8話 サイガ、失恋する。
ギリギリ間に合った・・・。今期アニメが豊作すぎるのが悪い。あと艦これ熱も再沸騰したし。
彩雅「言い訳スンナ。」
サーセン。でもスピードはこんなもんだと思います。楽しんで書くのが一番!
とりあえず、イグナは屋敷の近くの離れで生活してもらうことにした。これからバリバリ働いてもらう。ちなみに、貴族の上級学院は復学させた。今はインターンという形で、書類上は社会勉強していることになっている。教師陣も優秀なイグナを退学させるのは惜しかったらしく、学費さえ払えば話は簡単だった。
イグナの他にも、学がある人間を山ほど雇用してきた。これで、学校(始めは全年齢対象の寺子屋レベル)と各部署が設置できる。
資本主義の魔法と人件費で財政がやばいので、ウォルフガング家の宝石を売り払う。一部のお金で今度は金の延べ棒を買い、市場価値が上がった時に売りさばいて利益を狙う。
「サイガ様。」
「ん?」
「どうしてわざわざ宝石から金に換えるんですか?手数料がもったいないじゃないですか。」
「あぁ、資産価値においては、金はダイヤモンドよりも優れてんだよ。」
「そうなんですか?」
「なにせ酸化しないし、基本的に価格が下がらない。そして家が火事になっても溶け残る!」
「宝石は溶け残らないんですか?」
「ダイヤは炭素の塊だからな。火で燃えるんだよ。」
「へえー!知りませんでした!」
「これを知っている資産家は子供のために、毎年、子供写真と純金のメダルをいれるアルバムを買うらしいぞ。成人した時、これがあなたの資産よ、と言って渡すらしい。」
「素敵ですねぇ。」
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資産のうんちくも終わったところで、温泉開発に本腰を入れていく。
「おおー!結構進んでるじゃんか!」
「はい、サイガ様の手腕によって、労働者たちのモチベーションはうなぎのぼりです。」
「やっぱ、どうせ働いてもらうなら多少経費かかっても気持ちよく働いてほしいからな!結果的にこうやって俺の利益にもなるわけだし。」
「なるほど。勉強になります。」
「人に指示する立場になったら役立つだろうさ。さて!じゃあ次はお風呂を造ろうか!露天と室内だと、敷き詰める岩の種類も違ってくるから気を付けろよ。ん?質問?ああ、ここはな・・・。」
具体的に指示を出していく。同時に建物を建てなければならないので、大工にも来てもらった。測量して材料調達、風呂が完成したら建て始める。地下水脈から水を引いて風呂あがりに冷たいミネラルウォーターを売るつもりだ。牛乳は冷蔵技術が発達したら売りたいな。コーヒー牛乳、フルーツ牛乳、イチゴオレとか夢が広がりんぐ。
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「サイガ様、お昼の支度が出来ました。」
「分かった。」
「・・・早く仕事止めてください。」
「すまん。」
最近、シャサの様子がおかしい。俺に対して冷たいし、笑わないし、近づいてこない。何かしたかな?
「いただきます。」
「いただきまーす!」
俺、妹、母、イグナ、サラで食卓を囲み、和やかに昼食の時間を過ごす。メイド組は別に食べるのだそうだ。あまり豪華な食材でもないので、一緒に食べればいいと思うのだが。ちなみに、イグナたちを連れて来た日、母と妹は超喜んで歓迎した。1か月経った今ではもうほぼ家族だ。
食事の後、メトラにシャサの事を聞いてみた。
「え?な、ななななにも感じませんよ?い、いつも通りです。」
ウソだな。演技が下手すぎる。さすがメトラ。
「教えてくれ。」
頭を下げる。
「あ、頭をお上げください!一介のメイドに伯爵様が頭を下げるなど・・・!」
「教えてくれるまで上げない。」
「う・・・。ごめんなさい、サイガ様。あの子から、「サイガ様には言わないで」って言われてるんです。ごめんなさい。約束は破れません。」
「・・・分かった。充分だ、ありがとう。」
すぐにシャサの部屋に向かう俺。詳しくは聞けなかったが、なにかが起きているのは確かだ。それを確かめないといけない。
「あんた調子乗ってるよね。サイガ様に色目使ってさ。亜人の癖に。前から思ってたんだけど、サイガ様に近づこうとするのは止めなさい。仮に妾になれたとして、貴族の血統に穢れた亜人の血が入るんだから、その子供は不幸になるに決まってる。跡継ぎになれるわけがないもの。分かった?だから金輪際、サイガ様に近づくのは止めなさい。」
「・・・私はただのメイドですよ?そんなことするわけないじゃないですか?」
「そうかしら?変わる前のサイガ様も、変わった後のサイガ様も、あんたをいたく気に入っていたようだけど?」
「・・・」
「とにかく、そういうことだから。」
「・・・」
