1話 サイガ、異世界に行く。
あぁ、多摩球磨まぢかわいいんじゃあ~。
艦これにハマってます。(どうでもいい)
突然だが、ビジネス、という言葉を思い浮かべてみてほしい。
あなたがそこから連想する言葉はなんだろうか。
お金?お金?それともカネ? 色々あるだろう。
世の中で、ビジネスと全く関係がない生活をしている人はほとんどいない。
スーパーでの買い物、ソーシャルゲーム、月々の水道代や電気代。
すべてがビジネスだ。
だが裏を返せば、ビジネスを支配し、自分のものにすれば、世の中の一部分をも支配できる、ということでもある。
・・・あー、もうやめていいか?この語り。だるいわホント。
**********
「ちょっとサイガ様!せっかく今日、大手新聞社の方々が来てくださったんだから、まじめにやりましょうよ!まだ30秒も話してないじゃないですか!」
「いいよもう。俺が話しやすい口調でいくわ。記者さんもそれでいいですよね?どうせ編集するんだし。」
「噂通り、ズバズバおっしゃる方ですね。」
インタビュアーの記者が苦笑いする。
「もちろんかまいませんよ。どうせ口調は編集するので。」
「民衆の勝手な『立派な経営者像』を俺に押し付ける訳か。まあいいですよ。おもしろそうなんで。」
そう言うと俺はシャサが淹れてくれたお茶でのどをうるおしてから、不敵な笑みを浮かべて話し始める。
俺が今までたどってきた人生を。
**********
「あー、金稼ぎてぇなぁ。どっかに仕事落ちてねえかな?」
「なんかズレた台詞ね。普通なら、『お金欲しいな、どこかに落ちてないかな?』っていうとこじゃないの?彩雅の事だから、お金より労働が欲しいんでしょ?仕事中毒にならないでよね、ビル・ゲイツじゃないんだから。」
休日、自分の部屋でゲームをしてくつろいでいる俺のひとりごとに律儀に答えてくれやがったのは、幼馴染の燐だ。漫画などではベタな設定だが、我が家の隣の家に住んでいる。無駄に現実的なのは、我が家はアパートの一室なのに対し、こいつの家は一軒家だということだ。
「その通りだが・・・・なんで俺の部屋に勝手に入ってきてんだよ。お袋に用があったんだろ?あと俺はゲイツ超えるから。」
「はいはい、妄想乙。おばさんとのおしゃべりは今終わったとこ。あんたがどうしてるか気になっただけよ。どうせゲームしてるんだろうなとは思ったけど。」
「どうせとは何だ。聞き捨てならねえな。このゲーム、『Mine Farm』は傑作中の傑作だぞ!」
「はぁ・・・。廃人には何言ってもダメね。」
このオンラインゲーム、『Mine Farm』通称マイファムは、全世界で大ヒットしたゲーム・・・の同人作品だ。クオリティは非常に高く、国内外でそこそこのユーザー数を誇っている。
「あんた昨日の授業も寝てたでしょう。寝不足の原因はこのゲームのやりすぎ。全く・・・高校生ライフを楽しめるのは今だけなのよ?すこしは楽しもうとか思わないの?」
「全然。早く大学行きたい。高校なんて、高卒資格くれるから通ってるだけだ。授業は聞いてねえけど、受験勉強はしてるからな。読書も好きなだけしてるし。適当に話の合うやつと3年間過ごして、非効率極まりない『授業』って時代遅れのシステムをただ漫然と受け続けるのが高校生ライフとやらなら、そんなもんいらん。」
「出たよいつもの。」
燐にはあきれられているが、これが偽らざる俺の本音だ。ちなみにコイツは、茶道部部長と家庭科部副部長と女子サッカー部エースをかけもちしている上、さらに成績優秀で教師陣からの信頼も厚く、容姿端麗でモテモテと青春を謳歌しまくっている。本人が楽しければそれはそれでいいのだろう。俺には絶対無理だが。なぜか彼氏はいないらしい。
「あんまりやりすぎないようにね?学校休んで出席日数足りなくなったら高卒資格ももらえないんだからね?」
「へーい。ありがとよ。」
忠告は素直に受け取っておく。
「じゃあまた明日、学校で。」
燐が帰った後、俺はゲームをやめて風呂に入ってから夕食をいただき、勉強してから寝た。
・・・のだが。
ジジジジ・・ジジッ
俺のパソコンがひとりでに起動した。ブルーライトが降り注いで眠れないので、シャットダウンするために机に向かう。
「間違えてスリープにしてたのかも・・・ん?」
俺はなにもしていないのに、マイファムも勝手に起動している。なにやらメッセージが書いてある。
「・・・ようこそ、わたしたちの世界へ。だと?」
これは、まさか・・・。
思いを巡らそうとしたときにはすでに、俺は自分の部屋から姿を消していた。
************
「ふわあぁ・・・。よく寝た~。」
目が覚めて伸びをする俺。
「・・・ん?」
辺りを見回す俺。
「家・・じゃねえよなぁ。」
ベッドで寝ていたが、俺の部屋ではない。豪華だが悪趣味ではないへそう、例えば質実剛健な貴族のような・・・?
「お目覚めですか、若様?」
「っ!?」
急に何者かが部屋に入ってきた。
「今朝は珍しく早いんですね。朝食はお米と麺麭のどちらになさいますか?」
そう言いながら、謎のケモミミメイドさんはカーテンを開けながら俺に問いを投げかける。
・・・けもみみ?かわいいな・・・。
っといかんいかん。
なぜこの人は俺と知り合いであるかのように接してくるんだ?
「おはよう、えーっと、名前なんだっけ?ごめん、ど忘れしちゃった。」
「・・・ええええええ?笑えませんよ若様、そのジョーク。」
「その、若様ってのはなに?俺貴族の息子なのか?」
「当然じゃないですか、ウォルフガング家の跡取り、サイガ様ですよあなたは。・・・もしかして、本当にご存じない?」
一言目は冗談だと思われてしまったが、二言目と俺が演技をしているわけではない様子なのが分かったようだ。
「ああ。」
「確かに、昨日までと少し雰囲気が違いますねぇ・・・。あ、申し遅れました、私はメイドのシャリアサードです。シャサとお呼びください。以後お見知りおきを。」
「あっさり信じてくれるんだな。」
「ええ、そりゃまあ、「昨日までのサイガ様」は嘘など吐かれない方でしたから。」
「なるへそ。」
今、サイガ様と言ったな?名前まで同じか。
「じゃあ今から朝の準備しながら色々質問してもいいか?」
「大丈夫です。朝食はところでどっちになさいます?」
「ご飯で。」
「承知いたしました。」
こうして、俺の異世界チートビジネスライフが始まった。
お読みくださりありがとうございます!
コメディとシリアスはバランスよくしていきたいので、偏ってるなと思ったら(思ってなくてもなにかしら)感想ください。ポイントやレ、レヴューなどいただけたら飛び上がって喜びます。マジです。これからもよろしくお願いします。
今月中には2話アップします!(決意)
追記 6月28日 シャサの口調変更
1月25日 家名をジステイン→ウォルフガングに変更