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胡蝶之夢  作者: 凛
辻一将
7/7

心臓

最近、よく夢を見るせいなのか

深く、眠れていないせいだろうか

授業中にも関わらず眠くなることが多くなった。

しかしこれは最近に限ったことではなく、

昔からよくあることだった。


眠りが浅い。


昔からそれは悩みの種だった。寝付くまでに時間がかかることにも悩んでいたが、最近はそういったことも無くなってきていた。

しかし眠りが浅いのは今でも変わらず、度々夢を見ていた。

ちぐはぐで、矛盾していて、現実味を帯びない夢。 けれど夢の中では中々それを夢と感知することが出来ない。

そう、そこが現実であると、夢の中の俺は気づけない。


しかし最近、現実に起こり得そうなほどリアルな夢をよく見ていた。

夢の中の俺が今よりも幼くなければきっと、現実と勘違いしてしまいそうだった。


小さな悩み。本当に小さな、小さな悩み。

本来は気にも留めない。けれどその夢を見る回数が増える。

不安は高まっていった。


「ね~!また寝ちゃうの~?かーずーまくんっ!」

突然、目の前が真っ暗になった。

「私はだーれだ?!」

暗闇のなかで、美雪の声が聞こえた。

最近寝不足で元気の無い俺を、美雪なりに励ましてくれているのだろうか。

昼休みになったばかりの賑わう教室、恐らく美雪は後ろから俺に目隠ししているのだろう。

「美雪だろー?」

美雪のささやかな気遣いが嬉しかった。

けれど次に聞こえた声は明らかに美雪ではない男の声だった。

「俺でーっす!」

「冬樹くんでしたー!」

「あはははは!」

離れた手のある方を振り返ると、俺の友達の冬樹と、美雪の友達の水姫が嬉しそうに笑っていた。

「なんだお前かよ!」

「男の手と女の手普通間違えるかー?」

斎藤冬樹。

中学からの友達で、今はサッカー部に入っている。

顔は平凡だが根は優しい奴で、クラスでは人気者の部類に入る。

「一将はほんとに美雪と熱いね~」

山城水姫。

ポニーテールが目印の明るくて元気な奴。美雪とは結構正反対にうるさい。


大抵昼休みはこの面子で食っていた。

冬樹と水姫は付き合ってもないのに仲は良いし、喧嘩もすることないし、一緒に居ても気兼ねない俺はいつも昼休みが楽しみだった。

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