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ただ灰に抱かれて
深々と降り積もるくすんだ雪
まるで曇天がそのままポロポロと崩れたみたいだ
誰もいないこの場所を恥ずかしがるように
大地は灰に隠れていく
聞こえるのは
白く染まった己の吐息と
不思議な高揚に高鳴る心臓の音
ただそれだけ
たった一人地上に残されたかのような錯覚は
子供のように僕の心を弾ませる
腕を伸ばしてくるくる回り
でたらめな旋律をらららで口ずさむ
疲れてばたりと倒れる僕に
さっと掛けられた冷たい毛布
荒い呼吸を整えようと大きく息を吸い込むと
熱が胸に痞えて咳き込んだ
それにつられて湧き上がる笑みは
喉を焼きながら灰色の雲に吸い込まれていく
信じた未来も愛した過去も
みんな崩れて、零れて、消えていった
最後に残ったものは希望でもなんでもない
ただ虚無に蝕まれた肺の微熱だけ
ただただ
それだけなんだ