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パタつかせてペン生~異世界ペンギンの軌跡~  作者: あげいんすと
第一章 ペン里の道も一歩から
18/139

パタつかせて初めての……

 


 ぺぺん!!



[アクションによるアンロック、【逆水平チョップスキルツリー】派生、【ソニックスマッシュ】を取得しました]


 すぺっしゅ!!


[アクションによるアンロック、【逆水平チョップスキルツリー】派生、【ヴォルガニックレイヴ】を取得しました]


「おぉっ!!」


 今の良かったかも知れない。今までで一番のキレがあった気がする。結果的に、ミミズは無傷なんだけどな。あ、死んだ。


 本日、快晴。すくすくと逆水平チョッブのスキルツリーだけが育っている。ただ、どれもこれも名前ばかりの数ばかり、ただのカカシですな。


「ソラ。次行くわよ」


「オッケーマザー。どんどん行こう」



 確実な事は昨日より体力が付いている。いや、事実として疲労度でいえば昨日より少ない。それが成長なのか、もしかして準備運動のお陰かは、さて置くとして。



 ただ、ひたすらミルキーワームに逆水平チョッブを繰り返す。時に身体の向きを変え、時に軸の角度を変え、歩行を変え、これまで覚えた名ばかりの技をなぞり、すぺんすぺんと一心不乱に翼を振るう。



「ソラ? そろそろ――」


「……まだ、やれるよ」



 時折、上手くいった逆水平チョッブに名前を付け、たまに動作が被ったのか派生スキルにならなかったり。


 前世にはなかった羽……俺の翼、前世にはない翼の長さ、足の長さ……身体の使い方が少しずつ解ってきた。


 人とは違って拳は握れない、物は握れない、キックは届かない。不利は上げればキリがない。


 だが、そんな事はどうでもよかった。この圧倒的にかわいい姿と、ちょっとずつ、ちょっとずつ音が鋭くなる翼への期待。



「――? ――――」



 まだだ。もっとだ。もっと鋭く、速く……っ!!



 "パンッ"。



 聞いたことのない音が響いた。何かを斬り裂いて、何かが破裂したような音が。



[アクションによるアンロック、スキルによるアシストから【逆水平チョップスキルツリー】開花、【奥義 水月】を取得しました]


[心理によるアンロック、スキルによるアシストから【集中】を取得しました]


[【逆水平チョップスキルツリー】がセカンドステージに到達しました]


[条件を達成。称号をアンロック【チョッパーロード】を取得しました]



 いったい何が……起きて?



 ひっきりなしに頭に響く声に、俺はただ唖然して立ち尽くして――



[経験値が上昇しました]



 その言葉の意味を理解するまで、(しば)しの時間が必要だった。


 目の前にあったのは、ふたつに絶たれたミルキーワーム。もしかして、これは俺が……?



 びりびりと痺れる翼を見ると、真っ白でふわふわだった自慢の翼は真っ赤に濡れて――



「がっ!?」



 直後、激しい痛みが突き抜けるように翼から全身を駆け巡った。なにこれ!? 超痛い!! 超痛いんですけど!?


「「「ソラッ!!」」」


 赤く染まる、自身の血で染まる翼をガクガクと震わせて、俺は痛みにもがく。耳に届いた声はママ鳥達か。誰か、誰かなんとかして!?


「ソラ、なんでこんな……」

「ママ、ソラくるしそうっ!!」


 苦しそうな、じゃない!! ハンパなく苦しいんだよジョニー!!



「大丈夫、大丈夫よ」



 メアリー達の悲痛な声に返されたのは、慈愛に満ちたママ鳥の声。そして……



 風が吹き抜けた。



 痛みの熱を奪うようにひやりとした冷たい風が俺の翼を優しく撫で去っていく。


 それがママ鳥が起こした何かだと、不思議と解る。ゆっくりと全身を包み込む冷たさは、俺の身体を痛みから解放する。


「すごい……」


「ママ!! ひやひやきもちいい!!」


「癒すのは得意では無いのだけれど……どう、かしら?」



 名残惜しさすら覚える癒しの風が消え、恐る恐る翼を動かしてみる。風によって乾いた翼の血が、ぱりぱりと羽根から剥がれ落ちていくな……



「まだ少し、痛むけど……大丈夫だよ。ありがとうマザー。助かった」



 曲げると、微かに刺すような痛みが走るが先程と比べると雲泥の差とも呼べる。これで文句を付けるような事などするべくもない。元々は自身の招いた怪我だし、深く深く感謝をする。



「どういたしまして。出来ればこんな無茶はして欲しくなかったのだけれど……」


「あぁ、うん。ごめんな」



 器用に溜め息を吐くママ鳥に申し訳なく思う反面、自分の限界点が判らなかったから仕方ないと内心で開き直る。結構あっさり越えたのは、成人男性の中身と赤ちゃんペンギン外見とのギャップなのだろうか。



「でも、まさか本当にミルキーワームを倒してしまうだなんて」


「うん。何度か止めようとしたのだが……したんだけど、聞こえてなかったみたい」


 頷き感心するママ鳥と、ママ鳥のいる手前か、口調を改めるメアリー。面倒なひよこである。



「ソラ。ジョニーもやりたい」


「ははっ、今ジョニーとやりあったら俺が死ぬよ」



 だが、実際に昨日は勝てそうもなかったジョニーに俺は通用出来るような気がする。これはちょっと慢心か。


 俺の答えにジョニーは、顔をふるふるぴよぴよと横に振る。



「ちがう。ジョニーもパンッてやりたい」



 あぁ、そっちね。なかなかどうして伝わらなかったが、俺のスキルが格好良かったんだな。まぁ、仕方ないと思うよ。ふふふ。


 俺の動きを真似しようにも、ジョニーの黄色い翼はパタパタと空を切るばかり。いや、流石に速攻で真似されたら複雑過ぎるんですけどね。



「それじゃ、ソラの特訓も終わったし、"お昼ご飯"にしようかしら」



 え、もう昼なの? 始めた時はまだ朝だったのに。完全に時間を忘れてしまったのか。


「ソラが頑張って殺したミルキーワームが沢山あるから、みんなも頑張って食べてね?」


 頑張って殺したって言い方もえぐいな。でも、一匹以外は自滅なんですけどね。


 まぁ、要はミルキーワームの死骸の処分に困ったのだろう。ひとりで食べさせられなくてよかった。



 

都合上8月1日の更新は一話だけとさせていただきます。



 名前:ソラ

 種族:ミニペンギー

 レベル:1


 スキル

  【ふわふわボディ】

  【格闘の心得】

  【逆水平チョップ<T 2nd>】

  【種】

new【集中】


 称号

  【神*呪%>◎℃】

  【神の悪戯】

  【凶極鳥の寵愛】

  【ペテンペンギン】

  【チョッパーロード】



 スキル【逆水平チョップ<T 2nd>】

 ツリー派生

 ・地割りチョップ

 ・飛び魚

 ・アラウンドワールド

 ・天昇ペン竜拳

 ・よく見たら垂直チョップ

 ・ああああ

 ・俺の怒りファイナルギガンティックいい加減にしろ

 ・お願いですから俺の手で死んでくれませんかね?

 ・ソニックスマッシュ

 ・ヴォルガニックレイヴ

 ・ペン翼撃

 ・乱ペン撃


 【1st奥義】

 ・水月



 次回はスキル考察回予定

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