「・・・なるほどな。こういう事だったのか。」
「・・!?」
メイド長とその取り巻きが去った後、廊下で聞いていた俺は、シャサの部屋に入る。
「さ、サイガ様・・・!お聞きになっていたのですか・・・!?」
「ああ。ごめんな、シャサ。お前ばかり贔屓にしていたら、他のメイドからやっかみを受けちまうのは当たり前だよな。」
「そんなの、気にする必要ないですよ。私は、ただのメイドなんですから。」
「・・・最近俺と距離を置こうとしてるのはさっきメイド長たちが言っていた事が理由なんだな?」
「はい。」
「あぁ、クソッ。」
俺はガシガシと乱暴に頭を掻く。
「俺は血統なんかどうでもいいのになぁ・・・。」
「サイガ様が良くても、周囲が納得しませんし、それに・・・。」
「それに?」
「と、言うか、サイガ様、私にちゃんと告白してないですよね?」
「ウェ!?い、いやあのその。」
「なのに私がサイガ様の血統がどうのこうの言うのっておかしくありません?」
「・・そうだな。」
すぅっ。息を整える。しっかりと、相手の目を見る。
「シャサ・・・好きだ。その耳も、年の割に幼い挙動も、口調も、すべて。俺の妻になってくれ。親族は、俺が説得する。」
「・・・ありがとうございます。私も、サイガ様のことが、好きです。」
よっしゃ、と叫ぼうとした俺だが、しかし。
「でも、ごめんなさい。お断りします。あくまで、サイガ様お抱えのメイドとして、これからもお慕い申し上げていくつもりです。」
「「・・・。」」
重苦しい、沈黙。
「それでは、仕事がありますので。」
「ちょっと待ってくれ。」
シャサの手を掴んで引き留める。
「メイド長の言う事なら気にするな。どうにでもなる。あ、もしかして、俺には許嫁の貴族とかが居るのか?」
「そういうことじゃないです。ただ単に、私はサイガ様を異性としては見ていない、という事です。」
冷え切った表情、シャサの瞳。今までのシャサとはまるで別人だ。
「・・・じゃあ、勝手に両想いかもしれないって考えてた俺はただの勘違い野郎ってことか?」
「・・・。」
無言で手を振り切って、部屋から出ていくシャサ。バタンッとドアを閉める音がした。同時に、今まで開いていたシャサの心の扉も、閉め切られたかのようだった。
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俺はとりあえず自室のベッドで死ぬほど落ち込んだ。だが同時に釈然としないものを感じていた。それは、
>『・・・。』
俺の問いに対しては無言だったということ。そしてなにより、メイド長の一言。
>『変わる前のサイガ様も、変わった後のサイガ様も、あんたをいたく気に入っていたようだけど?』
前の『サイガ』も、シャサを気に入っていた・・・?その情報だけで、様々な推論が立てられる。何かありそうだ。色々考え込むが、結局はシャサに聞かないと何も分からないので、とりあえず今は寝る。
翌朝。
「おはようございます。朝ですよー。」
「うーん・・・。あと46億年だけ待って・・・。」
「そんな寝てたら地球が出来ちゃうぞ!お兄ちゃん、起きろー!」
「ゴフッ!」
寝起きに妹からドロップキック食らった。阿良〇木暦君かな?
「いてえええええ・・。」
「大丈夫ですか?」
心配そうに俺の俯いた顔を覗き込んでくるのは、シャサ。
「ああ。大丈夫だ。おいリィナ!いくらなんでもドロップキックは無いだろ!」
「へへーん!どうだい、一発で目が覚めたでしょ!」
「大事な腹部の五臓六腑のみなさまが永眠あそばされるところだったわ!」
「お母様ー!お兄ちゃんが起きたよー!」
ぶーん、と言いながら両手を広げて走り去るリィナ。
「ったく。」
「朝食出来てますから、冷めないうちに着替えて来てくださいね。お召し物はベッドの上です。」
「・・・はいよ。いつもありがとうな。」
「あ、サイガ様。メイド長に言っていただければ、いつでも専属メイドは変えられますからね。」
「変えねえよ。ちょっと気まずいくらいで変えるわけがない。余計なことは考えんな。いつも通りでいいぞシャサ。」
「・・はい。」
寝室で一人になる俺。
「はぁ・・・。」
人生初の、失恋か。
ここまでお読みくださりありがとうございます。
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ところで全く関係ないけどみなさんが見る予定の今期アニメ、何がありますか?お返事は感想で書いてください。ちなみに西織は「六花の勇者」と「GATE~自衛隊彼の地にて斯く戦えり~」にものすごく期待しています。この二つ、製作会社の気合いを感じるんですよねぇ~。六花の戦闘シーンは本当に興奮した!やっぱアクションが一番難しいですからね。そこのクオリティで会社の良し悪しが分かる気がします。