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モブの恋  作者: 相川イナホ
ヘルドラ遺跡にむけて
130/132

その先にあったもの

 「じゃ、そこに立って。丁度いいところに送ってあげるから」


 レトに言われたデッキのような場所に立つと半透明のケースが四方向からせりあがってきて私達を閉じ込めた。


 「竜は?」

 「さすがにそれに入らないから別ルートで外へ出す。君の竜は賢いから後で合流できるよ。  

 それから、大丈夫だと思うけど300年位ぶりに動かすからね。そこの手すりにつかまって」


 ロハに指図された通り、私は手すりを掴んだ。

 フリードの手が私の手を包むように置かれる。

 思わず見上げれば彼の瞳は優しい色を浮かべて私を見ていた。


 レトはどこか面倒くさそうな表情でそんな私達をチラリと見てと爆弾を落としてくれた。

 

 「普段使うルートじゃないから…、ま、でも平気だとは思うけど」


 おいおい大丈夫なのか?そんな気持ちを私達に抱かせたが、ケースはぴったりと閉じカプセルのような形になった。


 クンッ


 最初、軽いGがかかるような感覚がしたが、その後は身体に何も負荷を感じる事もなくスムーズに動き出す。

 あの通路にあったレールはこのカプセル状の乗り物の移動用のためのもののようだ。


「これは…すごいな」


 フリードは感心してカプセルの内側を見ている。


 私も内側を見回してみたが継ぎ目がまったく見当たらない。

 どんな仕組みになっているのだろうか。


 カプセルはラボを来た時とは別の出入り口から出ていく。

 チラリと振り返ると、レトがタッチパネルのような物を操作しているのが見えた。

 

 「最後の試練だよ。がんばってね。これを乗り越えて君達は次に進むんだ」


 ロハの声が耳元で聞こえた。どこかにスピーカーでもあるのだろうか。

 全然わからないけど。


 しかし、最後の試練て何なんだろう。

 まるで今までの出来事を全て知っているかのような言い方だ。


  

 「ロハ?」


 意味を知りたくて、呼びかけてみたけれどもう答えはなかった。

 



 私達が通って来た時の通路よりずいぶん細い通路をカプセルは音もなく進む。

 

 途中何かの施設の裏手のような所をいくつも通りすぎる。

 温室のような場所。檻のような物が並んだ場所。

 そしてレトが入っていたようないくつもの管が並んだ場所。

 中身が入っていないが、おそらくレトのような存在がかつてはその中にあったのであろうと推測される。

 

 そして長いトンネルを抜けると再び無機質な灯りのみが光る大きな通路に出た。


 「終点みたい」


 カプセルは止まり、再びケースが開いたので私達はカプセルの外へ出た。

 進行方向の扉が開き、私達の後方の扉が閉まる。


 「あの扉から出ろってことか」


 周囲を窺いながら扉をくぐるとその扉も閉まる。


 「ここは…?」


 そこはロハに案内されてレトと出会ったラボのような場所とよく似た場所だったが、広さはそんなに広くなく、そして荒れていた。

 

 レトの入っていたような入れ物が並んでいるが、その入れ物は全て割れ、中には倒れているものもある。

 

 「これはひどいな…」


 まるで何かが暴れまわったあとのようだ。


 「よ…こ…そ…」


 急にまた声をかけられ振り向くとあのラボにあったホログラムがここにもいた。

 白衣を着たオレンジ色の長い髪の女性の姿だ。


 しかし壊れているのかノイズでも走ったようにその像は揺れ、乱れている。


 目を凝らせば、その透き通った像の向こう側に人ひとりが通りぬけられる程の穴があいているのが見えた。


 「行こう。たぶんあれが出口だ」


 フリードが剣を抜いたので私も剣を身構えた。


 周囲を警戒しながら出口と思われる穴に足を踏み入れる。



 「くっ!」


 前を歩くフリードが息を飲んで緊張するのがわかった。


 フリードの背後から肩越しに伺うと、そこには再び蔦のような物に絡みとられよくわからない機械のある部屋で半裸のまま張り付けられたララリィ嬢の姿があった。


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