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悪夢
ひどい、ひどい悪夢を見た
それは僕が君に触れた過去であり
君が僕に触れる未来の夢だ
白い白い部屋の中
春を待ちわびながら
蟠る蛇のように
呆然と目を開けたまま
光にぼやける君を見ていた
それは初々しい
音にならない語り合い
そしてただただ心の弾む
久しい朋友との再会だ
どこまでも幸福に満ちていたと
絵画のような記憶が告げる
ただ会話している僕らの写真
君の声の残り香だけが
ゆらりゆらりと虚空に揺れる
なんて虚しい楽園だろう
あの日のまま止まった君と
あの日のままに生きた僕とが
語ることなどありえはしない
来ることのない妄想の夢を
今夜も瞼の裏に映し続ける
そうして
夢から覚めては自己への嫌悪に
脳は痛みと吐き気を訴える
それでもいつか差し伸べられる
幼いその手を諦め切れず
きれいな悪夢を纏って眠る
現実逃避の毎日だ
ひどい、ひどい悪夢だった
こうして現実から逃げ出して
何度も何度も逃げ出して
何度も何度も夢を見るほど
君との距離が離れてく
君との縁が薄れてく
君との過去が消えていく
僕は永久に救われず
暗い暗い冬の泥へと
溶けて消えるに違いない
きっときっと違いない
だって僕が君を殺すから
君との過去も
君への思いも
ただ無価値に消えていく
その事実が怖くて辛い
嗚呼また今夜も悪夢を見る
少しずつ少しずつ
僕から君が消えていく悪夢だ




