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パタつかせてペン生~異世界ペンギンの軌跡~  作者: あげいんすと
第三章 泣きっ面にペン
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ひよこの因縁

前話を一部加筆修正しました。



「ゴブリンが全滅じゃと……?」



私と同じ疑問はジョルトおじいちゃんの口から、話ではオークの三倍はいたとされた筈なのに……


「それはもっともなんですが……恐らくは何かに襲撃されたのか、頭部のみを破壊された個体ばかりが……ゴブリンのみに被害があり、他にこれといった被害がないと言うのが現状です」


ヒメモリさんも訊かれると思ってはいたらしい。だが、自分でも納得出来る答えを容易してなかったのか。ふるっふーと小首をしきりに傾げてみせる。


「不気味じゃな……先程のもそうじゃが、だとしてもだ。それなら早いところソラの所へ急ぐぞ」


「あっ!! そうだ……ソラさんを助けに行かなきゃ!!」


「ソラ!! たすける!!」


決して忘れていた訳では無いが、こちらも想定を嘲笑うかのように理解を超える出来事の連続で――



――ミツケタ……



「ッ!?」


不意に肌を刺す感覚にその場から飛び退く。次の瞬間、私のいた場所に数本の氷柱が突き立った。


「誰じゃ!!」


ジョルトおじいちゃんが問いかけながら、同オークの剣を投擲。瞬く間に氷柱の飛んできた場所へ吸い込まれるが何かに当たった様子は無い。


「メア!!大丈夫?」


「あ、あぁ……うん、大丈夫」


「いったい誰が……」


風に揺れる木々のざわめきのみが響く森のなか、新たな敵の出現に私たちは身構える。


なんだろう? 今、誰かの声が聞こえたはずなのに……


「すまぬな。気を急かせていたとはいえ、儂が気づけんとは……」


ジョルトおじいちゃんも気がつかない。その事実は恐ろしく思う。だって、明らかに今の攻撃は私だけを狙って――



――ユルサナイ。



「二度は無い」


また聴こえた。と、わかった瞬間。


ジョルトおじいちゃんは私の前に立ち、反応していた。恐らく、飛んできたであろう氷柱を流転で返したのだろう。


「グギッ……」


今度は氷の砕ける音と鳴き声がした。



「あれは……キラーマンティス?」


ヒメモリさんの言葉に、私は襲撃者の姿を見る。


そこには木の色に擬態したカマキリ。キラーマンティスがいた。どうしてか、見覚えがあるような……


唯一、不自然なほど青く透明な鎌の一本は――



「まさか、あの時の変異体!?」



脳裏を過ぎったのは、先日ソラさんと共に戦ったキラーマンティス幼体の軍勢。その親は確かに結局、見つからなかったけど……


「知っているのか?」


「多分、前に湖でキラーマンティスに襲われた時の親、だと思う」


「あぁ、あの時のか……恨まれる筋合いはあるか」


視線を外すことなく返ってきた言葉に、一瞬だけ胸が傷んだ。弱肉強食とはいえ、恨まれる……か。



――ユルサナイ。


「許さないって言われても……」


「何か聞こえるのか?」


「え?何かってさっきから――」



こんな呪詛のような声は、何故か私にしか聞こえない? どうして……



――ジャマ、サセナイ!!



一際、頭に直接響くような叫びに思わず目を閉じそうになるが、直後に起きた変化はあまりにも劇的だった。



「っ、いかん!! メアリー!!」


「メアリー様!!」



ジョルトおじいちゃんが私に手を伸ばすより先、視界を光が埋めつくした。


「メア!!」


ただ唯一、誰よりも速く私を守るように、その場に押し退けようとした影があった。



その瞬間、私の意識は暗転した。




◇ ◇




油断があったとは、思わなかった。


だが、現実はそんな言葉、言い訳にすらならぬ。



「ぬかったわ……!!」



キラーマンティス変異体が放った光の収まると、そこにいたはずのメアリーの姿がない。もちろん事の発端であるキラーマンティスも……



「転移したのでしょう。恐らくはそこまで遠くないはず!!」


ヒメモリが直ぐさま答えを導き出し、上空高く飛んでいく。確かにそんなに遠くまで転移出来るのであれば、寝首をいつでもどこからでもかけるじゃろうて……


希望的観測に過ぎんが、明らかな失態に思わず立ち木のひとつを殴りつける。切り替えろジョルト、どうやって探す?



「なんにせよ、この場にはおるまい……」


「上空から確認しましたがフェニス様側以外に目立った物はありません」


くっ、ソラの件もあるというのに……



「あ、あのジョルト老……」


「なんじゃ」


「ジョニー様は……」


「…………」


言われてみれば、メアリーがおらんなら一番に騒ぎ立てるジョニーの姿もない。


まさか、一緒に……か。


「ど、どうしましょう?」


まるで蚊帳の外になってしまうとは、正直思いもせんかった。


「メアリーは聡い子じゃ。何らかの合図を待つしかあるまい……」



人類最強の拳とて、こんな時に役に立てぬ。


恐らくは転移先では既に始まっている戦闘に、儂はその瞬間を待ち、気を鎮めることしか出来んかった。




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