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モブの恋  作者: 相川イナホ
望まぬ邂逅
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仲間が増えた+おまけ話

 旧ソルドレイン領との領境を越えた。

 ここから一日程行軍すれば、旧ソルドレイン領事館は目と鼻の先である。

 そしてそこからヘルドラ遺跡まで一気に行軍を進めるらしい。

 とは言え、一日は休息と補給のために旧領事館周辺に留まる予定だ。


 兄は早々に、補給のための陣営指揮をとるために奔走しているようだった。


 「思ったより何もなくあっさりと着いたな」


 ガスパが呟く。たしかに戦闘らしい戦闘もせずにここまでは来ている。

 それが王子の持っている魔石のせいならばいいのだが、嵐の前の静けさを予想させられて不気味だ。


 兄の到着を待ちわびていたかのように、小さな村々から人が集まってくる。

 中には行軍に参加したいと言ってきている者もいるようなのだが、「国を守るのが王族と騎士たる者の勤め」とかライオネル王子が突っぱねたという。


 たしかにそうなのだけれど、土地勘のある者を少数でもよいから雇って欲しかったと思う。


 魔物の被害が酷かった事もあり、こちらの地形と魔物の調査が進んでいないことをニコルもひどく気にしていた。


 兄は、王子の性格を読んでいたのか、一人の男を私達の元に使わしてくれた。


 「ピールと申します。レーフェン様から貴方様の力になるように言われて参りました」


 何処かで見たことがあると思っていたら、魔物の氾濫のあと、食うに困って盗賊にまで身を墜として兄達に捕えられたあの大人の奴隷のうちの一人だった。


 柔らかに笑う彼は、檻の中で絶望していた人物と一緒のように思えない。


 「水場と、魔力の淀みの酷い場所の位置と、強い魔物についてですね。」


 高価な物ではないが、清潔な衣服に身を包んで、髪も撫で付け、髭も剃って、きちんとした身なりをしている。


 「ヘルドラ遺跡の近くに、生まれた村がありましたので、お役に立てると思います。」


 あっさりと過去形にした話し方だが、その村はもうないのだろうと推察される。


 私達の間に流れる空気に気がついたのだろう、彼は言った。


 「今も乗り越えられているとは自分でも思えませんが、俺は俺の出来る事をしようと思っています。…俺のことは気にしないで下さい」


 そう言われれば、彼の古傷に触れるような話も出来にくくて、事務的に話は進む。


 「俺の情報が少しでも役に立てればうれしいです。皆もきっとそう思ってくれると思います」


 穏やかに見えるピールだが、これまでどんな辛酸を嘗めそれらを乗り越えてきたのだろう。

 今の彼の外見からはそのような過去があった事を伺わせる要素は何もない。


「遠征その物も危険ですが、王子の事を恨んでいる者もいます。これから先は俺も警戒にあたるつもりです」


 この旧ソルドレイン領は魔物の被害が酷かった土地だ。

 王子達はさぞ恨まれているだろうが、ここで何か問題を起こされると兄の統治能力を中央から疑われてしまう。

 それこそ足をひっぱろうとする奴らは何処にでもいるのだから。



 「赤の牙団」の仲間にピールが入った。




・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・








 悪乗り企画 おまけの話


 登場人物

 「筋肉の饗宴」パーティ

 サム:大槍使い イバン:盾、剣 ヘルネス:盾、剣 ゼファー:剣、盾 ザック:槍、氷 ホセ:炎、風:マルコ:回復と光と槍



 イバン:「えー王族が視察に来ていて他のパーティがそっちに釘づけになっている隙に、第3回筋肉饗宴会議をはじめたいと思います」



 マルコ:「イバン!『マッチョのサム』が満身創痍で魂が抜けてます」


 イバン:「サムの事は、そっとしておいてやれ。それが優しさだろ?」


 ホセ:「てか、3回目だったんだ、1回目と2回目の議題って何だっけ?」


 イバン:「あー静粛に、静粛に今日の議題はずばりこれだ!「「俺達そっち方面の人とちゃうから!アピール作戦だっ」」


 ヘルネス:「イバン、リーダー!」


 イバン:「発言を許可する。あと無駄に胸筋ピクピクはさせないように」


 ヘルネス:「はいっ!上腕二頭筋ムキッは赦されますか?」


 イバン:「ガチくさいから不許可!」


 ゼファー:「広背筋フンッ」


 ヘルネス:「持ってる物はアピールしたいっ」


 ホセ:「ちょっと待て、落ち着け。まずは本題に戻ろう」


 ヘルネス「俺まだ発言終わってない」


 イバン:「聞こうじゃないか!皆静粛に」


 ヘルネス:「ヤローばかりなのが悪いんだと思います!」


 ゼファー:「そうだ!女の子をいれよう!」


 ヘルネス:「俺、『カルロスミスと愉快な仲間達』のレダさんみたいな子がいい』


 ゼファー:「いやいや、『ラフポーチャ』のマリアさんも気が強そうなところがイイ!」


 イバン:「猫耳のパルメさんは?あのしなやかなボディにすりすりされたいっ!」


 サム:「…そうか、女の人だったんだよな。ドキドキしたりした俺は変じゃなかったんだ!」



 結局彼らはせっかくの話し合いの時間を「好みの女子」の話をお互いに勝手に言いっぱなしで言って終わったのだった。


 マルコ「女の人が入るって普通は回復役の位置だよね。俺、パーティから外されるの? せっかく筋肉がついてきたのに」


 ホセ:「ザック!起きろ」


 約ニ名は話題に加われなかったようだ。



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