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モブの恋  作者: 相川イナホ
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架空の賢者「ウィッキーさん」

米から出来る物って何があったかな。

酒、米麹、米粉パン、ばくだんにお餅、せんべい・・・・ぬかが出来たら糠漬け!


でも今はおにぎりが無性に食べたい。



「それ、どこに生えてた?」

勢いづいてニコルを問い詰めると、面食らったように彼は答えた。


「そこの中州だけど」


中州というよりは支流と支流の間の大きな湿地帯である。

そこには米の他にイネ科の粟だの稗なども一緒に一面生えていた。


「え?どうするの?そんなもの」


こっちの世界でのコメの扱いは粥にしたり、肉などに詰めて焼いたりするぐらいで、パエリアもチャーハンももちろん米の麺もない。

私も王都でのパーティで肉の詰め物になっているのを食べたくらいだが、単体で食べるとそんなに美味なものではないと思われる。


 が、これは試してみなければ。


 嬉々として米を収穫するのをいぶかしげに見られたが、私は一抱えできるくらいの袋いっぱいの米を手にいれた。おそらく15キロぐらいであろうか。


 収穫期にはややおそめだったのか、触れただけでポロポロ落ちるのを

 魔法を使って集めたから楽だった。


 もう少し早くここに来られれば、もっと穂に米が残っていたに違いない。

 それを考えると大変残念である。


 水辺を探すと他にも前世で見知った植物が・・・。

「んー、これはセリかな?こっちはクレソン?」

「フローラ、それは毒ですよ。こっちの方が薬になるセリですね。

クレソン?辛し葉?のことかな。それも薬草ですね。」


 最後にニコルはよく御存知でしたねと続ける。

 いや・・・前世で食べた記憶があるからね。


 こっちでは薬草扱いなのに驚く。


「薬効は・・・ご婦人の気付け、造血作用・・・」

 ニコルの説明を効きながら、七草粥が食べたいと思ってしまっていた。


「僕のギルドに来てくれれば、図鑑なんかも置いてありますよ。興味があればおいでください」


 それはすごく興味があったが、ニコルと二人きりになりそうな予感がヒシヒシとする。

 二人きりになったとたん、さっきのように迫られたらたまらない。


 ・・・・・そうだ。図書館を作ろう


 自衛として領主館近くに図書館を作り、そこで調べものなんかが出来るようにしよう。

 箱ものなんかにしない。絶対に。


 それからも、ニコルに張り付かれて、薬草や食べられる植物をレクチャーされる。

 やたら、手や腕に触られ、辟易した。


「あの、ニコル・・・近い。それからその手をどけて欲しいんだけど」

「男とは、好きな人には触れたいって思う生き物なんです」


 そんな頬を染められて言われても、私には「イケメン怖い」としか思えない。

 そういえば、フリードもやたら触れてきていたっけ。

 当時は好意からだと思っていたが、あれはただのスケベ心からではないだろうか。


 ああやだ。鳥肌立っちゃった。

 主に拒否反応的な意味で!



「河原を抜けたあっちに柿がまだなってたぞ」

 見かねてジルベールが助け舟を出してくれる。



「ニコル、ありがとう。私、柿を見にいってくるね」

 天の声とばかりに私はその誘いに乗っかった。




 今回、はじめての甘味である。

 熟してぐずぐずになった柿は砂糖が入っているかのように甘い。


「水分をとばしてジャムにしてみようかな」


 子ども達が喜ぶ姿が目に浮かぶ。


 これも取って帰りましょう。

 採集活動、けっこう楽しい。


「あ、旨茸だ」


 ニコルは食用になるキノコを見つけていた。形はしめじに似ている。

 そういえば、前世で食べるキノコ類は栽培ものが殆どだった。

 おがくず状のものをビンにつめ、水分で湿らせ、菌を植え付けていたような気がする。


 出来たら、これも栽培してみたい。


「へぇ。おがくずですか」


 どうやら声に出ていたらしい。


「あなたのその知識やアイデアはどこからきているのです?」


「えっと、TVを見たり、ウィキさんに聞いたり」


 ついうっかり言ってしまった。テレビもウィキももちろんこの世界にはない。


「テレビというのは図鑑の名前ですか?ウィッキーさんていうのは・・・」


 ニコルの表情が暗くなる。

 ウィッキーじゃなくてウィキだってば。


「どんな男なんですか?ウィッキーとは・・・?僕より、あなたの心を占めているのでしょうか?」


「ウィキさんは博識なんでも検索サイト・・・・じゃなくて、そ、そう賢者様なのよ!」


「僕も会ってみたいものです。王都にいけば会えるでしょうか?」


 「た、旅をしつつ、世界を調べておられるので・・・今はどこにいるか」


 ああ、ひとつの嘘が次から次へと。


「僕は、負けません。たとえ相手が賢者様でも・・・」


 何か、ニコルを間違った方向へ炊きつけてしまったかも?


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