彼女
同じクラスだったから、という単純な出会い方だった。
入学式の時に、初めて一目見たときから彼女を好きになった。
副委員長を努めていた彼女とクラスの皆が関わる機会は多かった。
彼女は皆に優しかった。そしてそれは俺も例外では無かった。
クラスメイトに協力してもらい、俺は彼女と話す機会を増やしていった。
出来るだけ彼女の気を引きたくて、俺は出来るだけ彼女に優しくした。
初めは只のクラスメイト、といった関わり方だったが、努力の甲斐あってか次第に彼女笑顔が増え、心を開いてくれるようにもなった。
ある日の放課後、勇気を振り絞って告白をした。
初めは驚いていたが、やがて泣き出し、俺に抱きついて何度もありがとう、ありがとうと繰り返した。
俺は黙って美雪を抱き返した。
あの日のことは忘れない。9月13日のこと。
2年になり、またしても同じクラスになった俺と美雪は
学校で耳にたこが出来るほどバカップルと言われながらも、平凡で、平和な生活を送ってきた。
それが良い。それが一番なのだから。
刺激は求めない。
俺は、生活に変化が起こるのが怖かった。
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気付けば俺は、夢の中にいた。
また田んぼ道の真ん中に一人で立っている所からだ。
どうして自分で、これが夢であるということを自覚することが出来るのだろうか。それがとても奇妙なことに感じられたけど、
一つわかるのは、俺の夢には常に形容し難い違和感と、懐かしさがあった。