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モブの恋  作者: 相川イナホ
ヘルドラ遺跡にむけて
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楽な戦い

 「ダンがそう言うなら、例の石の効果は疑いなさそうだね」


 言いながらもネリーの視線は森の上空の方へ固定されている。


 黒い点のような物がいくつも「魔の森」の上空に現れ、その数を増してきていたからだ。


 「空はあたし達に割り当てって考えていいのかねぇ。まぁ、言われなくても任せなってとこだけど」


 「ワレワレガ対処スルガイイダろう」


 ジルベールも頷き、待機しているドラゴンに合図を送る。


 「まだちょっと慣れませんが、お供しましょう」


 新人のピールはドラゴンの背にまだ慣れていないと見えて苦笑い。


 短くガスパが「行くぞ」と声をかけ、私は「はい!」と答えていた。



 「『赤の牙団』!行くよ!」



 ネリーの掛け声で私達は一斉にドラゴンの背に飛び乗った。


 「魔の森」上空に現れた点のような物がぐんぐんと近づいてくる。

 すると翼のある魔物とプテラノドンに似た姿の翼竜の姿が現れてくる。


 「ハーピィまでいますね」


 いつの間にかニコルが混ざっているのもいつもと一緒か。



 ドラゴンの背に乗って準備の出来た「赤の牙団」は充分に仲間から距離を取って浮上する。


 今まで空で警戒にあたっていた「煌駆のジン」が私達と合流する。

 彼の騎獣はブラックユニコーンだ。


 「地中のやつらは大丈夫か?」


 「ああ、あらかた殺っちまった。あとは下にいる連中で対処できるだろう」


 「『魔の森』の外円にいるのは、まだ名前がついている分類のできる魔物ですが、奥に行けば行くほど、その姿は名状しがたい何かになっていくそうですよ。」


 ニコルの説明に「赤の牙団」の面々の気がひきしまる。


 「わたしは目が八つ程ついた、尾の長いカマキリと猿が混ざったような魔物を見た事があります」


 ピールの言葉にニコルが食いつく。


 「その話!もっと詳しく!」


 「それには目の前の敵を蹴散らさないと!」


 ピールが笑いながら言い、それを聞いたダンが同意するかのように肩を竦めた。


 「違いないね」とネリーが言い、続いて散開の指示を出す。




 魔の森の上空へ飛び込む。


 「前方のは俺らが受け持つ。いいよなフロル」


 「煌駆のジン」が私に向かって確認をとった。


 私も頷き、了承の合図を送る。


 「荒ぶる風よ嵐となりて渦を巻いて敵を乱せ」


 ジンが短い詠唱を唱えると空がにわかに暗くなる。

 突風が吹き、魔物達が煽られて互いにぶつかり絡まっていく。

 それに目がけて、私は雷を落とす。

 ジンが創りだした暗雲の中は電気を帯びていて、そのエネルギーの流れを団子状になった魔物に誘導するだけなので楽だ。


 電流を通された魔物は麻痺を起こし、落下していく。

 風の影響のない下層まで落ちた、それら魔物の翼を目がけて、ネリーとジルベールが短槍を投げつけている。

 まるでダーツでもしているかのようだ。


 「トゲッシーの棘、さっそく役にたったなぁ。思った通りだ」


 なんと短槍だと思ったものはトゲッシーの棘だった。

 地表に叩きつけられた衝撃と追い打ちの棘の翼への攻撃で魔物達は重傷を負っているようで動きが緩慢になり、反撃もにぶる。


 そこを追いついた冒険者達が襲い掛かり、次々と魔物達の息の根を止めて行っているようだ。


 ダンとピールとガスパはジンの風を避けてこちらに向かってくる魔物を剣や槍で地面に叩き落としている。


 地面に落ちた魔物は飛び立つ事ができず、私達に落とされた魔物と同じく、冒険者達になすすべもなく駆られていく。

 ネリーとジルベールは地表にいる魔物で目につくような強い者にも棘を投げつけて傷を負わせているようだ。

 傷のせいで動きが鈍くなった魔物を狩るのは魔物との戦闘に慣れていない騎士団でも楽な作業とみえて、騎士団の連中も危なげなく魔物を仕留めていく。


 どちらかと言えば蹂躙に近い楽な戦いになった。

ライオネル王子の率いる騎士団も意気があがっているようで威勢がよい。



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