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第五話「いじめ・ダメ・ぜったい!」

今年で5歳、月日の流れって早いね。


今日はフィリス村に来ている、春の風が気持ちいい。

ヘンリーが買い出しに行くということで付いてきた。

家からは徒歩で30分程度。

そんなに離れてはいないが今まで村に来るような事がなかったのだ。


「ヘンリー、村を見て回ってもいい?」

「ええ、いいですよ。遅くならいようにしてくださいね?」

「はーい、丘まで行ってくるよ」


にしてもヘンリーは放任的だと思う、従者的にどうなんだろうか・・・


俺はヘンリーと別れ、村を歩くことにした。


村の規模はあまり大きくない、住人は農家が大半でたまに牛のような家畜を放牧している家もある。

畑には麦だろうか、あるいは野菜などを栽培しているようだ。

村の中心には広場があり、正面の大きめな家は村長宅、小さな教会、村の小売商店、

我が家の反対のハズレには孤児院、村長宅から裏手に進むと小さな丘と草原がある。


丘に登って春の風を楽しんでいる時だった。


ぺしっ、と後頭部に何かが当たる、少し痛い。


「・・・いてぇなぁ・・・ん?」


後ろを振り向くと子供たちが見えた。

どうやら5人のグループが何かを追いかけながら石を投げている。

獣でも追いかけているのかと思ったがよく見ると違うようだ。


追いかけられているのは水色の髪の女の子だった。

両腕で何かを抱え込み必死に守ろうとしている。


(どこに行ってもイジメはあるのかよ・・・)


どうやら後頭部の衝撃はあいつらの流れ弾だったようだ。

流れ弾のお返しでもしてやるか、と足を向けた時だった。

少女がコケてうずくまる、どうやら石が当たったらしい。

いじめっ子はそれを見てこぶし大の石を拾い上げる。


(おい、そのデカさはまずいだろ!)


とっさに走り出していた。



side「女の子」


村はずれの林で怪我をした猫を拾ったのが始まりだった。

猫を抱えて村に帰る時だ運悪く村のいじめっ子グループと鉢合わせした。

私をみた彼らは追いかけて来た。

怖い、わたしだけならまだ我慢できるけど、この猫も一緒にいじめられる。

たまらなく怖かった。


走って、走って村の丘に来たとき私の左足に大きめの石が当たった。


「うぁっ・・・!」


私はその場に転がった。

石が尖っていたのか足首からは血が出ている。

向こうでは男の子が大きな石を拾い上げるのが見えた。


「ひぅっ!」


もうだめだ!

そう思って目をぎゅっと瞑る。

でも石が飛んでくる気配はない。

私は恐る恐る目を開いた。


そこには長い黒髪を後ろで束ね私の前に立つ人が見える。

束ねられた黒髪は風に揺られている。

その髪は日の光にキラキラと輝いていた。


「きれい・・・」


私は思わずそう呟いていた。



side「ミーシャ」


(・・・ふぅ、間に合ったァ・・・)


俺は間一髪で少女に飛んでいく石を受け止めていた。

グローブもなしに飛んでくる物体をキャッチしたらどうなるか。

結果は・・・・・


「・・・ぃいってぇえええっ!!!」


受け止めた手の平がジンジンする、超痛い。

あーあー、手が真っ赤だよ、ちくしょう。


「な、なんだ!おまえ誰だよ!」


ガキ大将だろう。

見たところとしは7歳くらいか、少し年上だ。

体つきもほかの子供よりでかい。


「ぅるせぇ!ってぇ〜!乙女の柔肌に傷付けやがって!」

「なんだぁ!?人が楽しんでるとこ邪魔しやがって!生意気だぞ!」


売り文句に書い文句、罵声の浴びせ合い。

上等だぜ、格の違いを見せつけてやる。


「へっ、女相手にビビってんのか?」

「こ、こんのぉ・・・!おい!お前らコイツもいっしょにやっちまえ!」


(おいおい、年下の女の子相手に数の暴力はいかんでしょう・・・)


相手は5人

リーダーの怒鳴り声と共にまず二人が殴りかかってくる。

まずは一人目の拳を躱し腕を掴む、殴りかかってきた勢いを逸らすながら二人目に思いっきり投げつけてやった。


「うわぁっ!」

「ぐぅっ!」


ぶつけられた方もぶつかった方も目を回している。

まずは二人沈黙、すると後ろから一人殴りかかってきた。

上半身をひねり相手の腕を掴んで軌道を逸らす。

相手の体を背中から背負い込むように・・・一本背負い!

男の子の体は宙を舞い地面に落ちていった。

足元は柔らかい地面だ、大丈夫だろう。

背後でビビっている四人目には顔面パンチを寸止め。


「ひぃっ!」

どさっ!


怖かったんだろう腰を抜かしてそこに崩れ落ちてしまった。


「らぁっ!」


リーダーが棒キレ(角材くらいの大きさ)を思いっきり振り下ろしてくる。

それを紙一重で躱し手刀で手首を叩きつけ、武器を叩き落とす。

そして裏拳を寸止めしてやった。


「おい、逃げるなら今だぜ?」


俺はリーダーを睨みつけ小声ではっきりと警告してやる。


「ひっ!・・・お、おぼえてろよぉ!」


悪ガキどもは一目散に逃げ出すのだった。

何を隠そう、こう見えて高校の時はちょっとは名の知れた不良だったんだ。

喧嘩なんてのは朝飯前よ。

2013.3.21:話数の数字が違うのを修正

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