冒険者になって3
値段を聞いてサムは驚いた。
サムの半年分の生活費と同額だった。
ヒックスはサムが小金を貯めているのを知っていた。
困って、普段見下して無視をしている癖に頼ってきたのであろう。
腹の立つ態度ではあるが同郷のよしみでもあり、助けてやりたいとは思った。だが姉のための貯金には手をつけたくなかった。
「申し訳ないが、金は貸せない。君達のランクならばすぐ稼げるような金額なんだろうけど、俺にとってはそうではない額だ。今回はその杖とは縁がなかったんだよ。
今回は諦めて、頑張って実力をつけていけば、その杖がなくても君達はやれるはずだよ」
サムはサムなりに幼馴染達の事を心配していた。
ヒックスもボビーもサムの目から見て伸び悩んでいるのを、杖などの武器のグレードをあげる事によってパーティの仲間のパメラの魔法を無理やり火力アップしていたからだ。
もし魔法が効かない相手に不意打ちされたらどうなるか。
サムの目には幼馴染達が危ない綱渡りをしているように見えていた。
サムの断りの言葉に、ヒックスは返事もしないで帰っていった。
背中が怒りに震えていたようだが、サムにも譲れない事情というものがあった。
それから暫くして今度は宿に冒険者をやめて商人の見習いになったラスティがサムを尋ねてきた。
「ヒックスが君のところにも来ただろ?」
サムが頷くとラスティはサムもしらない事情をぶちまけた。
「実はさ、パメラがヒックス達より上のランクのパーティに引き抜かれそうで焦ってるみたいでさ」
各上の杖を買おうとしたのも、パメラを引き抜かれたくて気を引きたかったらしい。
だが、パメラからしたら、自分の魔法の力に依存気味のメンバーには愛想がつきていたしもっと強いメンバーとパーティを組み、もっと依頼をこなしたいという野心もあった。
「それに…ほら、ヒックスもボビーもパメラにゾッコンだったじゃん」
どうやら恋愛感情も絡んでいるらしい。
サムはため息をついた。




