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モブの恋  作者: 相川イナホ
ヘルドラ遺跡にむけて
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戦闘直前


 目的地である「魔の森」の直前となって、様子見の為かライオネル王子が率いる騎士団は、一旦、陣を敷くようだ。

 少し森に足を踏み入れる事を躊躇っているように見える。


 対して冒険者達は血が騒ぐようで興奮が抑えられないようだ。


 冒険者パーティの中では比較的大人しめの「カルロスミスと愉快な仲間達」すら目には見えぬ「闘気」のような物が身体より揺らめいている。

 この場にスカ〇ターでもあればメモリが振り切れている事だろう。


 「ケモミズ」などは野生のハンターとしての本能を全開にして、目がぎらついている。


 「ちょっとちょっと。皆んなギラつきすぎ。怖いよ」


 「ラフポーチャ」のマリアも口ではそんな事を言っているが、お気に入りと思われる得物を手に前傾姿勢だ。

 そしてリーダーっぽい人がそれを押さえている。

 そこが彼の安定した位置のようだ。


 反対に冒険者のうちで、魔力量の多い者は「煌駆のジン」のようにそれぞれ瞑想などをしてコンディションを整えているようで静かだ。


 私も目を閉じて瞑想をしている。

 森の中に入る前より溢れ出している魔力は濃密でねっとりと感じられる。

 感覚として「重い」とすら感じられる程だ。


 身体の中の魔力を循環させつつ、外の魔力を取り込む。

自分の魔力と外の魔力を親和させて扱い易くするのだ。


 「比較的に森の浅いところにも、やっかいな奴がいるな。」


 「赤の牙団」での索敵担当のダンが森の様子を推し量って、皆に戦術を伝える。


 ただ突っ込んでいけばいいという訳ではない。相手によって得物を変えるのも冒険者として常識だ。


 だが、「筋肉の饗宴」のメンバーは肉弾戦メインでいくようだ。飛び道具や魔法道具などの用意はしていない。

 魔法属性の相性すら物理で凌駕する自信があるらしい。


 「いやいや。ご心配なく。肉体強化とか魔纏術はさすがに使うから」


 他の冒険者パーティに装備について突っ込まれ、彼らはそう答えていた。


 フルアーマーに身を包む者。魔術師のマントに身を包む者、一般的な冒険者スタイルの者。

 何故か露出の多いセクシーな姿の者もいるが、ここから先はあの「魔の森」なのだ。

 一寸先、何が起こるのか、むしろ何でも起こり得る可能性がある。

 「赤の牙団」も最後の装備の確認に余念がない。


 バサッ


 旅用のマントを取り去ると、現れたのは迷彩柄。

 そう、レンジャー服というかミリタリー服というか。

 「赤の牙団」の装備の異質さに周囲の目が集まるのがわかる。


 もちろんこの旅用のマントはリバーシブルになっていて裏にすると、それも迷彩柄だ。

 ゴブリンだのオーガだの人型の魔物は、人間と同じ視力を持っているので、この迷彩柄というのは魔物相手でも充分に効果を発揮する。


 それこそプ○デターのような赤外線センサーを装備されたら見えてしまうが、糸に蜘蛛系の魔物をはじめとした魔物由来素材の素材を織入れてあるので魔力感知も温度感知もある程度は攪乱させてくれるし、何より防風防塵防水仕様である。


 魔物の素材万歳。


 プラもポリもないけど、素晴らしきファンタジー素材よ。

 もちろんこれらはアマゾン領の機密装備である。


 それに今回は各自魔法収納の背嚢を装備している。


 私は矢と剣、ネリーは剣とサックと、ジルベールとガスパは盾と剣、ダンは剣と投げナイフ、ピールは刀と鞭をそれぞれ装備してその時を待つ。


 もちろん見えないところにも各自得意の得物をちゃんと装着済だ。




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