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モブの恋  作者: 相川イナホ
ヘルドラ遺跡にむけて
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ワーム

 ゆらり


 森が揺れたような錯覚がした。


 「やっぱりな」

 「おいでなすったぜ」

 「来たね」

 「来たな」

 「うむ。想定内だ」

 「来るよ」

 「…フッ」


 冒険者達は、手にした得物を握りなおす。


 「…詠唱はじめ」

 「矢をつがえよ」

 「投擲用意」


 騎士団の方も各隊の隊長クラスが指揮をとる。



 明らかに森が揺れる。木々が何かによって揺らされているのだ。

 森の奥から、それは近づいてくる。






 「こんな大勢でご来訪だものな。腹ペコ連中にはたまらないだろう」

 「連中にしたら食事のお知らせのベルが鳴ったのと一緒だろうからな」


 巨大なワームが森の入口に地中から、その姿を現した。


 ワームという生き物は地中の中を住処にしている。

 獲物の立てる足音の振動を察知し、地中を進んで獲物まで近づき捕獲をする。

 ワームの長い身体の先端には退化した目と嗅覚をつかさどる器官と捕食口つまりその頭部の殆どをしめる口がある。

 今はその大きな口である大きな開口部を開き、その穴の形はあろうことか笑いの形を取っているかのようだ。


 「へへぇ。笑っていやがるぜ」


 冒険者の誰かが、言った。


 「よほど俺達、食糧に出会えてうれしいんだろうよ」


 違う誰かがそれに答える。


 「ワームは森の守番だ。続いて来るぞ。次のにも備えろ」

 「オークが出るか、ゴブリンが出るか。」


 「打て!」


 一番最初に声をあげたのは何処の隊だったのか。


 「魔の森」とは基本的には「魔力が凝った場所」であり魔物の領域である。

 冒険者が素材集めや狩りのためにパーティ単位で入る事はあるが、ただの森とは違い、人が開発したり住んだりするには不適当な場所である。


 魔の森から溢れる魔物を押し留めるため以外で、こんなに大規模な軍隊が組まれ、さらに森にまで入り込んだのは久しぶりかもしれない。

 だからこそ何が起きるか不確定だ。


 ワームの群れを難なく撃退した冒険者と騎士達は、次にはオークや狼に似た魔物と戦闘に入る。


 「こちらの人数が多いからか隠れて様子見の魔物も多いな」


 ゴブリンやコボルト、あと猪や猿に似た魔物やホーンラビットなどは弱いのでひっそりと息をつめてこちらを伺っているようだ。

 もちろん集団から離れた者を襲う気は満々のようであるが。


 「連中の持っている石のせいか、こちらを避けているかのような動きもあるな」


 探知能力を持っている者からすれば、魔物のそういった動きも丸見えだったりする。


 「赤の牙団」では索敵の得意なダンが、魔物の動きを読んでいた。


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