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モブの恋  作者: 相川イナホ
幕間 ハイグリーンギルドで
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裏切り3

 姉が儚くなって、サムの姿は再びハイグリーンの冒険者ギルドにあった。

 実家は弟達と父が充分稼げるようになっていてもう心配はなさそうだった。


 サムはもっと強くなりたかったのだ。

 強くなれば死んだ姉が「立派になったねぇ」と褒めてくれるような気がしたからだ。


 ギルドの訓練場で、サムは剣をはじめ様々な技術を貪欲に磨いた。

 同じように強くなることに貪欲な仲間も出来、競うように身体を鍛えた。


 もう冒険者じゃなくて闘拳士じゃね?と他の冒険者達に言われるようになってきてから、その仲間達とパーティを組んだ。

 大金を稼いだり、成り上がったりする事を夢みてる連中より信頼できるような気がしたからだ。

 己が強くなることに主体をもつ者達は皆、サムと同じでストイックで自制の効いた性格の者達が多かった。








 ふと気がつけば回想にふけっていたようだ。

 それでも機械的に肉を口に運んでいたらしい。

 空になった皿がサムの目の前にあった。


 「それで、どうするんだ?遺品を届けに故郷へ一度戻るのか?」


 ザックは心なしか心配顔だ。


 「そうせざるを得ないだろうなぁ。何度も奴らの親や知人から行方について聞かれていたし」


 4年もの音信不通を訝しんで、ヒックス達の知人や親せきがサムに安否を問い合わせるという事が何度かあった。

 今回その死が決定的になったのだから連絡はいれるべきだろう。


 「遺族は、奴らがお前にした事を知っているのか?」

 「いや、何も言っていない」


 言わなくてよかった、と今は思う。サムが復讐のために彼らを何とかしたなどと勘繰られてはたまらない。


 それに、その話をすれば、姉が娼家に買われていったことが村の者に知られてしまう。


 サムが小金を貯めていたことから話す必要が出てくる可能性があったからだ。


 姉の名誉はサムの中では娼婦に身をやつしても何ら下がるものではなかったが、村には口さがない者もいる。

 今はただ姉を静かに眠らせてやりたかった。


 ヒックス達の事はレベルに合わない、無理なクエストに挑戦し、死んだのち人知れずダンジョンで眠っていたことにすればいい。

 事実、サムが助けだされたために、事の発覚を恐れた彼らは身をひそめる必要があって、それがどんな経緯があったかわからないが訪れる者もまばらなダンジョンの隠し部屋のような所で死んでみつかったのだから。


 死んだ人間に友人であったはずのサムを裏切った理由を問いたくても、聞きだす事はもう出来ないのだから。


 彼らが何を考え、何を思って、サムを嵌めようとしたのか。

 純粋にサムの貯めた金が目当てだったのか、ラスティが語ったヒックス達の事情やパメラの強すぎる上昇志向やら何やらが彼らを追い詰めて友殺しを決断させたのか。


 あるいは殺したい程、サムが目障りだったのか。


 最後まで友人面をしていたラスティや、ヒックス達の計画した犯罪を知っていながらサムに対してよき友人を装っていたパメラが本当は何を考えていたのか。


 もう知りたいとも思えない。

 知る手段ももう永遠に失われた。



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