2話 サイガ、領主になる。
ふむ、連続投稿か。初めてだ。続くといいなぁ(オイ)
とりあえず、シャサから聞いた話をまとめるとこうなる。
・俺はこのウォルフガング家の跡取り
・姉と妹がいる。姉はすでに嫁いでいる。
・ウォルフガング家の領地は山と田んぼと畑しかないド田舎
・この国は王政で、現王が名君すぎて(あと貴族に無能が多すぎて)絶対王政のような状態になっている。
・父はすでに他界しているので、俺が継ぐのは時間の問題。
・・・なのだが、「昨日までのサイガ」は優しいが馬鹿だったらしく、勉学も運動も出来ないと分家から舐められており、俺を次期領主として認めないとほざいているらしい。
「なるほどなぁ。」
朝食を食べ終え、シャサに淹れてもらったお茶(高級そうな緑茶。この領地の特産品らしい。)を飲みながら、これからの方針を考えていく。
「あの、今のサイガ様は、昨日までのサイガ様としての記憶が無いようですが、なぜですか?私はてっきり多重人格者なのかと・・・。」
「そんなに雰囲気違うのか。まぁ、俺は昨日まで別の世界で暮らしてたよ。今はサイガ・ウォルフガングだけど、向こうでは金田彩雅としてね。」
「別の世界・・・?」
驚いているようだ。俺だって向こうでラノベや、なろうの小説を読んでいなければ信じられないしパニックになるだろうが、いかんせんワクワクが勝ってる。
「記憶がない理由はわからん。妹や母には頭打って記憶が混乱してるとでも言っといてくれ。」
「承知いたしました。」
「あのさ、そろそろ着替えるから部屋出てくれるか?」
「え?ああ、はい。」
そそくさと部屋から出ていくシャサ。なんだか暗い顔をしていたが、なにかあったのだろうか?
「まあいいや。着替えて家族にあいさつだな。」
その時廊下にいるシャサは、壁によりかかっていた。
「そっか、忘れちゃったんだ・・・・・・ううん、これで良かったのよ。新しいサイガ様もいい人みたいだし。また明日からがんばろう。」
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「おーおー、出てきましたなぁ。ボンクラの息子さんが。」
妹におはようを言ってから母に会いに行ったらなんか変なオッサンがいた。
「ソドムさん、私の息子を馬鹿にするのはやめてください。おはよう、サイガ。」
「おはようございます、母上。」
「「!?」」
普通に挨拶したらなんか驚かれた。
「どうされました?」
「いや、サイガ・・成長したのですね・・・!今まではずっと人前でもお母さんお母さんと呼んでいたのに・・・!」
やべ、まちがえた。まあいいか。てかマザコンか?昨日までの俺は。
「嫌味なこちらの方はどなたですか?存じ上げないのですが。」
大方、分家のバカってとこだろうから挑発しながら聞いておく。
「なんだと?貴様、喧嘩を売っているのか!」
おお釣れた。けど小物すぎるな。イラネ。
「あああああああ、ソドム様、昨日サイガ様は頭を打たれてですね、記憶が混乱してらっしゃるのです!なのでどうかお気になさらないでください!」
「だが敵意を感じるぞ!サイガの分際で!」
なにその、のび〇くんみたいな。
「ちょうどいい、アンタに言っとく事がある。俺は領地を継ぐ!だが分家は納得できないんだろう?ならば一年待て!その間見定めておけばいいだろう。俺が本当に無能なのかどうかを!」
「なっ・・・!」
決まったな。と悦に入っている俺に女性陣の声が聞こえてしまう。
「サイガ・・・!もうずっと記憶混乱しててください・・・!もう私は思い残す事無く逝けます・・・!」
「奥様!奥様!お気を確かに!」
・・・・・・。
*************
「と、いうわけだ。」
「おおおおおおおおおおおおお、燃えますねえ!」
なんか記者がノリノリになってきた。
「そして次は?」
「ええっとだな・・・」
*************
とりあえず、着任式をした。速攻で。
「おおー、かっこいいぞお兄ちゃん!」
「ありがとう妹よ。お前もかわいいぞ。」
「きゃははは!ほーめーられたー♪」
なんだこのかわいい生き物。向こうの妹は寝顔以外かわいくなんてなかったぞ!
※シスコンではありません。妹思いの兄なだけです。
「さて、まずなにをしますか?」
「おう、シャサの仕事は増えるぜ?俺専属のメイドだからな。」
「のぞむところです。」
「んじゃあ、役所から領地全体と村々の収支報告書を持ってきてくれ。」
「分かりました。」
仕事だ。楽しい・・・・・!
とりあえず父が使っていた書斎を占拠する。
「ふむ・・・。」
「ただいま帰りました!」
「はやっ!」
「まぁ、役所、屋敷のとなりですから。」
「それにしてもすげえな。使えるメイドという事実はっかーく。」
「そうですか?えへへ。」
素直に照れるけもみみメイド。「えへへ」がとても可愛い。
「なんか後で褒美をやろう。なにがいい?給料ベースアップとかかな。」
「え、いいんですか!」
「おう、なんでもいいぞ。なにせ領主の貴族だからな。」
ん?今何でもって・・・いやなんでもない。
「じゃあ、頭なでなでしてください!」
「は?」
「あっ・・・ごめんなさい、お嫌ですよね獣人の頭なんて。」
「いやいや、ぜんっぜん嫌じゃないしむしろご褒美なんだが、そんなんでいいのか?」
「はいっ!」
「お、おう・・・。」
おずおずと頭をなででみる。
「ああ・・・けもみみに触れるとは・・・。」
至福のひと時。家はアパートだったからペットが飼えなかったのだ。
なんだかシャサも気持ちよさそうでなによりだ。ちょろいなしかし。好感度上がるの早くね?これなんてエロゲ? いや、尊敬されてるだけだな。そうにちがいない。先走って勘違い乙とか言われたらさすがの俺でも立ち直れない。
「そういえば、なんの耳なんだこれ?」
「オオカミです。両親がオオカミ族だったもので。」
「へえ、獣人にも種族があるのか。全種族に会いたいな。」
なでるの終了!満足満足。
「サイガ様は、獣人に偏見をお持ちでないのですね。」
書類を読みながら答える。
「やっぱこの世界でも獣人は低く見られてんのか。どうにかしないとな。」
「あ、ありがとうございます。」
「獣人は好きだぞ?耳かわいいじゃん。」
「・・・やっぱりサイガ様ですね。」
「ん?」
「いえ、なんでもありません♪」
なんかご機嫌だな。まあいいか。とりあえず、ウォルフガング領の財政を把握するところからスタートだ。
個人でも法人でも行政でも、金をうまく回すにはなんのためにどれくらい払っていて、どこからどれくらいの収入があるのかを把握するのが先決だ。
「・・・わりかしいいな。」
シャサにお茶を淹れてもらって、今はおつかいに出させている。
とりあえず、財政はそこまで悪くない。歳入が少ない分浪費はせず、質素な生活をしているようだ。父はいい領主だったんだな。
「あとは、収入を伸ばすだけか。事業仕分けの手間が省けたぜ。」
二番じゃダメなんですかあああ!?と幻聴が聞こえるが無視。民主党許すまじ。
田舎だけあって、農作物しか収入源がない。これは天気や気象に左右されるため、あまり良くない。
うーん、可能性しかねえなこの領地!まさかあたためていたビジネスプランが役に立つ日がこんなに早く来るとは!うはははははははは!
次から本格的にチートビジネス始めるよ!でも結果出るまでちょい地味かもしんない!そこはちょーっと我慢してね!