。まぁ、当たったからといって腐ったりしはしない。俺は俺、メアリーはメアリーだからな。


 ただ、じぃっと見る俺の(つぶ)らな目から顔を背けるメアリーを追いかける。へいへいこっち向けよ。



「ソラ、あまりメアリーを苛めないの。それよりいったいどうやってミルキーワームを殺れたのかしら?」



 むむ、ママ鳥からはそう見えてしまったか。仕方ない、話題を変えるとしよう。しかし、物騒な言葉をあまり使うなよ、ジョニーの成長に悪い影響が出るじゃないか。



 勝てない相手だった筈のミルキーワームを倒せた理由。それはきっと――



「スキルを覚えたから、かな?」



 アンロック ステータス オープン、と唱えて改めて自身の状況を確認してみると、やはり増えていた。ついでに技のランクから-が取れたようだ。


 名前:ソラ

 種族:ミニペンギー

 レベル:1

心 B

技 E

体 F-

魔 F-


 アビリティ

  【ふわふわボディ】

  【格闘の心得】  

  【種】


 スキル

 【逆水平チョップ<T 2nd>】

 【集中】


 称号

  【神*呪%>◎℃】

  【神の悪戯】

  【凶極鳥の寵愛】

  【ペテンペンギン】

  【チョッパーロード】



 アビリティ【種】

 所持者の深層心理によって発芽する可能性の種。通常とは違う特殊なスキルを取得する事が可能になる。


 説明が説明じゃないような、なかなかどうして理解し難いスキルだ。恐らくはスキルによるアシスト云々がこのスキルに関わっているのだろう。昨日の夜に色々と腹を(くく)った事が取得の要因だったのか。



 スキル【集中】

 一定時間、自身の意識が洗練される。

 ステータス上昇。スキル取得率上昇。この上昇値は他のスキル、称号から優先度に関係無く無効化されない。



 簡略的な説明だが、無効化されないという一点が特筆すべき効果だろう。神の悪戯のせいで補正関係が軒並み消される中で、きっと今後も役に立ってくれるに違いない。これが種スキルから出たのか、種スキルも期待出来るスキルなのだろう。



 称号【チョッパーロード】


 チョップ系スキルを規定数取得、奥義を開拓した者に贈られる称号。チョップ系スキルの威力に補正。


 チョップへの開拓者。未知は自由であり、自由は未知である。未知を恐れぬ自由の一手を伸ばせ。



 これはチョップ オブ ペンギンが消えた代わりに出てきた称号だ。後半は深いようで意味のない言葉だろう。補正関係はリセットされるから無意味という。意味がないのに覚えるのか解らないよ。



 そして、奥義を見る前に比較として確認しよう。



 逆水平チョップスキルツリー 1stステージ

 【地割りチョップ】

 発動条件 倒れ込む勢いを利用し、払い落とす翼はまさに地を割る勢いで敵を断ずる。まさにそれは断頭台の如し。



 逆水平チョップスキルツリー 1stステージ

 【ああああ】

 発動条件 気怠い気持ちで翼を適当な方向へ払う。なんでこんな事をしているのか分からないし、分かろうともしたくない。



 これが派生スキルとして受理されたのか理解不能だが、こういう形でスキルツリーは派生していった。



 そこを踏まえて、これが奥義だ。



 逆水平チョップスキルツリー 1stステージ

 【奥義 水月】

 発動条件【集中】発動時、右翼を自身の最速で薙ぎ払う。水面に映る月が如く静寂のなかで、音に迫る勢いで振るう翼は刃となり自身の身体以上強度を持つモノであろうと()く絶ち斬るであろう。



 一個だけ言わせていただけるなら、俺は厨二病患者ではない、という事だ。


 なんといえばいいか、集中していた時の事はあまり覚えてないのだが、身体が最適な答えを取った結末というか……出来れば内容は墓場まで持っていきたい。疾く絶ち斬るって、疾く絶ち斬るって……



「と、まぁ色々と話したけど。こんな形でスキルによる勝利って感じになる」


「「…………」」


 奥義の詳細以外、洗いざらい自己の考察を交えて勝因を説明すると、黙って聞いていたママ鳥とメアリーが震えている事に気がついた。


 ジョニー? 俺の隣で寝てるよ。ふわっふわっの羽毛もふもふ。至福でござる。

本文に上がったので、後書きのステータス表記無し。


2日程更新できずに申し訳ない。

今後の予定等を近い内に活動報告として上げます。


書きまくってストック作りまくらねば……

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