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モブの恋  作者: 相川イナホ
ヘルドラ遺跡にむけて
131/132

救出


 フリードとともにハッチのような場所の出入り口を跨ぐと、そこはまるで宇宙船のブリッジのような場所だった。


 中央に舵をとるようなハンドルがあり、その周囲に大小のパネルや液晶画面、スイッチが並ぶ。レバーのようなものがいくつも並び、ボタンやメモリのある機器っぽいものもいくつも見える。


 どれもこれも、動いていないようで沈黙しているが。


そして同時にやや右後方に大きな穴が開き、配線なのかコード類が蔦の蔓と一緒になって垂れ下がっているのが見える。

 どうやらそこが外と繋がっているようだ。


 そしてララリィ嬢は左側正面にある分厚そうな扉の大きな円状のハンドルに括り付けられている。

 微妙な感じに見えちゃいけない所が服によって隠れてはいるが半裸のようだ。

 一瞬さらったのが例の魔物なので、遅かったのかと焦ったが、良く見ればそのような様子はうかがえなかった。


 「ツッ!ララリィ!今助ける!」


 彼が名前呼び捨てにしたことにかすかに胸が痛んだが、私はフリードを援護するために弓の玄を取り出すと静かに構えた。


 あたりの様子を窺いながらブリッチと思われる室内に足を踏み入れる。

 右、左、上注意深く警戒しならララリィ嬢の方へ進む。

 


 床だ。床から何か気配がする。

 この下に空間が広がっていて何者かが潜んでいる気配がする。

 空気の流れに交じって漂ってくるこの臭気は人のものではなさそうだ。


 どこかに下に降りる場所があるはずだ。

 階段か自動の昇降機か。


 「殿下の姿が見えない」


 ララリィ嬢を絡まる蔦から解放し、床に横たえたフリードは私に囁いた。


 「ええ、この部屋にはいないようね」


 私の視線を追って、フリードも剣を抜いた。


 「…下か」


 フリードのマントはレトにあげてしまったので、私のマントを脱いでララリィ嬢の身体にかけてあげる。


 「どうする?ララリィ嬢をとりあえず救出するか、王子を探しにいくか」

 「殿下を探すに決まっている」


 ララリィ嬢は今はただの貴族令嬢。

 王子は国にとっての貴い人である。


 レトからもらったあの雫型の石が効果を発しているのだろう。

 王子救出を最優先としたフリードにようやく元に戻ったのだという気持ちになる。


「君のマントには『隠匿』『気配遮蔽』効果が付与されているのだろう?」

「ええ、完璧にと言う訳ではないけれど」


 騒がずにじっとさえしていれば、ゴブリンの目からは隠してくれる位は。


「下に降りて、様子をみよう。王子の行方について手がかりがあるかも」


 私の目はエレベーターの扉と思わしき半開きの扉を見つけていた。



 左右からフリードと引っ張り扉を全開にする。

 


 むぁっと獣くさい臭気が下からあがってくる。

エレベーターの箱はかなり下の方で止まっており、その箱を釣り下げている太いワイヤーがそれに繋がっている。そこにゴブリンのものと思われる抜け毛が挟まっているのを見つけ顔を見合わせる。


「下で間違いのないようだな」


 私達は一旦それそれの獲物をしまって、こののぼり棒を降りていくことにした。



 ワイヤーの線がところどころ切れていて、身体にささりそうだ。


 刺されば体重をかけているので深くささってしまうだろう。


 ずーっと深い縦穴の底の方にエレベーターの箱の天井が見えており、途中横穴が開いていて灯りが漏れているところは一か所。

 

 雲梯かクライミングの要領で腕を伸ばして壁の突起に指をかけ、身体を揺すって勢いをつけて横穴に飛び込む。

 私は身体強化と風の魔法を使用したがフリードは単純に運動機能だけでそれをこなしたようだ。


 再びフリードは剣を私は弓を出し周囲を警戒しながら進む。


 太い管が床に何本も横たわっていて、まるで何か大きな生物の血管のようだ。

 足をとられないように注意して進むうちに、再びラボのような部屋にたどり着いた。


 ゴブリンが何体か集まっているのが見える。


 何をしているのかと集中して物陰から見ているといきなり後ろからポンと肩を叩かれ心臓がはねあがった。




 


 


 


 


 



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