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モブの恋  作者: 相川イナホ
望まぬ邂逅
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(試合)ヤらないか?

「フロルとヤりたい」


字ズラを見ると、いかにも危ない一言なんだけど、(得に今は男装してるし)彼はとっても真剣だ。


「ダメだ。騎士対冒険者とウチの領の者でやる」


ペンネに言われ、「筋肉の饗宴」のサムはがっくりと項垂れた。


「騎士の方がはるかに多いんだ。仕方ないだろ」


5対5で制限時間内に相手チームの身体につけた色水入りの風船をたくさん割った方が勝ち。

そんなルールで交流試合ははじまった。



試合が始まってみれば、さすが王子の近衛。強い、強いのだが。


「なぁあの隊服デザインしたのって絶対に剣をもった事のあるやつじゃないよな」


見た目も美しく、動くたびに風になびく隊服は・・・はっきりいって実践向きじゃない。

今も一人の前衛の騎士がわが領軍の一人と剣を打ち合った際に風でマントが翻って顔にはりついて邪魔になっている。


「邪魔だよな~」


「恰好はいいけどね」


「顔で目立ってんだから、服装まで目立たなくてもいいんじゃない」


「いや、そもそも目立つ勝負じゃねぇし」


対して、アマゾン領軍は前世の自衛隊の服を参考に、型紙を起こし肩や膝や肘などの可動部分にゆとりを持たせ、個々の体型にあわせ、タックやダーツで補正を施し、動きやすいデザインになっている。負荷がかかる部分には力布をあてたり、生地を重ね丈夫にしてもある。

 一人一人に合わせたオーダーメイドである。


 苦労して開発したファスナーやマジックテープで装備品も身体の動きを妨げず収納。

 ある意味近代的でシャープでかっこいい。

 もちろん鎧にも改良をほどこし、今までのものよりより軽量で頑丈になっている。


 もちろん縫製ばかりに拘ったわけではない。糸や織りにも拘った。

 前世の記憶から織機を作成するのは私では無理だったが、「足踏みで、こう縦糸と横糸を交差させて・・・」

と職人に依頼、出来た織機は現代にあるものより不出来だったが、職人達が日々開発に勤しんでいるので日々性能も向上しているようだ。


 糸の方は、既存の糸の材料の改良機関を作り、研究開発をさせている。


 製糸工場、染色工場、織機工場、縫製工場とも最初は4~5台の機械からはじめたが、今では規模も大きくなっており、領民のいい小遣い稼ぎの場になっている。

 歳のいったもの、働き手を失った家庭の者などを優先的に雇い、弱者救済を心がけ、福祉事業としても成り立たせたりすることを心掛けた。



 


 まぁ話はそれたが、交流試合では装備品の品質のよさもあって、わが領軍の圧倒的強さが実証された。



 全体的にいって、やはりライオネル王子の連れてきた騎士達は実戦不足であり、剣筋が素直すぎてきれいすぎた。

 競技ならそれで充分であるが、相手は魔物なのである。

 それでは通用しないだろう。


 そして、メインイベント、わが兄とフリードの一騎打ちだが、わが兄が圧勝した

 兄はフリードが踏み込んで打ち込んできた剣を容易くはじき返し、体術も用いて打ち負かした。

 ララリィ嬢が治療魔法をかけていたが、多分今夜は打ち身が痛くて熟睡できないだろう。



 ちなみに、私は「赤の牙団」の一員として出場し、剣を打ち合う事もなく後方からの魔法支援で勝たせてもらった。

 うちのグループはどちらかと言えば前衛過多なので、私が出張る必要もない。

 ネリーとジルベールが無双していたので他のメンバーは遊んでいたような物である。


 接近戦で組み合うとかの事態にならなくてよかった。

 首元をスカーフで覆い、シャアマスクを着用し、マントで身を覆った姿はたしかに「気取ってる」とか言われそうな出で立ちだが、後衛にいる魔法使いがマントを脱ぐ時というのは魔力を使い果たして、己の腕のみで戦う時なのだ。

 「赤の牙団」は戦力過剰気味なので、私がマントを脱ぐような事態は訪れるはずもない。

 

 試合の組み立てを上手にしてくれたペンネとパスタに感謝である。

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